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2章
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しおりを挟む"大丈夫。君は飛べるよ。"
僕は確信をもって言います。
"さあ、翼をだしてごらん。"
ミーシャは恐る恐る翼を広げます。しかし、そこにあるのはいつもの小さな翼。
「ほら、やはりボクの翼は・・・!!ぐっうっあっ」
ミーシャは突如苦しみ始めました。
"頑張って。さあ!"
僕は力を送り、手助けをします。
ミーシャの苦しみが最高点に達し叫んだと同時に、それは姿を現しました。ミーシャの背中から生えているのは、漆黒の立派な翼でした。
呪いはここまでひどいのか・・・。
僕は唇を噛み、少し細工をします。
"ほら、見てごらん。君の翼だよ。"
ミーシャはうっすら目を開けて、自分の翼を見て、驚愕しました。
「これ・・・ボクの?ボクの翼?」
"正真正銘君のだよ。君は飛べるんだ。"
「ボクの翼。白いボクの翼!」
ミーシャは空中へ飛び立ちました。
最初はよろよろと。次第に力強く羽ばたき、舞始めます。武獣たちもあわせて飛び回りました。
初めて魔法に頼らず飛べたことが、余程嬉しかったのでしょう。ひとしきり飛んで、降りてきたミーシャの瞳はキラキラと輝いていました。
おっと、そうだ。
"今回の本題はこれじゃない。神の部隊として覚醒してもらおう。その義務が、君にはある。
では。心の準備は?"
「覚醒・・・ですか。
わかりました。我らの主の望むままに。」
"よし。よく言ってくれた。"
ふっ。
1つ息を吐き、僕は始めます。
"そなたの義務を果たす意志の元に、力を授けよう。我の手足となりて生きる対価として。我らの争いに加わるその勇気に。
これからそなたは己の使命のために、多くのものを得て、多くのものを失うだろう。それでも生きよ。生きて果たせ。
勇気あるそなたに幸あらんことを。封印解除。"
詠唱終了と同時に、ミーシャは輝き始めます。
光が収まって現れたのは、別人になったミーシャの姿でした。茶色だった髪は白髪にちかい銀色で、短かったものが長く、紫の瞳は紅色に、白い衣装を身に纏って立っています。
やっと会えた。長かった。
ミーシャは僕を見て慌てだします。そんな彼女を見て、僕も驚きます。
そうか。まだ涙は枯れてなかったのか。
"見てごらん。自分の姿。はい。"
ミーシャは鏡で見た自分に驚きを隠せません。
「え。ボク?全体的に白すぎない・・・?」
"その姿が本来の君さ。ここまできたら、君は自分の使命がわかるだろう。"
「・・・はい。わかります。この力の使い方も。」
"なら良い。生き抜け。運命に抗って。またね。"
「ありがとうございます!リューケ様!」
1人になって、耐えきれず嗚咽を漏らしました。
本当に長かった。
それでも僕の罪が消えたわけではない。
どころか、さらに罪深い業となって僕にのしかかる。
それでも耐えなければ
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