97 / 110
最後の魔女96 王妃誕生2
しおりを挟む
僅か3ヶ月という短い期間で、エルスレインは念願の王妃というポジションに就任してしまった。これも全てはリリベルの幻惑の為せる技であった。
その為に国王だけではなく、周りの者達をも術中に掛ける必要があり、その人数は50人以上に及んだ。最後の最後までバングが抵抗したのは、他でもない王妃ターニャのことだった。
頑なに第二王妃を迎えるということを拒んだのだ。
『もう待てない』と最終手段として、エルスレインは国王バングの元に向かい、半軟禁状態にして徹底して幻惑を浴びせかけるようにリリベルに命令する。拒めばすぐに妹のことをチラつかせ言うことを聞かせた。
そうしてやっとの想いで、王妃となることが出来た。
最後まで障害となった第一王妃ターニャの存在を疎ましく思ったエルスレインは、存在を消すことを決断する。
エルスレインが命じたのは、単に暗殺であったが、何度命令してもリリベルはそれを拒んだ。人の命を奪うことはやりたくないと。しかし、妹のこともあり、直接的に手は出せないが、間接的で良いなら方法があると提案したのだ。それが呪怨だった。
リリベルは博識だった。とにかく本を読むのが好きな彼女は廃屋に忍び込むのは、実はあの時が初めてではなく、寧ろ常習性があった。
その目的は、本を読むことだった。
しかし、彼女はルールを決めており、本を拝借するのは明らかに廃屋となって人が住んでいないと分かっている時だった。しかも徹底していたのは、読み終わるとちゃんと元あった場所に返しに行く所だろう。故に奪うのではなく、拝借だった。
ある時彼女は、如何にも悪魔崇拝者の者と思しき廃墟跡を見つけた。そこには膨大な資料が残されており、床には怪しげな魔法陣が描かれていた。量も量だった為、持ち帰ることを諦めたリリベルは足繁くそこに通った。ある時は時間も忘れて徹夜で書物を読み漁り、気が付けば何日も篭っていると言う日々が続いた。己が知識として蓄積していったのだ。呪怨のこともそこで学んでいた。
「そうして時間を費やして呪怨を施しました。でもまさか解呪されるなんて思っても見なかった」
私はジト目でリリベルを睨む。命令されたからとは言え、私が解呪する為に死ぬ思いまで苦労させられたことに変わりはない。
「凄く苦労した」
リリベルは申し訳なさそうに何度もベッドに頭を叩きつける。
「でも、結果的に助かりました。間接的とは言え、この手で命を殺めることにならなくて」
話を聞き限りでは、きっとこの子はいい子なんだと思う。つまりは真に文句を言いその罪を償わせなければならないのは彼女じゃない。偽王妃エルスレインだ。
その為には、まずしなければならない事がある。
(と言うわけで仕事よ。彼女の妹の居場所を捜し出して今すぐに)
(と言うわけってどう言うわけにゃ! 話が分からないにゃ!)
全く、理解力がない眷属を持つと主は苦労する。
その後、詳しく駄猫に説明し、匂いで捜索して貰う運びとなった。
リグが目を覚ますと、何故だかリリベルはビクリと体を震わせ、私の後ろへと隠れる。それを面白がったリグはワザと怖がらせるように振る舞って遊んでいた。
「本当に申し訳ありませんでした!」
今度は直接ターニャさんとシルフィに謝罪するリリベル。
事前に事情を説明しておいたからターニャさんも敢えて咎める事はしなかった。
シルフィに至っても逆に妹の身を案じてくれていた。
「でも安心しました。やはりあの人は私のことが嫌いになったのではなかったのね」
ボロボロと涙を溢すターニャさんに寄り添うシルフィ。私の入る幕はないわね。
それにしても駄猫のやつ遅いわね。急いでるってのに。などと思っていると連絡が入った。
(駄目にゃ。匂いで捜してるけど全く手掛かりがつかめないにゃ。少なくともこの王国には居ないにゃ)
駄猫の嗅覚は確かだ。地下室に閉じ込めた程度では隠すことは出来ない。じゃあ、妹は一体何処にいるの?
