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三十六話 アニキ、消えたサガワ君を探す
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一緒にモールへと出かけた以降、田宮さんとの距離はだいぶ縮まったような気がする。
学校の教室で会話することも増えたし、たまに出てくる変体も二人で協力し合いながら撃退していたりもする。
何もかも、順風満帆……明るいJK生活を送っていた。
そんなボクに運命は容赦なく新たなる問題を持ち出してくるのであった。
「ドブさん……これはどういう事?」
『何がだい?』
「とぼけないでよ! 動画投稿サイトにサークレットフェアリーとシルフィードハーネスの戦闘シーン動画がUPされているんだけど、ドブさんの仕業だよね!?」
事の発端はクラスの男子たちが視聴していた動画だ。
血気盛んな彼らが珍しくスマホで魅入っていたのは、νTuberの投稿動画サイトだった。
そこには、なんと怪人クリッピィと戦うサークレットフェアリーとシルフィードハーネスが映されていた。
νTuber、もとは魔法少女のコスプレをした動画投稿者が屋外に出て人々の反応を動画として上げるだけのものだったが、ある日を境に本物の魔法少女が動画投稿するようになった。
動画を上げる魔法少女キャラクターとして商標登録するのが魔法少女管理委員会という謎の組織だ。
νTuberは男性には非常にウケが良い。
男子、三人揃えばエロ談義が始まる中で、彼らはサークレットフェアリーを真剣な眼差しで見ながら「ふ~ん、エッチじゃん」とかクールぶって言っているしぃぃぃ。
当人であるボクからすれば、まったく洒落にならない話だ。
自分が男子たちのオカズにされる事を考えただけで鳥肌ものだ。
『いや、言ったでしょ? 魔法少女には自分が活躍した動画を投稿する義務があるって』
「嘘だよ! だって田宮さんは上げてないじゃない」
『彼女は例外だよ。魔法少女たちが動画を上げるのは活動資金を得るためなんだよ。そのお金で新しい武器やコスチューム、アイテムを購入したり、移動するための経費も必要だよね? いくらキュイちゃんが麵次郎でアルバイトしていても、その程度の額では足りないんだよ』
「だからって断りもなく無断で投稿するのはヒドイよ!」
『気持ちは分かるよ。吾輩もそうしたくはなかった。けれども、魔法少女どころか、少女になりたてのキュイちゃんが余計に混乱しないように気遣った吾輩の気持ちも考えて欲しいのよ』
「うっ……そう言うのズルい」
どーも、言葉巧みに騙されているような気がする。
ボクとしてはちゃんと話し合いをしたいだけなんだけど、ドブさんの本心が見えてこない。
「というか、ドブさん……いつの間にムーニになったんだよ!?」
『ふふっ、悪くはないね。ニューボディ! 吾輩も身動きが取れないガーターベルトとしているのは、いささか不憫を感じていたのだよ』
ドブさんが手に入れたという、その身体は先日、ボクがモールで購入したばかりのカーペンターシリーズのムーニという羊の妖精である。
昨晩、完成したばかりのプラモをドブさんが早速、占領してしまった。
動くムーニは正直、感動するけど中身が……ドブさんだと、ムーニとしては見れなくなる。
けれど、音声よりも普通に会話できている感はある。
「それはそうと――――」
「キュイ? 誰と話しているんだい?」
部屋の外から、チエコさんの声とともにキシキシッと階段がリズムを刻んで鳴り響く。
ボクは慌てて、部屋から飛び出た。
特に意味はなかったけれど、部屋の閉じこもっていたら色々と探られそうな気がする。
ただでさえ、勘の鋭い女将さんだ。きっと、ムーニを見るなり怪しむはずだ。
「えっ、演劇の練習でしゅ! 今度、はっ、発表会があるから……」
丁度、階段をのぼってきた女将さんと鉢合わせた。
咄嗟のことで嘘をついてしまったボクは妙な罰の悪さから、一刻もこの場を抜け出したかった。
前にも思ったけど、本当のことを告げても与太話だと信じて貰えないだろうし、迷惑になる。
何より、女将や大将との今の関係を壊してしまうのが、凄く怖い。
ボクはヒサカズだけど、キュイとしてここいる時間の方が長い。
彼らに対してキュイとして共に過ごしたい。その方が皆、幸せだから……。
「ところで、サガワ君を見なかったかい? 餌をやろうしたら、ゲージの中に居ないんだよ」
「いえ、見てません……発信機とかつけてませんか?」
「さすがに動物には使わないよ……と言いたいトコロだけど首輪に仕込んだらタチマチ引き千切られてしまったよ」
「まさか……お店の外へ出たんじゃっ!! ボク、辺りを探してきます」
女将さんに断わりを入れると、雪崩れ込むように店の外へと出た。
身なりはレッサーパンダでも中は、秘密結社の大幹部である。
サガワ博士にとって、ここからの脱出は造作もない事だろう。
このタイミングで、逃走を図る目的は不明だけど、セコイヤの本部に戻らせるわけにはいかない。
博士には、ボクの居場所がバレてしまっている。
幹部の誰かと接触するより先に捕まえないと!
