超絶転身少女 インフィニティアニキ 特撮ヒーローから魔法少女系νtuberに転職します

心絵マシテ

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三十話 アニキ、パナンされる

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チケット売り場のお姉さんに小学生と間違われた……。

「あのぉ~、大人……」

「え? 大丈夫よ。アナタならイケるから」

「あっ、はい」

謎の威圧感に負けてしまった。
ボクは大丈夫かもしれないけど、お姉さんは自分の所業がバレたら無事では済まされないと思う。
そんなこと考えていたのも、わずかな時間。

ドリンクとポップコーン(カレー味)を持って席につくと、上映が始まった。
劇場版魔法少女ベルゼットのスゴイところは、子供だけではなく大人でも楽しめるように体感型の4DXで公開されているところだ。
ヒロインのベルが登場するシーンでは、流れて来る風とともにフローラルな甘い香りがした。
前の席いたオッサンが手を合わせて拝んでいたけど、気持ちは分からなくもない。
ベルゼットの細やかな動きや心理描写を映し出す作画は、さすがとしか言いようがない。

肝心の戦闘シーンともなると衝撃音に合わせ座席が揺れた。
それだけも臨場感があるのに、ダイナミックなアクションと立体感のある視点移動は度肝を抜かれる演出だった。
さっきのオッサンなんか、隣にいる人の肩を叩いてスクリーンを指さしている。
気持ちは……分からなくもないけど、興奮し過ぎだ。

素晴らしい! 前評判を裏切らない出来栄えだった。
感動の90分は、一時たりともスクリーンから目を離せなかった。
エンドロールが流れると、ボクは田宮さんの方を見た。
彼女にもベルゼットの良さが少しでも伝わればと願っていたけど、これは予想外だ。

「ご、号泣しているぅぅぅ――――!!」

「うううっ、グスッ……だって、ヒロインの女の子。変身できないのに、皆を守りたい一心で、思い出のパーティドレスを魔法少女コスチュームに変化させたのよ! とうといは……その心、尊すぎるわ!!」

思い切り刺さるものがあったようだ、田宮さんは子供のように泣きじゃくっていた。
いくらなんでも、このケースは反則すぎでしょ! ボクはテンパりつつも、取り敢えずハンカチを差し出した。

「あ、ありがとう。私、魔法少女について勉強不足だったわ……なんていうか、肌の露出を多めにして男の人の気を引くものが当たり前だと思っていたわ」

耳が痛ぇ……サークレットフェアリーのサービスの多さよ。
まぁ……同性の気を引くつもりはないんですけどね。
男だった頃をしのび、ボクはうなづいた。

少し離れた場所から、オッサンもボクたちを見守るようにうなづいていた。
ヤバイ、目が合った……いい加減、さっさと帰れよ。
ボクの気持ちなどまったく知らない彼は再度、着席した。
まさかと思うが、二巡目に突入するつもりなのか…………ガチファンすげぇぇ――――!!


オッサンのベルゼット愛に驚きつつも、ボクらは映画館を後にした。
丁度、昼時だったのでレストランでランチを済ませることにした。
その間、田宮さんは映画の感想やベルゼットについて、ひたすらボクに質問してきた。
また一人、とりこにしてしまうとは、罪な魔法少女だぜぃ。

「TOYコーナーに行けば、ベルゼットグッズがたくさんあるから見に行く?」

「ええっ! 是非、見てみたいわ!」

こころなしか、田宮さんの意気込みがスゴク伝わってくる。
ベルゼットではないけど、ボクも新作の【プラケシ】が気になっていた。
プラケシとは、最近話題のゴム製キットを使用するプラモデルのことを指す。
新素材でできたキットはプラスチック消しゴムに近い性質を持っているが、より丈夫で、ゴムような柔軟性が特徴である。
今はまだ、一部でしか流用されていないが近い将来、様々な玩具に利用されると言われている。

「あった! 結構、種類が増えてきたなぁ~」

「へぇー、可愛らしいわね! 何かのキャラクター?」

「これは、カーペンターシリーズって言って動物を模した妖精のプラモデルなんだ。特にキャラクターグッズは、女子たち大人気で、SNSでも結構、取り上げられているんだ」

「そうなの? これも結構、面白いわね。あっ……ベルゼット!!」

魔法少女のグッズを発見した田宮さんは、瞬時に移動していた。
とりあえず彼女が商品に魅入っている内に、ボクも欲しいものをいくつか確保しておこう。
これと、それと、おっ! 数量限定だって!? ラスイチじゃないか、コイツは逃せられん。

「あっ……」箱をつかむと同時に、もう一つ別の手が箱に触れていた。
ほぼ、同時のタイミングに固唾を飲んで、真横を向くと金髪に褐色肌の青年が唇をとがらせていた。
この場合はどうなるのだろうか? ボク的には手放したくない品なのだが、元大人として譲るべきなのだろうか?
コイツは困ったぞ!

「いいよ。プレゼント、フォーユ―――」

「いいの? 君もコレが欲しいんじゃないの?」

「ああ、欲しかったさ。でも、僕はそれ以上も物を見つけてしまったから……我慢できるよ」

「そ、そう……それじゃ、ありがとね」

なんだか悪い気もするけど、せっかくの好意だ。有難くもらっておこう。
青年が大人でラッキーだった。
そう言うとボクが大人じゃない感じになってしまうけど、今はJKなのだから問題はないはずだ。

「ところで君の名前は何て言うのかな? ボクはカルロス・ボーン。言っておくけど頭に乗せているサングラスはカッコつけているわけじゃないぜ。モデラーズグラス、どんな眩い光の中でもプラモデル作りができるというスペシャルな眼鏡さ」

フツーに眩しくない場所でやればいいのでは……?
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