2 / 8
蝉の声 2
しおりを挟む
いったい、どんな事件をウエノが解決したのか。
思い出すだけでも、奇怪な出来事だとしか言いようがない。
事件はとある工事現場で起こった。
作業員の一人である男性が、休憩がてらコンビニに行くと言い残したそうだ。
休憩時間が終わっても、一向に戻る気配がない。
不審に思った仲間たちは周囲を捜索した。
しかし、コンビニに彼の姿はなく、店員も見かけていないと言う。
警察に通報するべきか、悩んでいたところ、コンビニから50メートルほど離れた場所で男は発見された。
この事件が不可解だったのは、自動販売機の裏側と建屋の壁の間に男が挟まるようにして息絶えていたことだ。
当初は死因すらも謎のまま、様々な憶測が飛び交っていた。
遺体には目立った外傷もなく薬物反応も見られない。
そのことから鑑識官は、事件性は低いと見做していたが、そうではなかった。
事件発生直前、スマホを片手に自ら自動販売機の裏へと入っていく男の姿を防犯カメラが捉えていた。
動画の出所は不明だが、SNSでは拡散されていた。
一見すると、ただの悪ふざけに思えたが、影像を目にした瞬間、これは本物だと直感した。
通話しながら彼は、道路を挟んだ向かい側をずっと向いていた。
しきりに気にしながら、まるで何者かから逃げるように自動販売機の裏側へと身を隠した。
その時点では彼は生きていた。
しかし、同僚たちに発見された時には手遅れだったそうだ。
惨たらしく鼻や耳から血を垂れ流し死んでいた。
男は、ずっと自販機の裏側に潜んでいた。
その間、誰一人として近づく者は映されていない。
ならば、何をどうすれば致命傷なく死亡したのか……。
答えを出せる者はいなかった。
だから、俺の中で現実的ではない方法を用いたという結論に至った。
――――
県境の看板が過ぎ去っていく。
まもなく、先輩が住んでいるN市に到着する。
事件解決から一週間、俺の異変はずっと続いている。
毎晩、同じ夢をみるようになった。
それを悪夢と断定するのは難しい。
なぜなら、夢でみる世界が何を示唆しているのか見当がつかないからだ。
ただ、普通ではないのは間違いない。
病気でもないのに、数日で体重が激減してしまった。
特に不調は感じないが、安全だとも言い切れない。
こうして休日、片道二時間かけて車を運転しているのも、悪夢の謎を解く為だ。
もっとも、先輩に会うのは別件でのことだ。
たまたま実家の蔵を整理していたら、懐かしい物が出てきた。
自分には不要な物だったから先輩に引き取ってもらおうと連絡を入れた。
悪夢のことは、そのついでとして相談したまでだ。
そうしたら、知り合いに怪奇現象に詳しい人がいるという。
正直、オカルトには明るくない。
信心深いわけでもなく、占いの類も信用しない方だ。
【彼に任せておけば大丈夫!】そう返信してくれたから、ついで会うだけだ。
せっかくの先輩の好意だ。無駄にするわけにもいかない。
思い出すだけでも、奇怪な出来事だとしか言いようがない。
事件はとある工事現場で起こった。
作業員の一人である男性が、休憩がてらコンビニに行くと言い残したそうだ。
休憩時間が終わっても、一向に戻る気配がない。
不審に思った仲間たちは周囲を捜索した。
しかし、コンビニに彼の姿はなく、店員も見かけていないと言う。
警察に通報するべきか、悩んでいたところ、コンビニから50メートルほど離れた場所で男は発見された。
この事件が不可解だったのは、自動販売機の裏側と建屋の壁の間に男が挟まるようにして息絶えていたことだ。
当初は死因すらも謎のまま、様々な憶測が飛び交っていた。
遺体には目立った外傷もなく薬物反応も見られない。
そのことから鑑識官は、事件性は低いと見做していたが、そうではなかった。
事件発生直前、スマホを片手に自ら自動販売機の裏へと入っていく男の姿を防犯カメラが捉えていた。
動画の出所は不明だが、SNSでは拡散されていた。
一見すると、ただの悪ふざけに思えたが、影像を目にした瞬間、これは本物だと直感した。
通話しながら彼は、道路を挟んだ向かい側をずっと向いていた。
しきりに気にしながら、まるで何者かから逃げるように自動販売機の裏側へと身を隠した。
その時点では彼は生きていた。
しかし、同僚たちに発見された時には手遅れだったそうだ。
惨たらしく鼻や耳から血を垂れ流し死んでいた。
男は、ずっと自販機の裏側に潜んでいた。
その間、誰一人として近づく者は映されていない。
ならば、何をどうすれば致命傷なく死亡したのか……。
答えを出せる者はいなかった。
だから、俺の中で現実的ではない方法を用いたという結論に至った。
――――
県境の看板が過ぎ去っていく。
まもなく、先輩が住んでいるN市に到着する。
事件解決から一週間、俺の異変はずっと続いている。
毎晩、同じ夢をみるようになった。
それを悪夢と断定するのは難しい。
なぜなら、夢でみる世界が何を示唆しているのか見当がつかないからだ。
ただ、普通ではないのは間違いない。
病気でもないのに、数日で体重が激減してしまった。
特に不調は感じないが、安全だとも言い切れない。
こうして休日、片道二時間かけて車を運転しているのも、悪夢の謎を解く為だ。
もっとも、先輩に会うのは別件でのことだ。
たまたま実家の蔵を整理していたら、懐かしい物が出てきた。
自分には不要な物だったから先輩に引き取ってもらおうと連絡を入れた。
悪夢のことは、そのついでとして相談したまでだ。
そうしたら、知り合いに怪奇現象に詳しい人がいるという。
正直、オカルトには明るくない。
信心深いわけでもなく、占いの類も信用しない方だ。
【彼に任せておけば大丈夫!】そう返信してくれたから、ついで会うだけだ。
せっかくの先輩の好意だ。無駄にするわけにもいかない。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる