超絶転身少女 インフィニティアニキ 特撮ヒーローから魔法少女系νtuberに転職します

心絵マシテ

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三十七話 アニキ、再会する

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公園にある滑り台の傍に子供たちが集合していた。
さして珍しい光景でもないが、その中心にいる人物をどこかで見たような気がする。

「お姉さん、触らせてよ、ねぇ~、お願いだから」

「落ち着けよ。そんなに激しくしたら暴れるだろっ!」

真っ昼間から、小学生に何を言わせているんだ。
聞き捨てならない台詞に、元ヒーローとしての血が騒ぐ。
そんなけしからん事を覚えるには、十年早い。
憤りを通り越した興奮を感じながら、ボクは彼らに言ってやった。

「おせちも良いけど、やっぱカレーだね!!」

はっ! ボクは何を言っているんだ。
ついイエローだった時のノリが出てしまった。これでは、おせちとカレーが隠語みたいじゃないか!!
突如、背後から現れたボクを見る少年たちの眼は何とも冷めていた……。
まるで、溜まりにたまった仕事をようやく終えた残業帰りのリーマンのようだ。
潤いがなく若さとは無縁の表情が、彼らを取り巻く環境がいかに厳しいものか訴えているように見える。

「パンツみせろや! オラ!」

訳の分からないセクハラを小学生から受けるとは想像もしていなかった。
最近の子供はこんなにも乱れ切っているのか、少年たちはボクを性的な眼で見ている。
嫌すぎる……こんなのボクが知っている子供たちではない。

「お前ら、ふざけんのも大概にしろよ! 向こうの女の子も怖がっているだろう」

「けどさ、アイカねぇちゃん。まんざらでもなさそうだぜアレ」

―――アレとか言うなっ! 可愛くない、全然可愛げがない。
内心、怒り心頭となりながらもボクは、自分を抑えた。
子供というのは、思ったことをよく考えもせず口走るものだ。
ヒーローとしては、どんなガキでも公平に扱わないといけないし、常に彼らの味方でなければならない。
それに、迂闊に叱りでもしたらバックに潜むモンペ(モンスターペアレンツ)が出てくるかもしれない。
できれば厄介事を避けたい身としては、子供らと対立したくない。

「もう良いから帰れよ。お前ら、これから塾なんだろ?」

「ええ――――!! もう少し居てもいいじゃん」

「はぁ? むしろ地球上から消えろよ。お前らみたいなのが将来、人様に迷惑かけるんだからさぁ~」

「わぉ―――!! アイカねぇちゃん、シンラツゥ―――――!!」

「早くいけよ、粗大ゴミ。これ以上、私の邪魔すんなよ」

一体、どんなプレイなんだ? あんだけ罵倒されても喜んでいる。
公園を走りさってゆく少年たちを見て、この国の行く末が不安になってきた。
不安といえば、容赦なく厳しい言葉を投げつけてくる、このお姉ちゃんは間違いなく、この間モールで出くわした魔法少女同業者のアイカちゃんだ。

「ん? アンタ、どっかで見たような……? あっ! 色々とアウトな魔法少女じゃん! オッスゥ~元気してたぁー?」

即行で身バレした、変身していたというのに……相手も魔法少女だから認識阻害が上手く働かないのか?
ボクは返事に困ってしまった。
アイカちゃんとの距離感がまったくつかめない。
彼女自身の他者との接し方が遠かったり、近すぎたりする独特なもののせいで正解を見出せない。
それよりも、さっきから気になるのは彼女の手にする毛皮の正体だ。
猫のように首根っこを指先で摘まんでいるけど、どう見てもレッサーパンダ、サガワ博士だ。

「アイカちゃん、そのレッサーパンダは逃げだしたウチのペットなんだ。ちょうど、今捜索していたところで……。見つけてくれてありがとう」

「ふふん、礼には及ばないしょ。とりあえず、アンタの家に行けばいいカンジ?」

「ふぇ? いや……ここで手渡しでも」

「まさか、ペットを拾ってもらって、ありがとうだけとかアリエーナイ!?」

何かと厚かましいとしか言い様がなかった。
頼んでもいないのに、アイカちゃんはボクが間借りしている麺次郎にまでついて来てしまった。
断わってみせても勢い任せに押し切りボクのほうが根負けする始末だ。
だとしても博士を捕まえてくれたのは、彼女であることは変わらない。
その親切心を無碍にすることはできない。

「へぇー、ラーメン屋かぁ。それで、そんなウェートレスみたいな恰好しているんだ!」

合点のいったようにしみじみと頷くアイカちゃん。
これで満足であろう。そろそろ博士を渡して欲しい。
ボクの願いは、即座に音を立てて崩れてゆく。
あろうことか、今度は勝手に店のドアを開き店内へと入っていった。

「らっしゃい!! 」奥から大将の活きのいい声が響いてきた。

「あのぉ、外でコイツを捕まえたんですけど。お店の子に聞いたら、ここで飼っているペットだと聞いたんですけどぉ~」

「おうよ、サガワじゃねぇか! ウチの婆さんがイナイイナイバアア! って叫んでいたぞ」

「マジっすか!? じゃあ、返しますね」

「スマンな。サガワを見つけてくれた礼に、ラーメンでもどうだい? 腹減っているだろう?」

「あざーす!! チソウになりますぅ!!」

何を考えているのか知らないが、順応力が高過ぎる。
一瞬にして大将と打ち解けていないか?
これがリア充という奴なのか……コミュ力のお化けだ。
到底、真似はできない。
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