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十二話 アニキ、エントリーする
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「ガァオオオオンン! いくらのロリッ娘、JCでも容赦はしねぇー!! うちには養わないといけない家族があるのだからなぁ!」
「さ、さささささりげなく、家庭の事情を話されましても……ボクには何もできませんよぉぉぉぅ」
万事休すのこの状況……にもかかわらずボクは、獣の怪人に襲われていることよりもロリっ娘っと呼ばれたことを気にしている。
言われて気づく、自分の身長は今朝よりも、さらに一回り小さくなっている。
このビックバーンにボクは乗るべきなのだろうか?
この勢いで女の子としてのニューライフを満喫してしまっても、神様だって許してくれるはずだ。
ち、ちげえぇええ――――!! ボクは危うく自身の欲望に篭絡されるところだった。
そうだ、ボクは新庄久一、二十八歳 彼女は2・5次元の美少女、νtuberの琴吹マリアちゃん(脳内設定)。
そう決めて、今まで頑張ってきたんだ。
今更、マリアちゃんを裏切るような真似はできない! ヒーローですから自分!
「くそが……ちょこまかと逃げ足だけは素早い! そこだぁああ―――ダブル・スレッジハンマー!!」
気合を込めて言ってくれるけど……普通にプロレスとかで見る技だ。
両手を自分の頭上で組み合わせ、相手めがけて殴りつける。
レッドとか好きそうな攻撃だけど、イエローの役目は敵をかく乱させることにある。
ボクもそうだし、全国のイエローもそうだけど最初から敵と面と向かって戦うことはしない。
相手の行動を見極め、パターンを予測………それから、好みや性癖を調べ上げ、弱点を導き出すのが我々の仕事だ。
大抵は、他のメンバーがオラオラ感を出して、怪人をシバキ倒してしまうから、この能力が日の目をみることはなかった。
よって、活躍しないボクはお払い箱扱いにされていた。
もっと、しっかりとチームとして連携が取れていれば腹いせにマッサマンカレーを食べることもなかっただろう……。
「ああっ! あふん!」
路面の段差が足に引っかかり、ボクは地べたにうつ伏せで倒れた。
妙にセクシーな声が出てしまったのが悲しい半面、まんざらでもない自分もいる。
それが余計に辛くて、思わず涙ぐんでしまった。
「観念しろい、これでオマエは終わりだガゥ。いくら、泣いても無駄だ! オレには情はない、もともとそういう存在だったからな」
「う、嘘だ! 君が本気になればボクなんて瞬殺できるはずだ。家族がいるって言ったよね? こんな悪党の下でお金を稼いで家族が幸せになれると思うの?」
「詭弁だなぁ? 金さえあれば不自由はしないし、オレはいくら手を汚しても構わない。そもそも、オレは人間を許さねぇ―――てめぇらの都合で、捨てやがって! だから、今度はこちらが酷い目に合わせてやるんだガゥ!」
「だったら……もっと、そんなことしちゃダメだよ! 裏切られる辛さが分かっているのに、自分も同じ立ち位置に立とうとするなんて、そんなのおかしいよ!!」
「ちぃぃぃ!」大きくふりかぶる獣人の拳が震えていた。彼の中で葛藤が生じているのが分かる。
間近でみると、獅子のようなタテガミを持ちフサフサな毛並みをしている。
サングラスをかけて悪者ぶっていても、ヒーローだったボクには彼が悪党だとは到底思えない。
真の悪というのは、そこにいるサガワ博士のようなマッドサイエンティストだ。
「グスッ……めっちゃ、エエッ話しじゃのう」
んな、泣いていた……セコイヤの幹部ともあろう人物が、ボクたちのやり取りを見聞きして号泣している。
信じたくはないが、この人も普通のお爺さんではなかろうか?
いいや、ここで改心してくれるのならば、願ったり叶ったりじゃないかぁ!
『どうやら、吾輩の力が必要になったみたいだね。さぁ、エントリーモードに変身するんだ、キュイ!』
「な、なんですと!?」
呼ばれてもいないのに、ドブネズミさんがシャシャリ出てきた。
この展開をボクは知っている……悪い使い魔に騙されて、過酷な運命に身を投じる魔法少女たち。
いくら必死で巨悪に立ち向かっても、ことごとく悲惨な結末を迎える主人公……それでも、まだ戦いは終わらない。一度、狂った歯車はもう元には戻らない。
このベルトはそんな作品を再現しようとしているのか……?
疑いたくはないけれど、この中で一番、怪しいのは性別すら分からないこの人だ。
「フム、その様子だと目覚めたようじゃな……ハッピーバッピィ」
ドブネズミさんの声を聞くなり博士の目が輝いているように見えた。
なんというか……怖い、あれは何かに執着している人の眼だ。それにハッピーなんとかって……アニマル梯団?
『おぅ、ジジイ。人のこと散々いじくり回しやがって! おかげで、吾輩……ケガレちゃったぁ~。容赦しないから覚悟おし! さぁ、キュイちゃん~魔法少女らしすぃー、変身呪文を唱えるんだ』
「えっ? そうしないと駄目なの? 普通に無理なんですけど……」
『ダメだね、視聴者が待っている』
「そうじゃな、ワシもこの瞬間を心待ちにしていた」
「ガゥ?」
よく分からないけど、全員にせがまれて完全に抜け出せない状況になっている。
これが……沼だというのか。ドブさんと契約するのは嫌だし、するつもりもないけど……正直に言うと自分でもどうなるのか気にはなる。
「変身するだけならイイけど……」
『そうそう、変身しても戦わなければ契約には至らないから! これはお試しみたいなもんよ』
「分かった……それじゃあ、変身するよ! ビルゲイツ!!」
「さ、さささささりげなく、家庭の事情を話されましても……ボクには何もできませんよぉぉぉぅ」
万事休すのこの状況……にもかかわらずボクは、獣の怪人に襲われていることよりもロリっ娘っと呼ばれたことを気にしている。
言われて気づく、自分の身長は今朝よりも、さらに一回り小さくなっている。
このビックバーンにボクは乗るべきなのだろうか?
