46 / 242
第四十七話:ガゼッタ王国
しおりを挟む
俺たちは、魔族に占拠されてしまった街を解放すべく、戦いを繰り広げていた。
グルーガンの重力系魔術を喰らってしまったユイ、クロ、リンの3人を救うべく、意表を突き放った魔術により、グルーガンを後方へと飛ばす事に成功した。
さて、第二ラウンド開始だ。
グルーガンの防御力は、桁違いに高い。
俺たちのパーティーでさえ、物理攻撃で有効打を与えられなかった。
「ここからは、魔術主体で攻撃していくから、みんなは、俺に注意が向かないように、牽制や翻弄、隙を突いて撹乱してくれ」
3人が一定の間合いを取り、グルーガンとの距離を保っている。
間合いは、先ほどの重力系魔術の効果範囲を意識してだろう。
やはり3人は、戦い慣れしている。
ユイやクロは、天性のものだろうが、リンは今まで培ってきた圧倒的な経験値からだろう。
チート仕様で一気にレベルアップした中身のスカスカな俺とは訳が違う。
3人が俺へ向けられる注意を削ぎつつ、俺は魔術をグルーガンに畳み掛けていく。
グルーガンのHPが半分を切る所まで削れたところで、グルーガンが今までにない行動を取ってくる。
「素早いだけで、いい気になるな!ゴミ共が!避けれるものなら避けてみろ!」
何かしてくるようだ。
口を大きく開けている。
逆にチャンスじゃないか。
体に当てるよりも口中を直接攻撃した方が何倍も威力が増すだろう。
俺がグルーガンの口を目がけて魔術を撃とうとした瞬間、先に動いたのはグルーガンだった。
口から発せられたのは、高密度のレーザーのような光線だ。
「ぐっ、速い・・」
驚いたのは、そのスピードだった。
グルーガンとの距離は30m程あったにも関わらず、避ける余裕がなかった。
俺は、咄嗟に魔術書で覚えた障壁を自身に展開する。
障壁は、俺の魔力が持続する限り、どんな魔術、物理攻撃をも防いでくれる結界だった。
自身を中心として、ドーム型に展開されていく。
グルーガンの放った光線が着弾する前に、障壁を張ることに成功した俺は、次の魔術をすでに発動していた。
「散!」
俺が3人と一緒に決めた合言葉の一つなのだが、散というのは、その名の通り、「散れ」という事だが、今回の場合は、グルーガンから離れろ、という意味で使用した。
光線の着弾により、前方の視界が遮られていたが、レーダーで全員が離れた事を確認した上で、
全範囲雷撃を最大レベルで発動する。
もう容赦はしない。最初からしてなかったけど。
恐らく、俺の魔術が効いているのだろう、グルーガンの悲鳴が聞こえた後、光線が止まった。
だが、俺は手を休めない。
奴のHPを確認しつつ、次から次へと雷の雨を降らせていく。
どうやら、さすがの奴も動けないようだ。
ある程度HPを削った所で、攻撃を止め、捕縛の魔術を使用する。
実際に使うのは初めてで、どれくらいの効力があるのかは不明だった。
だが、奴は魔術のダメージも相まって動けないようだ。
勝負ありだ。
「観念するんだな」
「おのれ・・貴様らなんぞに遅れを取るとわ・・不覚」
「このまま大人しく退くならば見逃すよ」
「ユウ様、ダメです!魔族は根絶やしにせねばなりません!ましてや、コイツは幹部です。幹部1人の戦力がどれ程のものが、ユウ様なら分かるでしょ!」
コイツをここで逃がせば、必ずまたコイツらが下等種族と呼んでいる人族を襲い、何十、何百と言う命が失われる事になると俺を説得しようとするリン。
「確かにそうかもしれない。だけど、俺は魔族ってだけで、一方的に敵視してしまうのは、賛成出来ないな」
確かにリンの言うことも分かる。
リンは、勇者の里で、物心つく前から魔族=倒すべき敵という教育を受けてきたのだ。
すなわち、他の人よりも魔族に対する反感は強い。
リンは、下を向いていた。
「みっともなく命乞いする気など更々ない!すぐに殺せ!」
潔いな。
そんなセリフ俺は、口が裂けても言わないけどね。だって死にたくないから。
前に先生と龍王退治の任務を受けた時に一度だけ死にかけた事があった。
死を本当に身近に感じた時だけに分かる感覚がある。
俺がその時に感じたのは、死んで楽になりたいとか、戦って名誉の戦死を遂げてやるなどではない。
死んでたまるか!生へしがみ付き、最後の1秒まで生の為に足掻いてやる!だった。
俺は、グルーガンを逃してやるつもりだった。
そんな俺の思いとは裏腹に、とんでもない出来事が起こってしまった。
突如、グルーガンの真上から、先程グルーガンが口から放った高出力の光線のようなものが降り注いで来たのだ。
グルーガンは、声を発することなく、消し飛んでしまった。
俺のレーダー外からの攻撃に察知するのが遅れてしまった。
暫く上空を警戒していたが、その後の攻撃が来ることは無かった。
敵対勢力の奇襲か、はたまた同族の制裁だろうか?
(今のは、恐らく魔族にしか使えない、魔球だと思います)
念話の主は、セリアだった。
(と言うことは、後者か)
(はい、恐らく)
この街を占拠していた魔族を結果倒した俺たちは、その後住人を無事に解放し、タリスさん達と合流した。
「ユウさん、本当にありがとうございました。ユウさんたちは、私たちの英雄です」
住人から感謝の旋風に巻き込まれたのは、言うまでもない。
今宵は街中の人を集め感謝の宴を催してくれるそうだ。特に断る理由も無かったので、快く参加する事にした。
しかし、気掛かりが一つあった。
グルーガン魔族は一体何の目的でエレメンタルストーンを集めていたのだろうか?
拘束した時に聞こうと思っていたのに、まさかあんな展開になるとは思わなかった。
俺たちに宴中に何度もこの街に残って欲しいと住人に頼まれていた。
中には、娘をやるからなどと言う親までいる始末だ。
酔った勢いで、なんて考えが及ばないようにお酒を飲むのは控えるようにしている。
いつだかの醜態を晒す恐れがあるので、エルフの里の一件以来、お酒は飲まないと決めていた。
ユイやクロは、未成年なのでお酒はもちろんダメなのだが、リンも飲んでいないようだった。
飲めないわけではないそうだが、控えているようだ。
この街には宿屋もないそうで、タリスさん宅に誘われたが、自馬車で十分だった為、断っていた。
次の日、朝一に俺たちはソシャールの街を後にする。
もちろん、全街人からの見送りなんてイベントがあったとだけ添えておく。
しかし、今回の一件はなんとも後味が悪い結果となってしまった。
気持ちを切り替えないとね。
「さてと、寄り道してしまったけど、ガゼッタ王国に向かうか」
道中は、平和そのもので、特にする事も無かった為、錬金術に時間を費やす事にする。
行商の街で錬金術に使える材料を大量購入していたのだ。
もちろん値引きをした上でね。
大量購入した甲斐もあり、個数で割ると一つあたり、半額近い金額で購入出来た。
俺は、錬金術に必要な道具を取り出し、ポーションを大量製造していく。
最初は少し作るだけで止めるつもりだったのだが、作ってみると意外と楽しくて止まらない。
失敗しても、試行錯誤をし、独自のアレンジを加えて色々なポーションを生成した。
最初は1本ずつ生成していたのだけど、作っていくうちにレベルがあがり、一度に10本までの生成が可能なスキルを取得していた。
しかも錬金術師としてのレベルもいつのまにか35になっている。
この3日間で作った薬品をストレージに整理して入れておく。
HP回復ポーション(小)×200
HP回復ポーション(中)×100
HP回復ポーション(大)×50
MP回復ポーション(小)×100
MP回復ポーション(中)×80
MP回復ポーション(大)×50
毒消しポーション×100
麻痺治しポーション×100
火傷治し塗り薬×50
これだけ作っても、材料はまだまだあった。
ポーション管に至っては、5000個程購入していた。少し買いすぎな感は否めない。
まずは、相場の調査が必要だが、王国に到着したら、試験的に出店してみるのもいいかもしれない。
別にお金に困っているわけではないが、なんというか商売というものに興味があったのだ。
王国が視界に入ってくる。
まだかなりの距離があるのだが、王国の大きさが伺える。
「大きい~」
ユイの率直な感想だけど、俺もそう思う。
確かに大きいな。
同じ王国でも最初に立ち寄ったプラーク王国と比べても倍以上の大きさがありそうだ。
人口が22万人のガゼッタ王国は、このグリニッジ大陸、グリニッジ連合国内では2番目に大きな都市だ。
確かプラーク王国が人口10万人程度らしいので2倍以上だ。
今回こそは、王族などには、関わらないように行動しようと心に誓う。
次第に王国に近づくにつれ、同じく入国者だろうか、
多数の馬車が確認出来た。それにしても凄い行列だ。
入国の門はまだ遥かに先なのだが、入国審査の列が出来ていた。1km以上あるんじゃないだろうか。
「これは、並ばないといけないのですよね」
「割り込みは出来ないよなぁ・・」
行列の長さに少し疲れ切った表情を見せていたのは、リンだった。
「他国の王族から貰った証明書でも見せれば、すぐに通過出来そうだが、あまり目立ちたくないしね」
素直に並ぶしかないようだ。
「お兄ちゃん、みんなこっち見てるよ」
「そりゃ、ユイが可愛いからみんなが見てるんだよ」
半分冗談で、半分本気で言ってみたのだが、確かにみんなこっちを見てるな。見てるというより、警戒している感じだろうか。
(グリムちゃんが珍しいんじゃない?)
