75 / 110
最後の魔女74 思念の狭間
しおりを挟む
何もない世界。
意識だけの世界。
私の思念だけが、何もない世界にポツリと浮かんでいた。
そこは黒くて暗い世界。
私は⋯もしかして死んじゃったのかな。あれだけボコボコにされたんだからきっと、死んじゃったのかもね。でも何であんなことしたんだろ。
昨日今日知り合っただけのましてや敵である人族なんかの為にさ。自分が犠牲になるなんて。でも何でだろ。後悔はしていないんだよね。別に私は悪魔と言う種族に誇りを持ってた訳じゃないし、悪魔王様の使命を全うしなくちゃいけないなんてこれっぽっちも思ってない。元よりなんで自分が悪魔なんだろって最近よく考えるようになった。もしかしたら、私はなりたくもないのに無理やり悪魔をしてるんじゃないかなって。
ていうかさ、さっきから私の脳裏にチラチラ見え隠れする貴女は誰なのさ。最初はユリアーナみたいな感じの子だったけど、今私に強く訴えかけてる貴女はまた別人よね。一体アンタは誰なのさ!
断片的に意味の分からないことばかり呟いてないで姿を見せなさいよ。
(本当は直に接触するのは禁じられているのですけどね)
抑揚のない声が聞こえたかと思えば、目の前に現れたのは、うわぁ、なんて綺麗なんだろ。それにキラキラと輝いてる。とてもこの世のものとは思えない神秘的な雰囲気。
(貴女は悪魔の身でありながら、とても良い行いをしましたね)
もしかして、ユリアーナの為に死んだこと? 良い行いかどうかは分からないけどさ、よく良く考えたらさ、あれ私が死んだらユリアーナはどうなるの? 絶対あの悪魔に殺されてるよね。慈悲のかけらもなさそうだし、見逃してくれるはずもない。あれ、それって私無駄死にじゃない?
あははっ、私って馬鹿だぁ⋯
守ったつもりだったのに、少しだけほんの少しだけ命を長らえさせただけじゃん。あの後すぐに援軍でも駆けつけて見事聖女様を救い出しましたみたいな絵本の中の物語でもあるまいし。
(ゴホンッ。そろそろ口を挟んでもよろしいですか?)
え、いいけど何さ。
(貴女はまだ死んでませんけど)
死んでないの? どうみても魂だけみたいな形になってるけど。
(時の流れを止め、思念だけをこちらの世界に呼び寄せたのです。貴女はあの場所で絶賛サンドバック中です)
サンドバックねって、もうちょっと言い方あるよね? どちらにしてもあのままだとどうせすぐに死んじゃうよね。
(未練があるのでしょう。先程仰っていたではないですか。あの人族を助けたいと)
⋯⋯助けたいよ。でも出来るの?
(それは貴女次第です。ちなみに少し先の未来のお話をしましょうか。このまま貴女が何もしなかった場合、彼女はあの魔族に無残に殺されるでしょう。それはそれは無残にね)
アンタ綺麗な顔して性格悪いわね。そんな未来にさせる訳ないでしょ!
すぐに私をあの場所に戻しない! 今すぐに!
(分かりました。では最後に貴女の善行に対して褒美を差し上げましょう)
キラキラとした輝きが私の周りに降り注がれる。
そうして私の意識は元の場所へと戻された。
(頑張りなさい⋯⋯シュティア⋯)
意識だけの世界。
私の思念だけが、何もない世界にポツリと浮かんでいた。
そこは黒くて暗い世界。
私は⋯もしかして死んじゃったのかな。あれだけボコボコにされたんだからきっと、死んじゃったのかもね。でも何であんなことしたんだろ。
昨日今日知り合っただけのましてや敵である人族なんかの為にさ。自分が犠牲になるなんて。でも何でだろ。後悔はしていないんだよね。別に私は悪魔と言う種族に誇りを持ってた訳じゃないし、悪魔王様の使命を全うしなくちゃいけないなんてこれっぽっちも思ってない。元よりなんで自分が悪魔なんだろって最近よく考えるようになった。もしかしたら、私はなりたくもないのに無理やり悪魔をしてるんじゃないかなって。
ていうかさ、さっきから私の脳裏にチラチラ見え隠れする貴女は誰なのさ。最初はユリアーナみたいな感じの子だったけど、今私に強く訴えかけてる貴女はまた別人よね。一体アンタは誰なのさ!
断片的に意味の分からないことばかり呟いてないで姿を見せなさいよ。
(本当は直に接触するのは禁じられているのですけどね)
抑揚のない声が聞こえたかと思えば、目の前に現れたのは、うわぁ、なんて綺麗なんだろ。それにキラキラと輝いてる。とてもこの世のものとは思えない神秘的な雰囲気。
(貴女は悪魔の身でありながら、とても良い行いをしましたね)
もしかして、ユリアーナの為に死んだこと? 良い行いかどうかは分からないけどさ、よく良く考えたらさ、あれ私が死んだらユリアーナはどうなるの? 絶対あの悪魔に殺されてるよね。慈悲のかけらもなさそうだし、見逃してくれるはずもない。あれ、それって私無駄死にじゃない?
あははっ、私って馬鹿だぁ⋯
守ったつもりだったのに、少しだけほんの少しだけ命を長らえさせただけじゃん。あの後すぐに援軍でも駆けつけて見事聖女様を救い出しましたみたいな絵本の中の物語でもあるまいし。
(ゴホンッ。そろそろ口を挟んでもよろしいですか?)
え、いいけど何さ。
(貴女はまだ死んでませんけど)
死んでないの? どうみても魂だけみたいな形になってるけど。
(時の流れを止め、思念だけをこちらの世界に呼び寄せたのです。貴女はあの場所で絶賛サンドバック中です)
サンドバックねって、もうちょっと言い方あるよね? どちらにしてもあのままだとどうせすぐに死んじゃうよね。
(未練があるのでしょう。先程仰っていたではないですか。あの人族を助けたいと)
⋯⋯助けたいよ。でも出来るの?
(それは貴女次第です。ちなみに少し先の未来のお話をしましょうか。このまま貴女が何もしなかった場合、彼女はあの魔族に無残に殺されるでしょう。それはそれは無残にね)
アンタ綺麗な顔して性格悪いわね。そんな未来にさせる訳ないでしょ!
すぐに私をあの場所に戻しない! 今すぐに!
(分かりました。では最後に貴女の善行に対して褒美を差し上げましょう)
キラキラとした輝きが私の周りに降り注がれる。
そうして私の意識は元の場所へと戻された。
(頑張りなさい⋯⋯シュティア⋯)
0
あなたにおすすめの小説
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
三年目の離婚から始まる二度目の人生
あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。
三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。
理由はただ一つ。
“飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。
女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。
店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。
だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。
(あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……)
そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。
これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。
今度こそ、自分の人生を選び取るために。
ーーー
不定期更新になります。
全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる