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二十八話 アニキ、モールへ誘う
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アイススケルターの中から出てきたのは田宮さんではなく、魔法少女シルフィードハーネスだった。
前回のこともあって、ボクはどう声をかけていいのか困惑してしまっていた。
こういう時に男らしくビシッと決められればいいのに……優柔不断なのトコロは変わらない。
「その姿……思ったとおり貴女がサークレットフェアリーだったのね、新庄さん」
あれれ? 何かおかしいぞ。ボクの方が正体バレしている風になっているんですけど……。
もたつくボクに、更なる混乱をもたらすシルフィードハーネス。
お互いに魔法少女同士なのだから、正体がバレても構わない気がするんだけど何か気不味い。
狭い道ですれ違った際、同じ方向に避けるのを何度も繰り返して、互いの進路を妨害してしまった時の微妙な感じに近いものがある。
それぐらい何て答えれば正解なのか? 見当もつかない。
「あのさ、何か言ってくれると助かるんだけど……」
「ひゃぃぃぃぃ!!」
ですよね……妙な沈黙に耐え兼ねたシルフィードハーネスが直球で攻めてくる。
彼女のバッサリとした性格のおかげで、このまま進展がないことは回避できそうだ。
けれど、少し言われただけでテンパる自分はどうにかしないイケない。
どんだけ、女の子に免疫にないんだ。
『どうやら、吾輩がナビゲートしてやらないとフェアリーは、じぇーんじぇーんダメだね』
「ド、ドブさん!」
「ふぇ? 今、知らない人の声が聞こえたんだけど……どこにいるの!?」
ハーネスは、慌てて周囲を見回していた。
ボクは若干、驚いていた。同じ魔法少女でも彼女はドブさんのことを知らない。
ならば、どうやって魔法少女になったというのか?
「今の声はドブさんだよ」
ガーターベルトを指さしながらボクはハーネスに言った。この得体の知れないベルトに対してどういう反応を示すのか気にはなる。
『ほほい、ドブネズミことドブさんだよ~!』
「アンタ、何者なの!? こんなスピーカーごしではなくて近くにいるのなら出て来ないよ!!」
『アハハハッ、それは無理な相談よ。吾輩は高性能AIなので実体はありませぇーん』
「ふぅーん。一応は信じてあげるわ」
そうは言ったものの、ハーネスはドブさんに対して全然、警戒を解いていないように見える。
まぁ、ボクも初めて会話した当初はメッチャ、怪しんでいたから人のことはいえないんだけど……。
慣れって本当に恐いなって思う。今や、ガーターベルトでないドブさんなんて考えられない。
「で? アンタたちの目的は? バケモノを倒しているみたいだけど……先に言っておくけど、答えの内容次第では敵とみなすけどいいわよね?」
「んな! それじゃ、答えない方がマシだよ!」
『クワハハッハアアッ――――!! フェアリーの言う通りだよ。君が吾輩たちを脅すつもりなら、こちらも君を敵と見なすことになる。さぁーて、主導権を握っているのはどちらかなぁ?』
闇金みたいな言い方をするドブさんに、ハーネスは顔を真っ赤しながら押し黙ってしまった。
さっきまでの強気な様が嘘のようだ……よく見ると半分、涙ぐんでいる。
べつに悪気があって言ったんじゃないんだけど、可哀想なことをしてしまった。
ズキリと胸元が痛む。
「ふぇ、フェザーハーネスはどうやって魔法少女になったの? その……なんて言うか、ドブさんみたいな存在はいないようだけど」
「バックルよ! 偶然、ベルトのバックルを拾って持っていたらバケモノに襲われて、無我夢中で抵抗していたら、こんなのに変身していたのよ! 悪い!?」
「いや、ちっとも悪くないよ! ボクのほうこそ、貴女の質問に水をさすようなことを言ってしまってゴメンね!」
「そもそも魔法少女って何んなのよ!? そんなの居るわけないでわ! 私がこの姿に変身するのは、この世界に増大する変異を滅するためよ! 友達や同級生、顔見知りでさえも日に日におかしくなっている。それを止めるべく、変異していない私がシャイニングスターに選ばれたのよ!!」
ハーネスによってボクたちに新たなる歴史の一ページが刻まれた。
話を聞く限りだと、彼女は自分を魔法少女ではなく救世主みたいな感じで捉えているみたいだ。
セコイヤのことも知らないまま、すべてが世界の暴走だと誤認してしまっている。
そういう話を聞くと魔法少女も便宜上で決められた設定にしか思えない。
本当なら別の存在を生み出そうとしてドブさんたちが製造されたのかもしれない。
ボクもドブさんも、彼女尖った物の見方に絶句していた。
ただ、ボク的には彼女が何をどう決めようが気にはしないが……魔法少女の存在を全否定してきたことだけは看過できない。
「田宮さん、今度の日曜日だけど時間、空いている?」
「えっ……その日はフリーだけど……」
「だったら近くのモールに行こう。魔法少女がどんな存在か、田宮さんにも知って欲しいんだ」
「わけが分からないわ。でも、良いわ! じっくり話し合ってアンタたちの本性を見っ極めてやるわ」
あまりにも突飛なことだけど、こうするしか方法はない。
魔法少女を受け入れられるか、どうかで、ボクたちの関係は大きく変わる。
できることなら、シルフィードハーネスとは争いたくはない。
正義の心が正義を呼ぶ。
ヒーロー時代に口癖のように言っていた言葉はとても重たかった。
前回のこともあって、ボクはどう声をかけていいのか困惑してしまっていた。
こういう時に男らしくビシッと決められればいいのに……優柔不断なのトコロは変わらない。
「その姿……思ったとおり貴女がサークレットフェアリーだったのね、新庄さん」
あれれ? 何かおかしいぞ。ボクの方が正体バレしている風になっているんですけど……。
もたつくボクに、更なる混乱をもたらすシルフィードハーネス。
お互いに魔法少女同士なのだから、正体がバレても構わない気がするんだけど何か気不味い。
狭い道ですれ違った際、同じ方向に避けるのを何度も繰り返して、互いの進路を妨害してしまった時の微妙な感じに近いものがある。
それぐらい何て答えれば正解なのか? 見当もつかない。
「あのさ、何か言ってくれると助かるんだけど……」
「ひゃぃぃぃぃ!!」
ですよね……妙な沈黙に耐え兼ねたシルフィードハーネスが直球で攻めてくる。
彼女のバッサリとした性格のおかげで、このまま進展がないことは回避できそうだ。
けれど、少し言われただけでテンパる自分はどうにかしないイケない。
どんだけ、女の子に免疫にないんだ。
『どうやら、吾輩がナビゲートしてやらないとフェアリーは、じぇーんじぇーんダメだね』
「ド、ドブさん!」
「ふぇ? 今、知らない人の声が聞こえたんだけど……どこにいるの!?」
ハーネスは、慌てて周囲を見回していた。
ボクは若干、驚いていた。同じ魔法少女でも彼女はドブさんのことを知らない。
ならば、どうやって魔法少女になったというのか?
「今の声はドブさんだよ」
ガーターベルトを指さしながらボクはハーネスに言った。この得体の知れないベルトに対してどういう反応を示すのか気にはなる。
『ほほい、ドブネズミことドブさんだよ~!』
「アンタ、何者なの!? こんなスピーカーごしではなくて近くにいるのなら出て来ないよ!!」
『アハハハッ、それは無理な相談よ。吾輩は高性能AIなので実体はありませぇーん』
「ふぅーん。一応は信じてあげるわ」
そうは言ったものの、ハーネスはドブさんに対して全然、警戒を解いていないように見える。
まぁ、ボクも初めて会話した当初はメッチャ、怪しんでいたから人のことはいえないんだけど……。
慣れって本当に恐いなって思う。今や、ガーターベルトでないドブさんなんて考えられない。
「で? アンタたちの目的は? バケモノを倒しているみたいだけど……先に言っておくけど、答えの内容次第では敵とみなすけどいいわよね?」
「んな! それじゃ、答えない方がマシだよ!」
『クワハハッハアアッ――――!! フェアリーの言う通りだよ。君が吾輩たちを脅すつもりなら、こちらも君を敵と見なすことになる。さぁーて、主導権を握っているのはどちらかなぁ?』
闇金みたいな言い方をするドブさんに、ハーネスは顔を真っ赤しながら押し黙ってしまった。
さっきまでの強気な様が嘘のようだ……よく見ると半分、涙ぐんでいる。
べつに悪気があって言ったんじゃないんだけど、可哀想なことをしてしまった。
ズキリと胸元が痛む。
「ふぇ、フェザーハーネスはどうやって魔法少女になったの? その……なんて言うか、ドブさんみたいな存在はいないようだけど」
「バックルよ! 偶然、ベルトのバックルを拾って持っていたらバケモノに襲われて、無我夢中で抵抗していたら、こんなのに変身していたのよ! 悪い!?」
「いや、ちっとも悪くないよ! ボクのほうこそ、貴女の質問に水をさすようなことを言ってしまってゴメンね!」
「そもそも魔法少女って何んなのよ!? そんなの居るわけないでわ! 私がこの姿に変身するのは、この世界に増大する変異を滅するためよ! 友達や同級生、顔見知りでさえも日に日におかしくなっている。それを止めるべく、変異していない私がシャイニングスターに選ばれたのよ!!」
ハーネスによってボクたちに新たなる歴史の一ページが刻まれた。
話を聞く限りだと、彼女は自分を魔法少女ではなく救世主みたいな感じで捉えているみたいだ。
セコイヤのことも知らないまま、すべてが世界の暴走だと誤認してしまっている。
そういう話を聞くと魔法少女も便宜上で決められた設定にしか思えない。
本当なら別の存在を生み出そうとしてドブさんたちが製造されたのかもしれない。
ボクもドブさんも、彼女尖った物の見方に絶句していた。
ただ、ボク的には彼女が何をどう決めようが気にはしないが……魔法少女の存在を全否定してきたことだけは看過できない。
「田宮さん、今度の日曜日だけど時間、空いている?」
「えっ……その日はフリーだけど……」
「だったら近くのモールに行こう。魔法少女がどんな存在か、田宮さんにも知って欲しいんだ」
「わけが分からないわ。でも、良いわ! じっくり話し合ってアンタたちの本性を見っ極めてやるわ」
あまりにも突飛なことだけど、こうするしか方法はない。
魔法少女を受け入れられるか、どうかで、ボクたちの関係は大きく変わる。
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