『キュイちゃん、ほら! アソコに子供たちが集まっているよ』
「いつの間に、ボクのパーカーフードに潜りこんだの!? もう、しょうがないな」
ムーニのプラモ(ドブさん)を腕に抱きかかえながら、ボクは公園へと走った。
学校の教室で会話することも増えたし、たまに出てくる変体も二人で協力し合いながら撃退していたりもする。
何もかも、順風満帆……明るいJK生活を送っていた。
そんなボクに運命は容赦なく新たなる問題を持ち出してくるのであった。
「ドブさん……これはどういう事?」
『何がだい?』
「とぼけないでよ! 動画投稿サイトにサークレットフェアリーとシルフィードハーネスの戦闘シーン動画がUPされているんだけど、ドブさんの仕業だよね!?」
事の発端はクラスの男子たちが視聴していた動画だ。
血気盛んな彼らが珍しくスマホで魅入っていたのは、νTuberの投稿動画サイトだった。
そこには、なんと怪人クリッピィと戦うサークレットフェアリーとシルフィードハーネスが映されていた。
νTuber、もとは魔法少女のコスプレをした動画投稿者が屋外に出て人々の反応を動画として上げるだけのものだったが、ある日を境に本物の魔法少女が動画投稿するようになった。
動画を上げる魔法少女キャラクターとして商標登録するのが魔法少女管理委員会という謎の組織だ。
νTuberは男性には非常にウケが良い。
男子、三人揃えばエロ談義が始まる中で、彼らはサークレットフェアリーを真剣な眼差しで見ながら「ふ~ん、エッチじゃん」とかクールぶって言っているしぃぃぃ。
当人であるボクからすれば、まったく洒落にならない話だ。
自分が男子たちのオカズにされる事を考えただけで鳥肌ものだ。
『いや、言ったでしょ? 魔法少女には自分が活躍した動画を投稿する義務があるって』
「嘘だよ! だって田宮さんは上げてないじゃない」
『彼女は例外だよ。魔法少女たちが動画を上げるのは活動資金を得るためなんだよ。そのお金で新しい武器やコスチューム、アイテムを購入したり、移動するための経費も必要だよね? いくらキュイちゃんが麵次郎でアルバイトしていても、その程度の額では足りないんだよ』
「だからって断りもなく無断で投稿するのはヒドイよ!」
『気持ちは分かるよ。吾輩もそうしたくはなかった。けれども、魔法少女どころか、少女になりたてのキュイちゃんが余計に混乱しないように気遣った吾輩の気持ちも考えて欲しいのよ』
「うっ……そう言うのズルい」
どーも、言葉巧みに騙されているような気がする。
ボクとしてはちゃんと話し合いをしたいだけなんだけど、ドブさんの本心が見えてこない。
「というか、ドブさん……いつの間にムーニになったんだよ!?」
『ふふっ、悪くはないね。ニューボディ! 吾輩も身動きが取れないガーターベルトとしているのは、いささか不憫を感じていたのだよ』
ドブさんが手に入れたという、その身体は先日、ボクがモールで購入したばかりのカーペンターシリーズのムーニという羊の妖精である。
昨晩、完成したばかりのプラモをドブさんが早速、占領してしまった。
動くムーニは正直、感動するけど中身が……ドブさんだと、ムーニとしては見れなくなる。
けれど、音声よりも普通に会話できている感はある。
「それはそうと――――」
「キュイ? 誰と話しているんだい?」
部屋の外から、チエコさんの声とともにキシキシッと階段がリズムを刻んで鳴り響く。
ボクは慌てて、部屋から飛び出た。
特に意味はなかったけれど、部屋の閉じこもっていたら色々と探られそうな気がする。
ただでさえ、勘の鋭い女将さんだ。きっと、ムーニを見るなり怪しむはずだ。
「えっ、演劇の練習でしゅ! 今度、はっ、発表会があるから……」
丁度、階段をのぼってきた女将さんと鉢合わせた。
咄嗟のことで嘘をついてしまったボクは妙な罰の悪さから、一刻もこの場を抜け出したかった。
前にも思ったけど、本当のことを告げても与太話だと信じて貰えないだろうし、迷惑になる。
何より、女将や大将との今の関係を壊してしまうのが、凄く怖い。
ボクはヒサカズだけど、キュイとしてここいる時間の方が長い。
彼らに対してキュイとして共に過ごしたい。その方が皆、幸せだから……。
「ところで、サガワ君を見なかったかい? 餌をやろうしたら、ゲージの中に居ないんだよ」
「いえ、見てません……発信機とかつけてませんか?」
「さすがに動物には使わないよ……と言いたいトコロだけど首輪に仕込んだらタチマチ引き千切られてしまったよ」
「まさか……お店の外へ出たんじゃっ!! ボク、辺りを探してきます」
女将さんに断わりを入れると、雪崩れ込むように店の外へと出た。
身なりはレッサーパンダでも中は、秘密結社の大幹部である。
サガワ博士にとって、ここからの脱出は造作もない事だろう。
このタイミングで、逃走を図る目的は不明だけど、セコイヤの本部に戻らせるわけにはいかない。
博士には、ボクの居場所がバレてしまっている。
幹部の誰かと接触するより先に捕まえないと!
『キュイちゃん、ほら! アソコに子供たちが集まっているよ』
「いつの間に、ボクのパーカーフードに潜りこんだの!? もう、しょうがないな」
ムーニのプラモ(ドブさん)を腕に抱きかかえながら、ボクは公園へと走った。
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