その後も複数の眷属に依頼して懸命に捜索し、漸く見つけ出すことが出来た。
しかし、結果は最悪の結末だった。
私は先に1人その場所を訪れた。
この場所は、リリベルとエルスレインが最初に出会った廃屋の納屋。
そこで待っていたのは、変わり果てた妹の姿だった。
その為に国王だけではなく、周りの者達をも術中に掛ける必要があり、その人数は50人以上に及んだ。最後の最後までバングが抵抗したのは、他でもない王妃ターニャのことだった。
頑なに第二王妃を迎えるということを拒んだのだ。
『もう待てない』と最終手段として、エルスレインは国王バングの元に向かい、半軟禁状態にして徹底して幻惑を浴びせかけるようにリリベルに命令する。拒めばすぐに妹のことをチラつかせ言うことを聞かせた。
そうしてやっとの想いで、王妃となることが出来た。
最後まで障害となった第一王妃ターニャの存在を疎ましく思ったエルスレインは、存在を消すことを決断する。
エルスレインが命じたのは、単に暗殺であったが、何度命令してもリリベルはそれを拒んだ。人の命を奪うことはやりたくないと。しかし、妹のこともあり、直接的に手は出せないが、間接的で良いなら方法があると提案したのだ。それが呪怨だった。
リリベルは博識だった。とにかく本を読むのが好きな彼女は廃屋に忍び込むのは、実はあの時が初めてではなく、寧ろ常習性があった。
その目的は、本を読むことだった。
しかし、彼女はルールを決めており、本を拝借するのは明らかに廃屋となって人が住んでいないと分かっている時だった。しかも徹底していたのは、読み終わるとちゃんと元あった場所に返しに行く所だろう。故に奪うのではなく、拝借だった。
ある時彼女は、如何にも悪魔崇拝者の者と思しき廃墟跡を見つけた。そこには膨大な資料が残されており、床には怪しげな魔法陣が描かれていた。量も量だった為、持ち帰ることを諦めたリリベルは足繁くそこに通った。ある時は時間も忘れて徹夜で書物を読み漁り、気が付けば何日も篭っていると言う日々が続いた。己が知識として蓄積していったのだ。呪怨のこともそこで学んでいた。
「そうして時間を費やして呪怨を施しました。でもまさか解呪されるなんて思っても見なかった」
私はジト目でリリベルを睨む。命令されたからとは言え、私が解呪する為に死ぬ思いまで苦労させられたことに変わりはない。
「凄く苦労した」
リリベルは申し訳なさそうに何度もベッドに頭を叩きつける。
「でも、結果的に助かりました。間接的とは言え、この手で命を殺めることにならなくて」
話を聞き限りでは、きっとこの子はいい子なんだと思う。つまりは真に文句を言いその罪を償わせなければならないのは彼女じゃない。偽王妃エルスレインだ。
その為には、まずしなければならない事がある。
(と言うわけで仕事よ。彼女の妹の居場所を捜し出して今すぐに)
(と言うわけってどう言うわけにゃ! 話が分からないにゃ!)
全く、理解力がない眷属を持つと主は苦労する。
その後、詳しく駄猫に説明し、匂いで捜索して貰う運びとなった。
リグが目を覚ますと、何故だかリリベルはビクリと体を震わせ、私の後ろへと隠れる。それを面白がったリグはワザと怖がらせるように振る舞って遊んでいた。
「本当に申し訳ありませんでした!」
今度は直接ターニャさんとシルフィに謝罪するリリベル。
事前に事情を説明しておいたからターニャさんも敢えて咎める事はしなかった。
シルフィに至っても逆に妹の身を案じてくれていた。
「でも安心しました。やはりあの人は私のことが嫌いになったのではなかったのね」
ボロボロと涙を溢すターニャさんに寄り添うシルフィ。私の入る幕はないわね。
それにしても駄猫のやつ遅いわね。急いでるってのに。などと思っていると連絡が入った。
(駄目にゃ。匂いで捜してるけど全く手掛かりがつかめないにゃ。少なくともこの王国には居ないにゃ)
駄猫の嗅覚は確かだ。地下室に閉じ込めた程度では隠すことは出来ない。じゃあ、妹は一体何処にいるの?
その後も複数の眷属に依頼して懸命に捜索し、漸く見つけ出すことが出来た。
しかし、結果は最悪の結末だった。
私は先に1人その場所を訪れた。
この場所は、リリベルとエルスレインが最初に出会った廃屋の納屋。
そこで待っていたのは、変わり果てた妹の姿だった。
0
あなたにおすすめの小説
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
三年目の離婚から始まる二度目の人生
あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。
三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。
理由はただ一つ。
“飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。
女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。
店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。
だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。
(あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……)
そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。
これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。
今度こそ、自分の人生を選び取るために。
ーーー
不定期更新になります。
全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。
発端は彼女の父親が行方不明となり、叔父である父の弟が公爵邸に乗り込んで来たこと。
何故か叔父一家が公爵家の資産に手を付け散財するが、祖父に相談してもコロネに任せると言って、手を貸してくれないのだ。
そもそも父の行方不明の原因は、出奔中の母を探す為だった。その母には出奔の理由があって…………。
残された次期後継者のコロネは、借金返済の為に事業を始めるのだ。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる