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2章
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しおりを挟む「あの軍隊は、王さん達じゃないかい?」
「ほんと!そういえば城下視察ってあったわね。」
人々は、飛んでくる皇帝達を尊敬と畏怖の目で見上げます。
皇帝達は町の中心にある大広場に降り立ちました。城下視察のときは、護衛は少なく、より市民に近く、が皇帝のモットーです。
双子は初めて城下を見ます。
この国は城を中心に第一殻、第二殻と波紋のように城壁が敷かれています。皇都は城下を含め、合計五重の壁に囲まれた要塞なのです。
双子は確かに城下に行っていました。(城を抜け出して、です。)しかしそれはせいぜい第一殻まで。庶民が生活する第二、三殻には来たことがありませんでした。
今回、第二殻を訪れ、父親がどんな政治を行っているか目で、耳で感じることができました。戦争がないおかげで平穏に生活している人々も多い一方で、ふと路地を見ると貧困に苦しんでいるのであろう子供たちもいる。尊敬の目で見てくる民衆の中には、憎悪の炎を目に宿しつつ見てくる人もいる。善があれば悪もあり、世間でいう素晴らしい政治にも、悪い面があるのです。
皇族ということで、帝王学を学び政治を学ぶ双子にとって、この視察は貴重な体験となりました。
皇帝は飛んでいる時に双子に言いました。
「城下でお前たちの目で見たものが真実なんだ。それによって感じたこと、思ったことは大切にしなさい。」と。
その時はあまりよく意味がわかっていなかった双子は、ようやくその言葉の意図していることがわかりました。そしてこの体験は、彼女たちの人生においても、重要な役割を果たすのです。
「さあ、もう帰らなくては。」
予定していた場所を全て回り、皇帝一行は宮殿へと飛び立ちました。
「視察はどうであった。」
皇帝は双子に尋ねます。
「お父様、世界にはいろんな人が生きているのね。私は、どれほど恵まれた環境の中で暮らしていた、いや、暮らせてたのかがわかったわ。」
「ボクは、ボクたちは、もっと強くならないといけないね。ああやって暮らしている人々のおかげで、ボクたちはこうも贅沢に暮らせてるんだ。」
「そうさ。こうやって暮らさせてもらっているのだから、ある程度の政治の泥沼には、飛び込んでいく必要があるわけだ。勉強している意味を見つけることができたのなら、この父は嬉しく思うぞ。」
「そうね。そこまで考えることができたのは上出来ね。晩餐会でも、よく人の話を聞いて、人の動きや表情を見て学びなさい。」
「はい。」
「「おかえりなさいませ。」」
宮殿に戻ると、メイド長ならびにメイドや執事たちが出迎えてくれました。
「姫様方はお着替えを。陛下、少々お話が。」
メイド長の雰囲気はただ事ではなさそうですが、双子は気にしながらも着替えのために部屋へと向かいました。
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