声の主は、ノアだった。
ノアがちゃん付けしているのは、外見からの判断ではない。外見はむしろ、勇ましく、可愛いというよりは、カッコイイという方がマッチする。
そう、俺は知らなかったのだが、モンスターにも性別が存在するらしい。
グリムは、メスという事だ。
俺は真面目に、どうやって判別するのか聞いたが、精霊の直感だと言われた。
聞いて損した。
ノアの言う通り、皆の視線はグリムを見ていた。
見渡す限りの馬車は、普通の馬が牽引しているようだ。
行商の街では、さすがにグリムと同種のモンスターはいなかったが、モンスターが牽引していた馬車は、いくつかあったが、ここでは珍しいのだろうか?
近くを通りかかった商人が話しかけてきた。
「あんた、そいつは、グリムホースじゃないか?」
「はい、そうですけど?」
彼らの視線は、やはりグリムだった。
牽引モンスターとしては、グリムは最高峰の位置付けだと言う。確か、行商の街でも似たような事を言われた気がする。
目立たないつもりだったのだが、門を潜る前から目立ってしまった。
入国審査を終える頃には、すっかり日が暮れていた。
馬車が停泊出来る宿屋を探す事にする。
王国に入り、まず驚いたのは人の多さもそうだが、獣人族の数だった。
このガゼッタ王国は、数少ない人族と獣人族が共存している場所なのだ。
「お兄ちゃん、私みたいな子がいっぱいいるよ!」
「滞在中に友達が出来るといいな」
「うん!」
ユイ自身、こんなにたくさんの獣人族を見るのは、ユイの生まれ故郷にいた時以来だそうだ。
グルーガンの重力系魔術を喰らってしまったユイ、クロ、リンの3人を救うべく、意表を突き放った魔術により、グルーガンを後方へと飛ばす事に成功した。
さて、第二ラウンド開始だ。
グルーガンの防御力は、桁違いに高い。
俺たちのパーティーでさえ、物理攻撃で有効打を与えられなかった。
「ここからは、魔術主体で攻撃していくから、みんなは、俺に注意が向かないように、牽制や翻弄、隙を突いて撹乱してくれ」
3人が一定の間合いを取り、グルーガンとの距離を保っている。
間合いは、先ほどの重力系魔術の効果範囲を意識してだろう。
やはり3人は、戦い慣れしている。
ユイやクロは、天性のものだろうが、リンは今まで培ってきた圧倒的な経験値からだろう。
チート仕様で一気にレベルアップした中身のスカスカな俺とは訳が違う。
3人が俺へ向けられる注意を削ぎつつ、俺は魔術をグルーガンに畳み掛けていく。
グルーガンのHPが半分を切る所まで削れたところで、グルーガンが今までにない行動を取ってくる。
「素早いだけで、いい気になるな!ゴミ共が!避けれるものなら避けてみろ!」
何かしてくるようだ。
口を大きく開けている。
逆にチャンスじゃないか。
体に当てるよりも口中を直接攻撃した方が何倍も威力が増すだろう。
俺がグルーガンの口を目がけて魔術を撃とうとした瞬間、先に動いたのはグルーガンだった。
口から発せられたのは、高密度のレーザーのような光線だ。
「ぐっ、速い・・」
驚いたのは、そのスピードだった。
グルーガンとの距離は30m程あったにも関わらず、避ける余裕がなかった。
俺は、咄嗟に魔術書で覚えた障壁を自身に展開する。
障壁は、俺の魔力が持続する限り、どんな魔術、物理攻撃をも防いでくれる結界だった。
自身を中心として、ドーム型に展開されていく。
グルーガンの放った光線が着弾する前に、障壁を張ることに成功した俺は、次の魔術をすでに発動していた。