この勢いで女の子としてのニューライフを満喫してしまっても、神様だって許してくれるはずだ。
ち、ちげえぇええ――――!! ボクは危うく自身の欲望に篭絡されるところだった。
そうだ、ボクは新庄久一、二十八歳 彼女は2・5次元の美少女、νtuberの琴吹マリアちゃん(脳内設定)。
そう決めて、今まで頑張ってきたんだ。
今更、マリアちゃんを裏切るような真似はできない! ヒーローですから自分!
「くそが……ちょこまかと逃げ足だけは素早い! そこだぁああ―――ダブル・スレッジハンマー!!」
気合を込めて言ってくれるけど……普通にプロレスとかで見る技だ。
両手を自分の頭上で組み合わせ、相手めがけて殴りつける。
レッドとか好きそうな攻撃だけど、イエローの役目は敵をかく乱させることにある。
ボクもそうだし、全国のイエローもそうだけど最初から敵と面と向かって戦うことはしない。
相手の行動を見極め、パターンを予測………それから、好みや性癖を調べ上げ、弱点を導き出すのが我々の仕事だ。
大抵は、他のメンバーがオラオラ感を出して、怪人をシバキ倒してしまうから、この能力が日の目をみることはなかった。
よって、活躍しないボクはお払い箱扱いにされていた。
もっと、しっかりとチームとして連携が取れていれば腹いせにマッサマンカレーを食べることもなかっただろう……。
「ああっ! あふん!」
路面の段差が足に引っかかり、ボクは地べたにうつ伏せで倒れた。
妙にセクシーな声が出てしまったのが悲しい半面、まんざらでもない自分もいる。
それが余計に辛くて、思わず涙ぐんでしまった。
「観念しろい、これでオマエは終わりだガゥ。いくら、泣いても無駄だ! オレには情はない、もともとそういう存在だったからな」
「う、嘘だ! 君が本気になればボクなんて瞬殺できるはずだ。家族がいるって言ったよね? こんな悪党の下でお金を稼いで家族が幸せになれると思うの?」
「詭弁だなぁ? 金さえあれば不自由はしないし、オレはいくら手を汚しても構わない。そもそも、オレは人間を許さねぇ―――てめぇらの都合で、捨てやがって! だから、今度はこちらが酷い目に合わせてやるんだガゥ!」
「だったら……もっと、そんなことしちゃダメだよ! 裏切られる辛さが分かっているのに、自分も同じ立ち位置に立とうとするなんて、そんなのおかしいよ!!」
「ちぃぃぃ!」大きくふりかぶる獣人の拳が震えていた。彼の中で葛藤が生じているのが分かる。
間近でみると、獅子のようなタテガミを持ちフサフサな毛並みをしている。
サングラスをかけて悪者ぶっていても、ヒーローだったボクには彼が悪党だとは到底思えない。
真の悪というのは、そこにいるサガワ博士のようなマッドサイエンティストだ。
「グスッ……めっちゃ、エエッ話しじゃのう」
んな、泣いていた……セコイヤの幹部ともあろう人物が、ボクたちのやり取りを見聞きして号泣している。
信じたくはないが、この人も普通のお爺さんではなかろうか?
いいや、ここで改心してくれるのならば、願ったり叶ったりじゃないかぁ!
『どうやら、吾輩の力が必要になったみたいだね。さぁ、エントリーモードに変身するんだ、キュイ!』
「な、なんですと!?」
呼ばれてもいないのに、ドブネズミさんがシャシャリ出てきた。
この展開をボクは知っている……悪い使い魔に騙されて、過酷な運命に身を投じる魔法少女たち。
いくら必死で巨悪に立ち向かっても、ことごとく悲惨な結末を迎える主人公……それでも、まだ戦いは終わらない。一度、狂った歯車はもう元には戻らない。
このベルトはそんな作品を再現しようとしているのか……?
疑いたくはないけれど、この中で一番、怪しいのは性別すら分からないこの人だ。
「フム、その様子だと目覚めたようじゃな……ハッピーバッピィ」
ドブネズミさんの声を聞くなり博士の目が輝いているように見えた。
なんというか……怖い、あれは何かに執着している人の眼だ。それにハッピーなんとかって……アニマル梯団?
『おぅ、ジジイ。人のこと散々いじくり回しやがって! おかげで、吾輩……ケガレちゃったぁ~。容赦しないから覚悟おし! さぁ、キュイちゃん~魔法少女らしすぃー、変身呪文を唱えるんだ』
「えっ? そうしないと駄目なの? 普通に無理なんですけど……」
『ダメだね、視聴者が待っている』
「そうじゃな、ワシもこの瞬間を心待ちにしていた」
「ガゥ?」
よく分からないけど、全員にせがまれて完全に抜け出せない状況になっている。
これが……沼だというのか。ドブさんと契約するのは嫌だし、するつもりもないけど……正直に言うと自分でもどうなるのか気にはなる。
「変身するだけならイイけど……」
『そうそう、変身しても戦わなければ契約には至らないから! これはお試しみたいなもんよ』
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