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最後の魔女73 リグの決断
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ウェルズの紫念操爆球二発をまともに受けてしまったリグ。爆風により舞った爆煙、土煙が次第に晴れ、段々と視界が開けてきた。
ユリアーナはその一方方向を食い入るように祈りのポーズを取りながら凝視していた。『どうか私の友人をお守り下さい』と。
しかし、その場所には何もなかった。地面に大穴が空いているだけだった。
腕を組み余裕のポーズを決めていたウェルズ本人もキョロキョロと周りの警戒を始めた。跡形もなく消滅したのではないと確信していたのだ。
《魔力感知》
ウェルズは視界での感知を諦め、魔力による感知に切り替えた丁度その矢先⋯
ウェルズの両足を悪魔の腕が掴んだ。視線を送ると、地面からリグが顔だけを覗かせていた。
踠こうとするも離れない。得意の転移も掴まれていては一緒に転移してしまう為に使えない。
「これでもう逃がさないわよ」
爆発は避けれないと、咄嗟に穴を掘って地中に逃げたけど、正解だったみたいね。お返しにそのまま地面に引き摺り込んでやるわ。
その光景は、土竜が獲物を強引に地中へと引っ張り込むようだった。ウェルズはジタバタと抵抗するも無駄に終わっていた。そのまま、身動きの取りにくい地中でリグはその拳を振るった。
地表では鈍い音が不規則なリズムを刻んでいた。
全身土塗れで先に這い出て来たのはリグだった。
「折角の一張羅が台無しね」
土をはたき落としていると、次いでウェルズが土と血塗れの状態で何とか這い出てくる。
「クッ⋯貴様必ズ殺ス⋯」
その姿を見て疑問を覚えた。
何故、わざわざ這い出て来たのかと。転移を使えばすぐなのにと。
答えは簡単だった。
ウェルズが無制限で使用出来るのは、あくまでも自分が視界に捉えている範囲だったのだ。地面の中では薄暗く、また視界に映るのものはすぐ目の前の土や砂だったからだ。
なるほどね、そういうことかぁ。転移する先が見えなければ飛べないのか。突破口が見つかると攻略するのは容易いわね。まぁでも相当のダメージを与えておいたからまともに動けないはずだけど。
ウェルズはまたしても転移を使い、目の前から消えた。
えっと、今度は何処に行きやがったのかな。周りには見えない、もしかして逃げた? 別にそれならそれでいいんだけど。
「キャアアアア」
声のした方へと振り向くとユリアーナの喉元に爪を突き立ているウェルズの姿があった。
あいつ、人質を⋯。
「動ケバ⋯女ヲ殺ス」
爪の先端が首筋に触れ、真っ赤な血が彼女の白くてか細い首から滴り落ちる。
あれだと下手に動けない。隙をついてもアイツには転移があるし、スピード勝負じゃ勝ち目はない。
「わ、私のことはいいから、こいつを倒しちゃって⋯貴女なら出来るでしょ」
うん、今ならきっとアイツを倒すのはそんなに難しくはないと思う。負傷してるから幾分か動きが鈍っているしね。
何を迷うことがあるのだろう。ユリアーナ本人も『私のことは気にするな』って言ってるんだし、さっさと止めを刺して終わらせればいいんだよね⋯。
今までの私なら何も考えずにきっとそうしていたと思う。もしも人質に取られていたのがユリアーナじゃなかったら。もしも全く知らない相手だったら⋯。
目障りな魔族は倒せる。だけど、それは高確率でユリアーナの死がつきまとう。
リグは悪魔の腕を消し、両手を高らかと天に上げる。
「リグレッド⋯何でよ⋯」
抵抗しないと見るやウェルズは先程と同じ魔法を繰り出した。
軌跡を残して、全ての魔法が私に着弾する。
痛い⋯死ぬほど痛いよ。
こんなに痛い思いをしたのは⋯あれっ、いつ振りだろうか。悪魔になった時も何か副作用で死に掛けた気もするけど、それよりももっと昔にもそれこそ死んじゃう位痛い思いをしたような。あれ、いやでもその時は痛くなかったような⋯。ううう。もう何が何だか分からないよ。
その時、ある人物の顔が私の脳内に映し出される。
キレイな女の人。誰だろ。ユリアーナに似てる気がするけど、たぶん違う。だって見窄らしい服着てるし、そもそも髪もあんなに長くない。
それにこの記憶、私の物なのかな? 温かい眼差しで私に笑顔を見せる。何か口をモゴモゴしてるけど何言ってるか聞こえないよ。
私は倒れなかった。
あいつは警戒してか、直接近寄って攻撃してこずに遠距離から魔法を放つだけだった。