「散!」
俺が3人と一緒に決めた合言葉の一つなのだが、散というのは、その名の通り、「散れ」という事だが、今回の場合は、グルーガンから離れろ、という意味で使用した。
光線の着弾により、前方の視界が遮られていたが、レーダーで全員が離れた事を確認した上で、
全範囲雷撃を最大レベルで発動する。
もう容赦はしない。最初からしてなかったけど。
恐らく、俺の魔術が効いているのだろう、グルーガンの悲鳴が聞こえた後、光線が止まった。
だが、俺は手を休めない。
奴のHPを確認しつつ、次から次へと雷の雨を降らせていく。
どうやら、さすがの奴も動けないようだ。
ある程度HPを削った所で、攻撃を止め、捕縛の魔術を使用する。
実際に使うのは初めてで、どれくらいの効力があるのかは不明だった。
だが、奴は魔術のダメージも相まって動けないようだ。
勝負ありだ。
「観念するんだな」
「おのれ・・貴様らなんぞに遅れを取るとわ・・不覚」
「このまま大人しく退くならば見逃すよ」
「ユウ様、ダメです!魔族は根絶やしにせねばなりません!ましてや、コイツは幹部です。幹部1人の戦力がどれ程のものが、ユウ様なら分かるでしょ!」
コイツをここで逃がせば、必ずまたコイツらが下等種族と呼んでいる人族を襲い、何十、何百と言う命が失われる事になると俺を説得しようとするリン。
「確かにそうかもしれない。だけど、俺は魔族ってだけで、一方的に敵視してしまうのは、賛成出来ないな」
確かにリンの言うことも分かる。
リンは、勇者の里で、物心つく前から魔族=倒すべき敵という教育を受けてきたのだ。
すなわち、他の人よりも魔族に対する反感は強い。
リンは、下を向いていた。
「みっともなく命乞いする気など更々ない!すぐに殺せ!」
潔いな。
そんなセリフ俺は、口が裂けても言わないけどね。だって死にたくないから。
前に先生と龍王退治の任務を受けた時に一度だけ死にかけた事があった。
死を本当に身近に感じた時だけに分かる感覚がある。
俺がその時に感じたのは、死んで楽になりたいとか、戦って名誉の戦死を遂げてやるなどではない。
死んでたまるか!生へしがみ付き、最後の1秒まで生の為に足掻いてやる!だった。
俺は、グルーガンを逃してやるつもりだった。
そんな俺の思いとは裏腹に、とんでもない出来事が起こってしまった。
突如、グルーガンの真上から、先程グルーガンが口から放った高出力の光線のようなものが降り注いで来たのだ。
グルーガンは、声を発することなく、消し飛んでしまった。
俺のレーダー外からの攻撃に察知するのが遅れてしまった。
暫く上空を警戒していたが、その後の攻撃が来ることは無かった。
敵対勢力の奇襲か、はたまた同族の制裁だろうか?
(今のは、恐らく魔族にしか使えない、魔球だと思います)
念話の主は、セリアだった。
(と言うことは、後者か)
(はい、恐らく)
この街を占拠していた魔族を結果倒した俺たちは、その後住人を無事に解放し、タリスさん達と合流した。
「ユウさん、本当にありがとうございました。ユウさんたちは、私たちの英雄です」
住人から感謝の旋風に巻き込まれたのは、言うまでもない。
今宵は街中の人を集め感謝の宴を催してくれるそうだ。特に断る理由も無かったので、快く参加する事にした。
しかし、気掛かりが一つあった。
グルーガン魔族は一体何の目的でエレメンタルストーンを集めていたのだろうか?
拘束した時に聞こうと思っていたのに、まさかあんな展開になるとは思わなかった。
俺たちに宴中に何度もこの街に残って欲しいと住人に頼まれていた。
中には、娘をやるからなどと言う親までいる始末だ。
酔った勢いで、なんて考えが及ばないようにお酒を飲むのは控えるようにしている。
いつだかの醜態を晒す恐れがあるので、エルフの里の一件以来、お酒は飲まないと決めていた。
ユイやクロは、未成年なのでお酒はもちろんダメなのだが、リンも飲んでいないようだった。
飲めないわけではないそうだが、控えているようだ。
この街には宿屋もないそうで、タリスさん宅に誘われたが、自馬車で十分だった為、断っていた。
次の日、朝一に俺たちはソシャールの街を後にする。
もちろん、全街人からの見送りなんてイベントがあったとだけ添えておく。
しかし、今回の一件はなんとも後味が悪い結果となってしまった。
気持ちを切り替えないとね。
「さてと、寄り道してしまったけど、ガゼッタ王国に向かうか」
道中は、平和そのもので、特にする事も無かった為、錬金術に時間を費やす事にする。
行商の街で錬金術に使える材料を大量購入していたのだ。
もちろん値引きをした上でね。
大量購入した甲斐もあり、個数で割ると一つあたり、半額近い金額で購入出来た。
俺は、錬金術に必要な道具を取り出し、ポーションを大量製造していく。
最初は少し作るだけで止めるつもりだったのだが、作ってみると意外と楽しくて止まらない。
失敗しても、試行錯誤をし、独自のアレンジを加えて色々なポーションを生成した。
最初は1本ずつ生成していたのだけど、作っていくうちにレベルがあがり、一度に10本までの生成が可能なスキルを取得していた。
しかも錬金術師としてのレベルもいつのまにか35になっている。
この3日間で作った薬品をストレージに整理して入れておく。
HP回復ポーション(小)×200
HP回復ポーション(中)×100
HP回復ポーション(大)×50
MP回復ポーション(小)×100
MP回復ポーション(中)×80
MP回復ポーション(大)×50
毒消しポーション×100
麻痺治しポーション×100
火傷治し塗り薬×50
これだけ作っても、材料はまだまだあった。
ポーション管に至っては、5000個程購入していた。少し買いすぎな感は否めない。
まずは、相場の調査が必要だが、王国に到着したら、試験的に出店してみるのもいいかもしれない。
別にお金に困っているわけではないが、なんというか商売というものに興味があったのだ。
王国が視界に入ってくる。
まだかなりの距離があるのだが、王国の大きさが伺える。
「大きい~」
ユイの率直な感想だけど、俺もそう思う。
確かに大きいな。
同じ王国でも最初に立ち寄ったプラーク王国と比べても倍以上の大きさがありそうだ。
人口が22万人のガゼッタ王国は、このグリニッジ大陸、グリニッジ連合国内では2番目に大きな都市だ。
確かプラーク王国が人口10万人程度らしいので2倍以上だ。
今回こそは、王族などには、関わらないように行動しようと心に誓う。
次第に王国に近づくにつれ、同じく入国者だろうか、
多数の馬車が確認出来た。それにしても凄い行列だ。
入国の門はまだ遥かに先なのだが、入国審査の列が出来ていた。1km以上あるんじゃないだろうか。
「これは、並ばないといけないのですよね」
「割り込みは出来ないよなぁ・・」
行列の長さに少し疲れ切った表情を見せていたのは、リンだった。
「他国の王族から貰った証明書でも見せれば、すぐに通過出来そうだが、あまり目立ちたくないしね」
素直に並ぶしかないようだ。
「お兄ちゃん、みんなこっち見てるよ」
「そりゃ、ユイが可愛いからみんなが見てるんだよ」
半分冗談で、半分本気で言ってみたのだが、確かにみんなこっちを見てるな。見てるというより、警戒している感じだろうか。
(グリムちゃんが珍しいんじゃない?)
声の主は、ノアだった。
ノアがちゃん付けしているのは、外見からの判断ではない。外見はむしろ、勇ましく、可愛いというよりは、カッコイイという方がマッチする。
そう、俺は知らなかったのだが、モンスターにも性別が存在するらしい。
グリムは、メスという事だ。
俺は真面目に、どうやって判別するのか聞いたが、精霊の直感だと言われた。
聞いて損した。
ノアの言う通り、皆の視線はグリムを見ていた。
見渡す限りの馬車は、普通の馬が牽引しているようだ。
行商の街では、さすがにグリムと同種のモンスターはいなかったが、モンスターが牽引していた馬車は、いくつかあったが、ここでは珍しいのだろうか?
近くを通りかかった商人が話しかけてきた。
「あんた、そいつは、グリムホースじゃないか?」
「はい、そうですけど?」
彼らの視線は、やはりグリムだった。
牽引モンスターとしては、グリムは最高峰の位置付けだと言う。確か、行商の街でも似たような事を言われた気がする。
目立たないつもりだったのだが、門を潜る前から目立ってしまった。
入国審査を終える頃には、すっかり日が暮れていた。
馬車が停泊出来る宿屋を探す事にする。
王国に入り、まず驚いたのは人の多さもそうだが、獣人族の数だった。
このガゼッタ王国は、数少ない人族と獣人族が共存している場所なのだ。
「お兄ちゃん、私みたいな子がいっぱいいるよ!」
「滞在中に友達が出来るといいな」
「うん!」
ユイ自身、こんなにたくさんの獣人族を見るのは、ユイの生まれ故郷にいた時以来だそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる