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第二百三十五話:再戦
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「以上が、私が知っている情報です」
ここは、魔王城一室の会議室。
司令塔として、メルシー様が待機されている場所でもある。
転移して早々に全員に治癒を施し、メルシー様と上層部の幹部を含めての緊急の会議が執り行われていた。
待機させていた後方部隊も魔王城周辺まで下がるように既にメルシー様から魔王軍全軍へと伝えられていた。
「それで、こうしている今もスザク様が時間を稼がれているという事か?」
「ならすぐにお助けに行かないと!」
場が騒つく。
今すぐにでも助けに赴こうとする者さえいる。
だめ。
それだと先程の二の舞になってしまう。
それだとスザク様のしている事が無駄になってしまう…
その為には皆を纏めなければならない。
他でもないスザク様に直接頼まれた私が、私自身が。
その時だった。
突如として、この場を凄まじく濃い威圧が会議参加者を襲った。
扉の前にいた警備兵の二人が立っていられないのか、地面へと塞ぎ込む。
冷たい冷気が肌を突き刺す。
これは余談だが、魔界は一年を通して気候は温暖で安定している。
必然的に薄着が主流だった。
例えるならば、薄着で極寒の中に晒されているような感じだろうか。
この感じは・・・そう、まるで魔王様のそれに近い。
この場に集っている陣営は、まさに魔界における最高戦力の一角。
しかし、その彼等が威圧の一つで狼狽え、動揺の色を隠せない様は滑稽と言える。
「馬鹿者がっ!」
この場において、メルシー以外の誰にもフランでさえ知らされていない事実がある。
メルシーが魔王全権代理になった際にいくつかの能力が備わっていた。
それは、魔王を名乗る上で必要な力の数々。
それは、誰かに教わった訳ではなく自然とメルシーの脳裏に流れ込んで来た。
そんな授かった能力の一つに魔王たる威圧がある。
今回メルシーは、その力を使ったのだがそんな事は誰も知る由もない。
メルシーの授かった威圧は、魔族に対してのみ有効だった。
他種族には何の効力も発揮しない。
「スザクの勇姿を無駄にしたいのか? ならば聞くぞ。もう一度奴と合間見えて、確実に倒せる秘策があるのか?」
誰も応えられる者はいなかった。
決して残された時間は少ない。
今すぐにでも奴等が攻めて来てもおかしくない。
私達魔族は、文字通り存続の危機に立たされていた。
ゼゼが恐る恐ると言った感じでその場から立ち上がり、発言する。
「ハッキリとは覚えていませんが、あの時死神が放った鎌が大地へと着弾した瞬間に、一体が爆ぜたような気がします」
「爆ぜた?」
「はい。シリュウの防御結界が無ければ、恐らく粉微塵になっていたと思います」
クオーツ序列2位のシリュウ。
彼は、攻撃系魔術もさるものながら、サポート系魔術を最も得意としていた。
彼の防御結界は、魔界でも随一でその硬度だけなら魔王様に次ぐとまで言われていた。
その防御結界を持ってしても、いとも容易く破壊されてしまった。
普通に考えるならばそんな事はありえない。
私はその時、スザク様の言葉を思い出した。
''あの鎌は無敵と言う言葉がピッタリだと''
''理不尽な程に'' とも添えていた。
もしも、あの鎌に仮に全ての物理障壁を無効化するような能力が付与されているのだとすれば?
ありえない。
だけど、そんなブッ壊れ仕様でなければ説明出来ない。
更には、あの技には高確率で意識昏倒の効果もあったのではないだろうか?
でなければ、スザク様以外の全員が意識を失ってしまった事が説明出来ない。
では逆にスザク様は何故、意識を保っていられたのだろうか?
あくまでも私の推測でしかないが、その導き出された答えを皆に説明した。
「確かにそう考えねば説明出来ぬな」
「流石は愛しのフランさんだね」
「だとすれば、その説を裏付ける一つ確かな情報があるぞ」
ゲンブ様が口を開く。
「スザクは生まれ持って完全状態無効耐性を持っている。故に昏倒や意識喪失などの強制状態異常の類だとしてもスザクには通用せぬだろうな」
「ならば、それを過程として今後の作戦を進めてはどうか?」
メルシー様の発言に皆が頷く。
「何か打開する策はないか? アルザス」
皆の視線がアルザスへと集まる。
彼は、魔族の精鋭達を集めた集団クオーツの団長をしている。
彼には固有スキル魔術完全無効の範囲結界を持っている。
しかし、あの時アルザスは確かにこの固有《オリジナル》スキルを発動させていた。
しかし、死神の技と呼んで良いのか不明だが、とにかく発動を止める事は出来なかった。
「そうですね、切り札でもあった魔術の無効が効力を発揮しませんでしたからね。なら一番確実なのは、あの大鎌を死神から離す事だと思います。得体が知れないのは寧ろあの大鎌のような気がしますね」
確かに実際にあの鎌を見た者は、誰もが思っただろう。
あの禍々しいまでの邪悪な鎌を。
まるで生きているのではないか?
自らが呼吸しているようなそんな感じさえ受け取れた。
それ程までに邪悪な存在に感じていた。
「すみません、一ついいでしょうか?」
周りを伺うようにゼゼが手を挙げる。
「実は鑑定スキルであの鎌を見たのですが・・」
ゼゼは、鑑定スキルと要約したが、彼女は全てを見通す魔眼を所持している。
その性能はチートレベルと言っても過言ではない。
魔眼の前では、隠蔽や超隠蔽、改ざんなどのスキルも全て無効化してしまう。
更には、自身よりも上位の存在までも鑑定する事が可能だった。
ゼゼがまず鑑定したのは、死神本人だ。
しかし、返ってきた応えは鑑定阻害というものだった。
鑑定阻害に関しては未だ明確に解明されてはいない。
何らかの形で神の恩恵もしくは、神の影響を受けている者に対して見られる症状だと言われていた。
死神は、この世界とは別の世界から来た存在。
もしかしたらその影響下なのは否めない。
しかしゼゼは、次なる鑑定対象を禍々しい気を発していた大鎌へと変えた。
そうして得られた結果は、鑑定阻害ではなく、殆どがシークレットだったが、幾つかの特殊効果を知り得る事が出来た。
「その中で私が知り得たのは、必中攻撃、破壊無効、絶対貫通、武器破壊、魔力電動率+Sの5つです」
「なんだその異常なまでの性能は…」
必中攻撃と言うのは言わずもがな、何処に放っても対象者に向かって飛んでいくのだろう。
破壊無効は、どんな攻撃を受けても刃こぼれすらないのだろう。
絶対貫通は、恐らく突き刺さった対象者もしくは対象物は貫通するのだろう。武器破壊も然り。
ぶつかり合った武器の類は破壊される。
「つまり、あの鎌と打ち合えば、どんな神器クラスの武器であろうとポッキリと折られてしまうと言う事だ」
「魔力電動率というのは、奴らのいた世界の表現と見るのが正しいですね。こちらではそんな呼び方はしないですが、名称から察するに鎌に魔力を通す際に通しやすいという事なのでしょうね」
「では、昏倒などの状態異常は武器ではなく、死神の使った魔術かもしくはスキルでしょうね」
以上の事を念頭に置き、再選に向けての作戦を話し合った。
ここは、魔王城一室の会議室。
司令塔として、メルシー様が待機されている場所でもある。
転移して早々に全員に治癒を施し、メルシー様と上層部の幹部を含めての緊急の会議が執り行われていた。
待機させていた後方部隊も魔王城周辺まで下がるように既にメルシー様から魔王軍全軍へと伝えられていた。
「それで、こうしている今もスザク様が時間を稼がれているという事か?」
「ならすぐにお助けに行かないと!」
場が騒つく。
今すぐにでも助けに赴こうとする者さえいる。
だめ。
それだと先程の二の舞になってしまう。
それだとスザク様のしている事が無駄になってしまう…
その為には皆を纏めなければならない。
他でもないスザク様に直接頼まれた私が、私自身が。
その時だった。
突如として、この場を凄まじく濃い威圧が会議参加者を襲った。
扉の前にいた警備兵の二人が立っていられないのか、地面へと塞ぎ込む。
冷たい冷気が肌を突き刺す。
これは余談だが、魔界は一年を通して気候は温暖で安定している。
必然的に薄着が主流だった。
例えるならば、薄着で極寒の中に晒されているような感じだろうか。
この感じは・・・そう、まるで魔王様のそれに近い。
この場に集っている陣営は、まさに魔界における最高戦力の一角。
しかし、その彼等が威圧の一つで狼狽え、動揺の色を隠せない様は滑稽と言える。
「馬鹿者がっ!」
この場において、メルシー以外の誰にもフランでさえ知らされていない事実がある。
メルシーが魔王全権代理になった際にいくつかの能力が備わっていた。
それは、魔王を名乗る上で必要な力の数々。
それは、誰かに教わった訳ではなく自然とメルシーの脳裏に流れ込んで来た。
そんな授かった能力の一つに魔王たる威圧がある。
今回メルシーは、その力を使ったのだがそんな事は誰も知る由もない。
メルシーの授かった威圧は、魔族に対してのみ有効だった。
他種族には何の効力も発揮しない。
「スザクの勇姿を無駄にしたいのか? ならば聞くぞ。もう一度奴と合間見えて、確実に倒せる秘策があるのか?」
誰も応えられる者はいなかった。
決して残された時間は少ない。
今すぐにでも奴等が攻めて来てもおかしくない。
私達魔族は、文字通り存続の危機に立たされていた。
ゼゼが恐る恐ると言った感じでその場から立ち上がり、発言する。
「ハッキリとは覚えていませんが、あの時死神が放った鎌が大地へと着弾した瞬間に、一体が爆ぜたような気がします」
「爆ぜた?」
「はい。シリュウの防御結界が無ければ、恐らく粉微塵になっていたと思います」
クオーツ序列2位のシリュウ。
彼は、攻撃系魔術もさるものながら、サポート系魔術を最も得意としていた。
彼の防御結界は、魔界でも随一でその硬度だけなら魔王様に次ぐとまで言われていた。
その防御結界を持ってしても、いとも容易く破壊されてしまった。
普通に考えるならばそんな事はありえない。
私はその時、スザク様の言葉を思い出した。
''あの鎌は無敵と言う言葉がピッタリだと''
''理不尽な程に'' とも添えていた。
もしも、あの鎌に仮に全ての物理障壁を無効化するような能力が付与されているのだとすれば?
ありえない。
だけど、そんなブッ壊れ仕様でなければ説明出来ない。
更には、あの技には高確率で意識昏倒の効果もあったのではないだろうか?
でなければ、スザク様以外の全員が意識を失ってしまった事が説明出来ない。
では逆にスザク様は何故、意識を保っていられたのだろうか?
あくまでも私の推測でしかないが、その導き出された答えを皆に説明した。
「確かにそう考えねば説明出来ぬな」
「流石は愛しのフランさんだね」
「だとすれば、その説を裏付ける一つ確かな情報があるぞ」
ゲンブ様が口を開く。
「スザクは生まれ持って完全状態無効耐性を持っている。故に昏倒や意識喪失などの強制状態異常の類だとしてもスザクには通用せぬだろうな」
「ならば、それを過程として今後の作戦を進めてはどうか?」
メルシー様の発言に皆が頷く。
「何か打開する策はないか? アルザス」
皆の視線がアルザスへと集まる。
彼は、魔族の精鋭達を集めた集団クオーツの団長をしている。
彼には固有スキル魔術完全無効の範囲結界を持っている。
しかし、あの時アルザスは確かにこの固有《オリジナル》スキルを発動させていた。
しかし、死神の技と呼んで良いのか不明だが、とにかく発動を止める事は出来なかった。
「そうですね、切り札でもあった魔術の無効が効力を発揮しませんでしたからね。なら一番確実なのは、あの大鎌を死神から離す事だと思います。得体が知れないのは寧ろあの大鎌のような気がしますね」
確かに実際にあの鎌を見た者は、誰もが思っただろう。
あの禍々しいまでの邪悪な鎌を。
まるで生きているのではないか?
自らが呼吸しているようなそんな感じさえ受け取れた。
それ程までに邪悪な存在に感じていた。
「すみません、一ついいでしょうか?」
周りを伺うようにゼゼが手を挙げる。
「実は鑑定スキルであの鎌を見たのですが・・」
ゼゼは、鑑定スキルと要約したが、彼女は全てを見通す魔眼を所持している。
その性能はチートレベルと言っても過言ではない。
魔眼の前では、隠蔽や超隠蔽、改ざんなどのスキルも全て無効化してしまう。
更には、自身よりも上位の存在までも鑑定する事が可能だった。
ゼゼがまず鑑定したのは、死神本人だ。
しかし、返ってきた応えは鑑定阻害というものだった。
鑑定阻害に関しては未だ明確に解明されてはいない。
何らかの形で神の恩恵もしくは、神の影響を受けている者に対して見られる症状だと言われていた。
死神は、この世界とは別の世界から来た存在。
もしかしたらその影響下なのは否めない。
しかしゼゼは、次なる鑑定対象を禍々しい気を発していた大鎌へと変えた。
そうして得られた結果は、鑑定阻害ではなく、殆どがシークレットだったが、幾つかの特殊効果を知り得る事が出来た。
「その中で私が知り得たのは、必中攻撃、破壊無効、絶対貫通、武器破壊、魔力電動率+Sの5つです」
「なんだその異常なまでの性能は…」
必中攻撃と言うのは言わずもがな、何処に放っても対象者に向かって飛んでいくのだろう。
破壊無効は、どんな攻撃を受けても刃こぼれすらないのだろう。
絶対貫通は、恐らく突き刺さった対象者もしくは対象物は貫通するのだろう。武器破壊も然り。
ぶつかり合った武器の類は破壊される。
「つまり、あの鎌と打ち合えば、どんな神器クラスの武器であろうとポッキリと折られてしまうと言う事だ」
「魔力電動率というのは、奴らのいた世界の表現と見るのが正しいですね。こちらではそんな呼び方はしないですが、名称から察するに鎌に魔力を通す際に通しやすいという事なのでしょうね」
「では、昏倒などの状態異常は武器ではなく、死神の使った魔術かもしくはスキルでしょうね」
以上の事を念頭に置き、再選に向けての作戦を話し合った。
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