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新世界での冒険
イレギュラーズ 1
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「またかよ……」
溜め息混じりに愚痴る僕は、女神の間に移動していた。
別名、スタートの部屋(自分で勝手に命名)にいるということは……つまり、それだ!
バカズキのせいで、僕のアバターまで死んでしまった。
それなら当然、本人もいるだろう。
そう思い見渡すと、わりと近くに転がっていた。
「初見殺しにしてもアナタ様がたは、死亡し過ぎですね。
レコードタイムでも出すのでしょうか?」
女神、mEqの言葉が若干、嫌味に聞こえてきた。
むろん、感情のない彼女が意図してそう発言しているのではないとは、分かっている。
単に僕の偏見だ。
こと女子に関しては、あまり良い思い出がない。
僕のように、地味なくせにマイペースを崩さない奴は見向きもされない。
だからといって、彼女たちの態度に特に不満があるわけでもなく、ゲームさえあれば僕は平気だった。
深く関わることはないし、これからもそれが継続するだろう。
「んじゃ、メックさん。悪いけど、もう一度最初からやり直しの方向で」
「その必要はありません」
キッパリとお断りを入れてくる女神に、一瞬目の前が真っ暗になった。
「プレイヤー様、大丈夫ですか?」
「あ……うん、少し立ち眩みしただけ。必要ないって、ゲームオーバーってこと?」
「そうではございません。
プレイヤー様のレベルが2に達したので、新スキルが解放されました。
リバイブという魔技で、死亡した瞬間から自身を自動蘇生する効果があります」
「それ、死に戻りじゃん!」
新スキルの情報に飛びつく僕とは真逆でmEqは静かに首を傾げていた。
何がそんなにスゴイのか、理解していない感じだ。
無限コンティニューなんてチート級のスキル以外の何物でもない。
クレリック、大当たりのジョブではないか!
「盛り上がっているところ恐縮ですが、このオレガシーマに死に戻りのスキルは存在しません」
「ふえっ? だってさ……生き返るんでしょう」
「はい、死亡した後で復活します。すなわち、時間は戻らないことになります」
「なら、なんで僕はスタート部屋にいるんだ? カズキはともかく、生き返る僕まで戻す必要はないだろう」
指摘した着眼点が良かったのか、mEqは素直に頷いた。
DYNASが開発したゲームがこんな非効率的な仕様であるはずがない。
ここに戻っているということは、何かしら別の意図があって呼ばれたということだ。
「プレイヤー様、お二人をお呼びしたのはデータコードへの不正アクセスを試みる離反者を発見したからです。
その人物は、当選者に成り代わりゲームに参加しております」
「不正アクセス……企業スパイみたいな感じか?
まさか、僕たちにソイツを退治しろとでも言うわけではないよな?」
「相手の目的も判明しておりませんし、プレイヤー様方の安全第一に考慮するのが当社のモットーでございます。
任意ではありますが、我々は貴方様方に協力を求めています。
特別処置としてプレイヤー、カズキ様を死亡寸前のところで回収しました。
その為、貴方様の方は助けられませんでしたが、蘇生できるので問題はないと思われます」
聞きたくない話だった。
要はカズキが必要だったから、ついでに僕も招集されたというわけだ。
考えてみれば小学生でもわかる。
村一つを一瞬で消し去る力を所持している者がいれば、誰だって頼りたくなるのは至極当然のことだ。
「いかがいたしますか?」
お願いというよりも、圧をかけられている気分だ。
こんな美女に頼られたら、男女問わず頷いてしまうだろう。
けれど僕は違う。
「カズキはどうするの? 気を失っているみたいだけど……彼が協力しないと言うなら僕の答えもノーだよ」
悪気はなかったけど、ついイジワルな言い方をしてしまった。
言い訳するなら僕が単独で行動しても戦力的に厳しい。
取りあえずパラボードから新スキルの概要を確認してみた。
SP(スキルポイント)の消費が激しく、今の段階では一回使用すれば回復スキルすら、しばらくは使えそうにない。
回復もできないヒーラーなどはお荷物でしかない。
「プレイヤー、カズキ様については精神状態に異常を来しておりますので、こちらで検診した後、冒険を継続するか、本人から意思確認をさせていただく次第です。
プレイヤー様におきましては任意ですので協力する、しないは自由でございます。
もちろん、初めからゲームをやり直すのも可能です」
「その場合、あの煤だらけの村はどうなるんだ? 復活しているのか?」
「データを復元すれば元に戻せますが、ベータ版ではリアルタイムでストーリーが進行してゆきますので、すべてが元通りにはなりません」
なら、答えは一択だろう。
mEqの発言を受け、僕は「継続」を選んだ。
リアルタイムで進むのなら、最初に戻る旨みはまったくない。
レベルが上がった状態で蘇生した方が、楽ちんなのは明白だ。
ボードからスキル一覧を開くと、自動発動設定をオンに変更した。
早速、リバイブを試してみることにした。
一秒もかからず僕の全身が白い光に包まれてゆく。
胸元に小さな魔法陣が浮かび上がると、僕は再度アルムハザードの大地を踏みしめていた。
溜め息混じりに愚痴る僕は、女神の間に移動していた。
別名、スタートの部屋(自分で勝手に命名)にいるということは……つまり、それだ!
バカズキのせいで、僕のアバターまで死んでしまった。
それなら当然、本人もいるだろう。
そう思い見渡すと、わりと近くに転がっていた。
「初見殺しにしてもアナタ様がたは、死亡し過ぎですね。
レコードタイムでも出すのでしょうか?」
女神、mEqの言葉が若干、嫌味に聞こえてきた。
むろん、感情のない彼女が意図してそう発言しているのではないとは、分かっている。
単に僕の偏見だ。
こと女子に関しては、あまり良い思い出がない。
僕のように、地味なくせにマイペースを崩さない奴は見向きもされない。
だからといって、彼女たちの態度に特に不満があるわけでもなく、ゲームさえあれば僕は平気だった。
深く関わることはないし、これからもそれが継続するだろう。
「んじゃ、メックさん。悪いけど、もう一度最初からやり直しの方向で」
「その必要はありません」
キッパリとお断りを入れてくる女神に、一瞬目の前が真っ暗になった。
「プレイヤー様、大丈夫ですか?」
「あ……うん、少し立ち眩みしただけ。必要ないって、ゲームオーバーってこと?」
「そうではございません。
プレイヤー様のレベルが2に達したので、新スキルが解放されました。
リバイブという魔技で、死亡した瞬間から自身を自動蘇生する効果があります」
「それ、死に戻りじゃん!」
新スキルの情報に飛びつく僕とは真逆でmEqは静かに首を傾げていた。
何がそんなにスゴイのか、理解していない感じだ。
無限コンティニューなんてチート級のスキル以外の何物でもない。
クレリック、大当たりのジョブではないか!
「盛り上がっているところ恐縮ですが、このオレガシーマに死に戻りのスキルは存在しません」
「ふえっ? だってさ……生き返るんでしょう」
「はい、死亡した後で復活します。すなわち、時間は戻らないことになります」
「なら、なんで僕はスタート部屋にいるんだ? カズキはともかく、生き返る僕まで戻す必要はないだろう」
指摘した着眼点が良かったのか、mEqは素直に頷いた。
DYNASが開発したゲームがこんな非効率的な仕様であるはずがない。
ここに戻っているということは、何かしら別の意図があって呼ばれたということだ。
「プレイヤー様、お二人をお呼びしたのはデータコードへの不正アクセスを試みる離反者を発見したからです。
その人物は、当選者に成り代わりゲームに参加しております」
「不正アクセス……企業スパイみたいな感じか?
まさか、僕たちにソイツを退治しろとでも言うわけではないよな?」
「相手の目的も判明しておりませんし、プレイヤー様方の安全第一に考慮するのが当社のモットーでございます。
任意ではありますが、我々は貴方様方に協力を求めています。
特別処置としてプレイヤー、カズキ様を死亡寸前のところで回収しました。
その為、貴方様の方は助けられませんでしたが、蘇生できるので問題はないと思われます」
聞きたくない話だった。
要はカズキが必要だったから、ついでに僕も招集されたというわけだ。
考えてみれば小学生でもわかる。
村一つを一瞬で消し去る力を所持している者がいれば、誰だって頼りたくなるのは至極当然のことだ。
「いかがいたしますか?」
お願いというよりも、圧をかけられている気分だ。
こんな美女に頼られたら、男女問わず頷いてしまうだろう。
けれど僕は違う。
「カズキはどうするの? 気を失っているみたいだけど……彼が協力しないと言うなら僕の答えもノーだよ」
悪気はなかったけど、ついイジワルな言い方をしてしまった。
言い訳するなら僕が単独で行動しても戦力的に厳しい。
取りあえずパラボードから新スキルの概要を確認してみた。
SP(スキルポイント)の消費が激しく、今の段階では一回使用すれば回復スキルすら、しばらくは使えそうにない。
回復もできないヒーラーなどはお荷物でしかない。
「プレイヤー、カズキ様については精神状態に異常を来しておりますので、こちらで検診した後、冒険を継続するか、本人から意思確認をさせていただく次第です。
プレイヤー様におきましては任意ですので協力する、しないは自由でございます。
もちろん、初めからゲームをやり直すのも可能です」
「その場合、あの煤だらけの村はどうなるんだ? 復活しているのか?」
「データを復元すれば元に戻せますが、ベータ版ではリアルタイムでストーリーが進行してゆきますので、すべてが元通りにはなりません」
なら、答えは一択だろう。
mEqの発言を受け、僕は「継続」を選んだ。
リアルタイムで進むのなら、最初に戻る旨みはまったくない。
レベルが上がった状態で蘇生した方が、楽ちんなのは明白だ。
ボードからスキル一覧を開くと、自動発動設定をオンに変更した。
早速、リバイブを試してみることにした。
一秒もかからず僕の全身が白い光に包まれてゆく。
胸元に小さな魔法陣が浮かび上がると、僕は再度アルムハザードの大地を踏みしめていた。
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