世界の理

医白影(いしかげ)

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2章

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 神暦15995年奏月14日。

「サーシャ!起きて!ねえ、サーシャ!」
「んんっ。なあにぃもうちょっと寝かしてくれてもおっ。
・・・きょうは何月何日。」
「なーんと。奏月14日でーす。今日は朝早いって言われたじゃん。」
「誕生日!なんで寝てるの私!」
 そういってサーシャは飛び起きました。
 今日は双子の誕生日。この世界では、5の倍数の歳になる誕生日に盛大な誕生パーティーを行います。また、王族の子供は15歳まで国民に顔を見せません。15歳の誕生パーティー、それはお披露目パーティーでもあるのです。
 今日は国中が大騒ぎ。皇女様方を一目見ようと、たくさんの人々が宮殿にやってきます。当然皇女の準備も早朝に始まるわけです。
「姫様方。もう起床のお時間で・・・。覚えておられましたか。お披露目の際は、正装に着替えていただきますが、ひとまずこちらに。」
 そう言ってお付きのメイドのレイラは部屋に入って、着替えを双子に渡します。
 着替えを早急に済ませると。
「朝食に参りましょう。加速魔法展開します。」

「誕生日おめでとう。」「おめでとう。」「おめでとう!」
 席に着くと、早速家族に祝いの言葉をかけてもらいます。
「「ありがとうございます」」
 少し照れながら双子は返事をします。
「やっと15か。わしらだけのものではなくなるのか。」「もうお披露目か。俺だけの妹じゃなくなるのか。」
 男家族は一様になぜか落ち込みます。
「なに落ち込んでいらっしゃるの。もともと貴方達だけのものではないわ。」
 母親は夫と息子にきつい言葉をかけ、さらに落ち込ませるのでした。

 食事が終わって部屋に戻りました。
 今日の日程は、9時にお披露目、10時に神殿で祈祷、12時に昼食、14時から城下視察、18時から晩餐会と目白押しです。
 お披露目まで2時間。急いで準備をします。
「お召し物はこちら。姫様方の瞳の色を薄くした色のドレスでございます。サーシャ様はうすい水色、ミーシャ様はうすい紫色ですね。」
 そう言ってレイラはそれぞれにドレスを渡します。受け取った双子は、そのデザインに驚きました。タイトな上に背中がぽっかり空いています。
「レイラ。これセクシーすぎない?」
「伝統でございます。諦めてくださいませ。」
「「なっ!」」
双子がぎゃーぎゃー言っている間に、レイラとその他メイドはテキパキと双子を着替えさせます。

「よくお似合いですこと。」
 着替えと化粧をさせ終わったメイドたちは、その出来栄えに満足しました。
 双子も鏡を見て驚愕します。人は服装や化粧でここまで大人になれるのか、と。

さあ、本格的に1日が始まります。


 
 

 
 

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