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最後の魔女65 悪魔リグレットの誕生
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真っ暗な世界にポツンと私がいた。
何をするでもなく、ただ流れに身を任せるようにゆらゆらと佇んでいた。
ここは何処だろう⋯
何も見えないし、何も感じない。
あれ、そう言えば何で私はこんな所にいるのだろうか。確か、最後の記憶は⋯⋯うーん、思い出せない。
あれ、私って誰だっけ?
どうしてだろ、何も思い出せない⋯⋯怖いよ⋯
気が付いた先は、赤い絨毯に豪華絢爛に飾られた調度品の並ぶ、広間だった。
最奥には、一際サイズの大きな骨で造られたセンスが良いとは思えない奇妙な細工が施されたイスがあり、そこに座るこれまた異質な者。顔は黒くモヤ掛かっていて、よく分からない。けど分かる。ヤバいくらい、あいつは強い。
その人物の前には、私を品定めするかのように強い視線を送る人物がいた。黒いスーツを身にまとい、すらっと伸びた脚が印象的だろう。眼鏡を掛けていて理的なイメージを受ける。
「ゴルエルの奴、またとんでもない子供を見つけて来たものだ」
ゴルエルって、誰だろう。
「おい、子供。言葉は分かるか?」
キョロキョロと辺りを伺う。
子供って、私のことだよね。他に見当たらないし。
「あ、はい」
「喜べ。お前は、これより正式に悪魔となった。下位悪魔だがな、精進すれば、いつの日か私のような高位悪魔に慣れる日も来るだろう」
え、悪魔って、何それ怖い。喜べって、全然嬉しくないんだけど。
頭が少しだけガンガンする。確か、私は悪魔になるべく生まれて来たような⋯。何でだろう、何かが邪魔をして、思い出せない。
「記憶が混乱しているようだな。お前が意識を失う前にフードを被った悪魔に出会わなかったか? あれがゴルエルだ」
そういえば、何処かの洞窟にいたような、それで誰かが訪ねて来て、急に倒れたような?
「あいつの役目は、有望な悪魔因子を持って生まれた輩に悪魔となるべく試練を受けさせるのだ。お前はその試練に打ち勝ち、晴れて悪魔となったのだ。8割方は試練の痛みに負けて死ぬのだがな」
え、あれやっぱり死んじゃうやつだったのか。それに、別に悪魔になんてなりたいとは思わないけど、なんだろう、この感情は⋯⋯。
「クククッ、フォルネウス様ぁ、なんですかぁ、その美味しそうなガキは」
「ん、あぁ、サリエルか。確かお前は特任の報告に来ていたのだな。こいつは、今し方悪魔となった子供だ。下位悪魔故まだ名はない」
大きな口から涎を垂らしながら、時折覗かせるその牙に、背筋がゾッと凍りつく。
あいつ、どう見ても私のこと餌としか見てない目だよね。殺っちゃってもいいのかな?
「悪魔のくせにぃ何でそんな美味しそうなのかねぇ。食べてしまいたいくらいになぁ」
フォルネウスは、呆れたと言った表情をし、チラリと私の顔色を伺うと、ニコリとその口元を歪めた。
「好きにするといい。まぁ、ここで終わるのならその程度と言うことだ」
その言葉を聞き、サリエルは一目散に私へと飛び掛かる。一瞬にして間合いを詰め、その獰猛な牙と鋭く尖った爪を私に突き立てんと迫りくる。
タイミングを上手く合わせ、身体強化した脚で顎を勢いよく蹴り上げる。
まさか反撃を喰らうと思ってなかったのか、驚いた表情を見せるも、そのまま器用に空中で1回転すると、地面へと着地した。
「へぇ、ガキのくせに中々やるじゃねぇか。こりゃぁ、食い甲斐があるってもんだわなぁ」
「だまれ。くっちゃべってないで殺してあげるからとっとと来い」
《灼熱の弾丸》
私の言葉に苛立ちを隠し切れていない。先程近付いて反撃を喰らったのを恐れてか、今度は遠距離で仕掛けきた。
私はそれを、左に右に走って躱し、魔力を帯びた拳でその歪んだ顔を殴り飛ばした。
豪快な音を立て、そのままサリエルは壁に激突する。
口程にもないね。
私はクイクイと相手を挑発した。
「舐めるんじゃねぇぞ、ガキがぁぁあ!」
不意に身体を何かに掴まれる感覚に苛まれた。
見ると、得体の知れない黒い腕が、私の身体をガッチリと掴み上げていた。
なにこれ? 力が入らないし、魔力が⋯練れない?
