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最後の魔女53 盗賊団ヴォルス3
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重厚そうな鋼鉄の扉をリグが蹴破り、傭兵たちが中へと入って行く。
中の光景を見て、何故だか足が止まっている。まるで、その場から一歩も動くことが出来ないかのように。
私が最後に小部屋の中へと入ると、その先にいたのは、大将と思われる人物の変わり果てた姿だった。
不意にリグの方へ視線を送る。
「私じゃありませんよ。どう言った訳か、この部屋は奴の臭いでいっぱいね」
リグの言う匂いは私には分からないけど、確かにこの部屋には私たち以外の誰かの気配を感じる。
つまりは、隠れているってこと。
だけど、場所が分からない。魔法を使えば特定はすぐだけど、流石にこの状態で使えばバレそうだし、私は魔女です。と言ってるようなもの。あまり使いたくはない。
その時だった。
不意に背後の扉がバタンと閉じられた。当然、外から誰かが閉めたわけではない。
その音にビクリと身体を震わせた副将は、今まで伏せていた頭を起こし、キョロキョロと辺りを観察する。
「アロス大将!?」
大将の姿を確認すると、一目散に駆け寄った。
身体を譲り、何度も呼びかけるも、当然ながら呼び掛けに応じるはずもない。だって、上半身と下半身がサヨナラしてるんだもん。
「⋯我の計画を邪魔するとはな」
大将の亡骸の背後の方から謎の闇が発生したかと思えば、その中から真っ黒な化け物が這い出てくる。
慌てふためく副将の身体ごとペシャリと踏み潰すと、化け物は私たちを凝視する。
傭兵たちも人外の相手に身体を震わせて、一歩、また一歩と後退りしていた。
「あんなの聞いてないよ⋯」
化け物は、何故だかこちらを、いや、リグの方を睨みつけている。
もしかして、一目惚れとか? ないか。だってそれだとロリコンだもの。あ、それは私でも同じことか。
「なぜ、貴様がここにいる」
「あんたに答える義理はないわね」
え、何、やっぱりお知り合い?
「知り合い?」
「いえ、会ったのは初めてですが、御察しの通り、同族です。同族同士は隠蔽が利かないので正体が見破られるんです」
えっと、正体? 隠蔽?
疑問符を浮かべている私をそっちのけで2人の会話は続く。
「何故悪魔である貴様がこんなゴミ共と一緒にいるのだ」
ぷっつん。
今確かに聞こえないはずの変な音が聞こえたかと思えば、隣から赤い蒸気のようなものがほとばしっていた。心なしか少し熱い気がする。いや、気のせいじゃない。すごく熱い。
傭兵たちは、いつのまにやら後方の壁の方へと避難していた。
恐る恐るリグの方へ振り向く。
「⋯撤回しろ。⋯死にたくなければ今すぐ撤回しろ」
大地が揺れる。小さくない揺れだった。
天井からは小石が降ってくる。いつのまにか閉ざされた扉が吹き飛ばされていた。
「リグ、まずは落ち着こう、ね? リグさん、リグさーん?」
あ、駄目だ。聞こえてないよねこれ。
対する悪魔は、その姿を変化させようとしていた。
そんなに時間をかけない間にまんま人に近い形にまで形状を変えた。
リグのような幼女ではなく、どっちかと言えばイケメン青年枠かもしれない。
そうこうしている間に、無視されていたリグのボルテージは最高潮に達しようとしていた。
これは冗談抜きで傭兵たちを連れて退散した方がいいかもしれない。
「崇高な存在である我ら悪魔が人族や怪しげな者と一緒につるんでいること自体、理解し難い行為だ。我自らの手で引導を渡してやる」
「傭兵さん、早く逃げた方がいいよ。ここにいたら絶対に死んじゃう」
「だ、駄目なんです⋯腰が抜けました」
「マリーは私が担ぐ。サリーは動けないなんて言わないわよね」
「だ、大丈夫⋯。少しだけ漏らしちゃったけど。。」
傭兵さんたちと一緒に退散しようとしたその時。
「お姉様、大変申し訳ありませんが、私の代わりにあのバカ悪魔を倒しちゃって下さい」
え⋯なんで、私が?
「貴様を倒し、己の間違いを知るがいい」
ちょっと待って、なんかアイツ私に殺気向けてない? 何で部外者の私が?
「リグが倒してくれていいよ?」
「あれ、言ってませんでしたっけ。私たち悪魔は同族同士は争いが出来ないんです。何でも悪魔王の唯一定めた悪魔の法だとか」
そんなの聞いてないんですけど!
ていうか、目の前のコイツ何、なんかめちゃ強そうなんだけど。
人型イケメンのくせに背中から6本腕が生えてるよ。反則だよ。
「そいつたぶん、私より位階序列は上です。でもお姉様なら大丈夫ですよ」
リグより強い?
んなの、やってられるかあぁぁぁぁ!
《永久氷獄》
悪魔を含めた周囲一帯が凍ったことを確認し、リグを抱えて砦の外へ転移する。
ちょうど転移した先に慌てて駆け出してきた傭兵さんの姿があった。
「すぐに馬車に乗って」
私の必死の形相に、ことの重大さを感じ取ってくれたのか傭兵さんたちはコクコクと頷き矢のような速さでバッカス率いる馬車へと飛び乗った。
中の光景を見て、何故だか足が止まっている。まるで、その場から一歩も動くことが出来ないかのように。
私が最後に小部屋の中へと入ると、その先にいたのは、大将と思われる人物の変わり果てた姿だった。
不意にリグの方へ視線を送る。
「私じゃありませんよ。どう言った訳か、この部屋は奴の臭いでいっぱいね」
リグの言う匂いは私には分からないけど、確かにこの部屋には私たち以外の誰かの気配を感じる。
つまりは、隠れているってこと。
だけど、場所が分からない。魔法を使えば特定はすぐだけど、流石にこの状態で使えばバレそうだし、私は魔女です。と言ってるようなもの。あまり使いたくはない。
その時だった。
不意に背後の扉がバタンと閉じられた。当然、外から誰かが閉めたわけではない。
その音にビクリと身体を震わせた副将は、今まで伏せていた頭を起こし、キョロキョロと辺りを観察する。
「アロス大将!?」
大将の姿を確認すると、一目散に駆け寄った。
身体を譲り、何度も呼びかけるも、当然ながら呼び掛けに応じるはずもない。だって、上半身と下半身がサヨナラしてるんだもん。
「⋯我の計画を邪魔するとはな」
大将の亡骸の背後の方から謎の闇が発生したかと思えば、その中から真っ黒な化け物が這い出てくる。
慌てふためく副将の身体ごとペシャリと踏み潰すと、化け物は私たちを凝視する。
傭兵たちも人外の相手に身体を震わせて、一歩、また一歩と後退りしていた。
「あんなの聞いてないよ⋯」
化け物は、何故だかこちらを、いや、リグの方を睨みつけている。
もしかして、一目惚れとか? ないか。だってそれだとロリコンだもの。あ、それは私でも同じことか。
「なぜ、貴様がここにいる」
「あんたに答える義理はないわね」
え、何、やっぱりお知り合い?
「知り合い?」
「いえ、会ったのは初めてですが、御察しの通り、同族です。同族同士は隠蔽が利かないので正体が見破られるんです」
えっと、正体? 隠蔽?
疑問符を浮かべている私をそっちのけで2人の会話は続く。
「何故悪魔である貴様がこんなゴミ共と一緒にいるのだ」
ぷっつん。
今確かに聞こえないはずの変な音が聞こえたかと思えば、隣から赤い蒸気のようなものがほとばしっていた。心なしか少し熱い気がする。いや、気のせいじゃない。すごく熱い。
傭兵たちは、いつのまにやら後方の壁の方へと避難していた。
恐る恐るリグの方へ振り向く。
「⋯撤回しろ。⋯死にたくなければ今すぐ撤回しろ」
大地が揺れる。小さくない揺れだった。
天井からは小石が降ってくる。いつのまにか閉ざされた扉が吹き飛ばされていた。
「リグ、まずは落ち着こう、ね? リグさん、リグさーん?」
あ、駄目だ。聞こえてないよねこれ。
対する悪魔は、その姿を変化させようとしていた。
そんなに時間をかけない間にまんま人に近い形にまで形状を変えた。
リグのような幼女ではなく、どっちかと言えばイケメン青年枠かもしれない。
そうこうしている間に、無視されていたリグのボルテージは最高潮に達しようとしていた。
これは冗談抜きで傭兵たちを連れて退散した方がいいかもしれない。
「崇高な存在である我ら悪魔が人族や怪しげな者と一緒につるんでいること自体、理解し難い行為だ。我自らの手で引導を渡してやる」
「傭兵さん、早く逃げた方がいいよ。ここにいたら絶対に死んじゃう」
「だ、駄目なんです⋯腰が抜けました」
「マリーは私が担ぐ。サリーは動けないなんて言わないわよね」
「だ、大丈夫⋯。少しだけ漏らしちゃったけど。。」
傭兵さんたちと一緒に退散しようとしたその時。
「お姉様、大変申し訳ありませんが、私の代わりにあのバカ悪魔を倒しちゃって下さい」
え⋯なんで、私が?
「貴様を倒し、己の間違いを知るがいい」
ちょっと待って、なんかアイツ私に殺気向けてない? 何で部外者の私が?
「リグが倒してくれていいよ?」
「あれ、言ってませんでしたっけ。私たち悪魔は同族同士は争いが出来ないんです。何でも悪魔王の唯一定めた悪魔の法だとか」
そんなの聞いてないんですけど!
ていうか、目の前のコイツ何、なんかめちゃ強そうなんだけど。
人型イケメンのくせに背中から6本腕が生えてるよ。反則だよ。
「そいつたぶん、私より位階序列は上です。でもお姉様なら大丈夫ですよ」
リグより強い?
んなの、やってられるかあぁぁぁぁ!
《永久氷獄》
悪魔を含めた周囲一帯が凍ったことを確認し、リグを抱えて砦の外へ転移する。
ちょうど転移した先に慌てて駆け出してきた傭兵さんの姿があった。
「すぐに馬車に乗って」
私の必死の形相に、ことの重大さを感じ取ってくれたのか傭兵さんたちはコクコクと頷き矢のような速さでバッカス率いる馬車へと飛び乗った。
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