もう何も感覚はない。ユリアーナが叫んでる声だけが微かに聞こえる気がする。
ユリアーナ今、どんな顔してるかな。泣いてるかな? うん、きっと泣いてるよね。アンタ泣き虫だからさ。
ユリアーナはその一方方向を食い入るように祈りのポーズを取りながら凝視していた。『どうか私の友人をお守り下さい』と。
しかし、その場所には何もなかった。地面に大穴が空いているだけだった。
腕を組み余裕のポーズを決めていたウェルズ本人もキョロキョロと周りの警戒を始めた。跡形もなく消滅したのではないと確信していたのだ。
《魔力感知》
ウェルズは視界での感知を諦め、魔力による感知に切り替えた丁度その矢先⋯
ウェルズの両足を悪魔の腕が掴んだ。視線を送ると、地面からリグが顔だけを覗かせていた。
踠こうとするも離れない。得意の転移も掴まれていては一緒に転移してしまう為に使えない。
「これでもう逃がさないわよ」
爆発は避けれないと、咄嗟に穴を掘って地中に逃げたけど、正解だったみたいね。お返しにそのまま地面に引き摺り込んでやるわ。
その光景は、土竜が獲物を強引に地中へと引っ張り込むようだった。ウェルズはジタバタと抵抗するも無駄に終わっていた。そのまま、身動きの取りにくい地中でリグはその拳を振るった。
地表では鈍い音が不規則なリズムを刻んでいた。
全身土塗れで先に這い出て来たのはリグだった。
「折角の一張羅が台無しね」
土をはたき落としていると、次いでウェルズが土と血塗れの状態で何とか這い出てくる。
「クッ⋯貴様必ズ殺ス⋯」
その姿を見て疑問を覚えた。
何故、わざわざ這い出て来たのかと。転移を使えばすぐなのにと。
答えは簡単だった。
ウェルズが無制限で使用出来るのは、あくまでも自分が視界に捉えている範囲だったのだ。地面の中では薄暗く、また視界に映るのものはすぐ目の前の土や砂だったからだ。
なるほどね、そういうことかぁ。転移する先が見えなければ飛べないのか。突破口が見つかると攻略するのは容易いわね。まぁでも相当のダメージを与えておいたからまともに動けないはずだけど。
ウェルズはまたしても転移を使い、目の前から消えた。
えっと、今度は何処に行きやがったのかな。周りには見えない、もしかして逃げた? 別にそれならそれでいいんだけど。
「キャアアアア」
声のした方へと振り向くとユリアーナの喉元に爪を突き立ているウェルズの姿があった。
あいつ、人質を⋯。
「動ケバ⋯女ヲ殺ス」
爪の先端が首筋に触れ、真っ赤な血が彼女の白くてか細い首から滴り落ちる。
あれだと下手に動けない。隙をついてもアイツには転移があるし、スピード勝負じゃ勝ち目はない。
「わ、私のことはいいから、こいつを倒しちゃって⋯貴女なら出来るでしょ」
うん、今ならきっとアイツを倒すのはそんなに難しくはないと思う。負傷してるから幾分か動きが鈍っているしね。
何を迷うことがあるのだろう。ユリアーナ本人も『私のことは気にするな』って言ってるんだし、さっさと止めを刺して終わらせればいいんだよね⋯。
今までの私なら何も考えずにきっとそうしていたと思う。もしも人質に取られていたのがユリアーナじゃなかったら。もしも全く知らない相手だったら⋯。
目障りな魔族は倒せる。だけど、それは高確率でユリアーナの死がつきまとう。
リグは悪魔の腕を消し、両手を高らかと天に上げる。
「リグレッド⋯何でよ⋯」
抵抗しないと見るやウェルズは先程と同じ魔法を繰り出した。
軌跡を残して、全ての魔法が私に着弾する。
痛い⋯死ぬほど痛いよ。
こんなに痛い思いをしたのは⋯あれっ、いつ振りだろうか。悪魔になった時も何か副作用で死に掛けた気もするけど、それよりももっと昔にもそれこそ死んじゃう位痛い思いをしたような。あれ、いやでもその時は痛くなかったような⋯。ううう。もう何が何だか分からないよ。
その時、ある人物の顔が私の脳内に映し出される。
キレイな女の人。誰だろ。ユリアーナに似てる気がするけど、たぶん違う。だって見窄らしい服着てるし、そもそも髪もあんなに長くない。
それにこの記憶、私の物なのかな? 温かい眼差しで私に笑顔を見せる。何か口をモゴモゴしてるけど何言ってるか聞こえないよ。
私は倒れなかった。
あいつは警戒してか、直接近寄って攻撃してこずに遠距離から魔法を放つだけだった。
もう何も感覚はない。ユリアーナが叫んでる声だけが微かに聞こえる気がする。
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