「ヒャッハー! 油断したなぁ? そいつに掴まれたらもう終わりさ」
そのままボコボコとサンドバックのように殴られる。
後に知ったことだけど、悪魔には大きく分けて3つの格付けがある。それは、下位悪魔、中位悪魔、高位悪魔だ。生まれ持っての上位悪魔もいれば下位から成り上がり上位悪魔になる者もいる。
中位悪魔以上になれば、悪魔の腕を顕現させることが出来る。その腕の能力は個体毎に違うが、どれも反則級な能力だった。
一頻り殴り満足したのか、悪魔の腕を消した。
「さぁもう抵抗出来ないだろうなぁ、素直に俺に喰われ────」
《冷徹な一閃》
油断し切っている相手の脳天を貫いた。
巨大な体躯がドサリと崩れ落ちる。
私もダメージからか、起き上がるも、蹌踉めいてしまう。
「見事だ」
フォルネウスがこちらに歩み寄る。
「悪魔には一つ、流儀があってな。本来、悪魔同士は決して殺し合いすることが出来ない。しかし、私が許可を出せばそれもまた別だ。まぁ、覚えておくといい」
再びフォルネウスは踵を返し、歩き去っていく。
「あぁ、そうそう。今お前が倒したのは中位悪魔サリエル。倒した者の特権だ。そいつの体を喰らい、能力を奪うといい。それと、今日からお前も中位悪魔だ。名は、そうだな⋯⋯。リグレットと名乗れ」
気がつくとフォルネウスの姿は綺麗さっぱり消えていた。
奥に座っていた人物もいつの間にか消えていた。
何をするでもなく、ただ流れに身を任せるようにゆらゆらと佇んでいた。
ここは何処だろう⋯
何も見えないし、何も感じない。
あれ、そう言えば何で私はこんな所にいるのだろうか。確か、最後の記憶は⋯⋯うーん、思い出せない。
あれ、私って誰だっけ?
どうしてだろ、何も思い出せない⋯⋯怖いよ⋯
気が付いた先は、赤い絨毯に豪華絢爛に飾られた調度品の並ぶ、広間だった。
最奥には、一際サイズの大きな骨で造られたセンスが良いとは思えない奇妙な細工が施されたイスがあり、そこに座るこれまた異質な者。顔は黒くモヤ掛かっていて、よく分からない。けど分かる。ヤバいくらい、あいつは強い。
その人物の前には、私を品定めするかのように強い視線を送る人物がいた。黒いスーツを身にまとい、すらっと伸びた脚が印象的だろう。眼鏡を掛けていて理的なイメージを受ける。
「ゴルエルの奴、またとんでもない子供を見つけて来たものだ」
ゴルエルって、誰だろう。
「おい、子供。言葉は分かるか?」
キョロキョロと辺りを伺う。
子供って、私のことだよね。他に見当たらないし。
「あ、はい」
「喜べ。お前は、これより正式に悪魔となった。下位悪魔だがな、精進すれば、いつの日か私のような高位悪魔に慣れる日も来るだろう」
え、悪魔って、何それ怖い。喜べって、全然嬉しくないんだけど。
頭が少しだけガンガンする。確か、私は悪魔になるべく生まれて来たような⋯。何でだろう、何かが邪魔をして、思い出せない。
「記憶が混乱しているようだな。お前が意識を失う前にフードを被った悪魔に出会わなかったか? あれがゴルエルだ」
そういえば、何処かの洞窟にいたような、それで誰かが訪ねて来て、急に倒れたような?
「あいつの役目は、有望な悪魔因子を持って生まれた輩に悪魔となるべく試練を受けさせるのだ。お前はその試練に打ち勝ち、晴れて悪魔となったのだ。8割方は試練の痛みに負けて死ぬのだがな」
え、あれやっぱり死んじゃうやつだったのか。それに、別に悪魔になんてなりたいとは思わないけど、なんだろう、この感情は⋯⋯。
「クククッ、フォルネウス様ぁ、なんですかぁ、その美味しそうなガキは」
「ん、あぁ、サリエルか。確かお前は特任の報告に来ていたのだな。こいつは、今し方悪魔となった子供だ。下位悪魔故まだ名はない」
大きな口から涎を垂らしながら、時折覗かせるその牙に、背筋がゾッと凍りつく。
あいつ、どう見ても私のこと餌としか見てない目だよね。殺っちゃってもいいのかな?
「悪魔のくせにぃ何でそんな美味しそうなのかねぇ。食べてしまいたいくらいになぁ」
フォルネウスは、呆れたと言った表情をし、チラリと私の顔色を伺うと、ニコリとその口元を歪めた。
「好きにするといい。まぁ、ここで終わるのならその程度と言うことだ」
その言葉を聞き、サリエルは一目散に私へと飛び掛かる。一瞬にして間合いを詰め、その獰猛な牙と鋭く尖った爪を私に突き立てんと迫りくる。
タイミングを上手く合わせ、身体強化した脚で顎を勢いよく蹴り上げる。
まさか反撃を喰らうと思ってなかったのか、驚いた表情を見せるも、そのまま器用に空中で1回転すると、地面へと着地した。
「へぇ、ガキのくせに中々やるじゃねぇか。こりゃぁ、食い甲斐があるってもんだわなぁ」
「だまれ。くっちゃべってないで殺してあげるからとっとと来い」
《灼熱の弾丸》
私の言葉に苛立ちを隠し切れていない。先程近付いて反撃を喰らったのを恐れてか、今度は遠距離で仕掛けきた。
私はそれを、左に右に走って躱し、魔力を帯びた拳でその歪んだ顔を殴り飛ばした。
豪快な音を立て、そのままサリエルは壁に激突する。
口程にもないね。
私はクイクイと相手を挑発した。
「舐めるんじゃねぇぞ、ガキがぁぁあ!」
不意に身体を何かに掴まれる感覚に苛まれた。
見ると、得体の知れない黒い腕が、私の身体をガッチリと掴み上げていた。
なにこれ? 力が入らないし、魔力が⋯練れない?
「ヒャッハー! 油断したなぁ? そいつに掴まれたらもう終わりさ」
そのままボコボコとサンドバックのように殴られる。
後に知ったことだけど、悪魔には大きく分けて3つの格付けがある。それは、下位悪魔、中位悪魔、高位悪魔だ。生まれ持っての上位悪魔もいれば下位から成り上がり上位悪魔になる者もいる。
中位悪魔以上になれば、悪魔の腕を顕現させることが出来る。その腕の能力は個体毎に違うが、どれも反則級な能力だった。
一頻り殴り満足したのか、悪魔の腕を消した。
「さぁもう抵抗出来ないだろうなぁ、素直に俺に喰われ────」
《冷徹な一閃》
油断し切っている相手の脳天を貫いた。
巨大な体躯がドサリと崩れ落ちる。
私もダメージからか、起き上がるも、蹌踉めいてしまう。
「見事だ」
フォルネウスがこちらに歩み寄る。
「悪魔には一つ、流儀があってな。本来、悪魔同士は決して殺し合いすることが出来ない。しかし、私が許可を出せばそれもまた別だ。まぁ、覚えておくといい」
再びフォルネウスは踵を返し、歩き去っていく。
「あぁ、そうそう。今お前が倒したのは中位悪魔サリエル。倒した者の特権だ。そいつの体を喰らい、能力を奪うといい。それと、今日からお前も中位悪魔だ。名は、そうだな⋯⋯。リグレットと名乗れ」
気がつくとフォルネウスの姿は綺麗さっぱり消えていた。
奥に座っていた人物もいつの間にか消えていた。
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