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四十七話 アニキ、決戦へと
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ドブさんから重大な発表をうけたボクたちに、動揺がひろがったのは言うまでない。
これまで出現した変体たちは、すべて魔法少女によって駆逐されているとボクは思いこんでいた。
けれど、現実はそこまで甘くはなかった。
多く魔法少女を返り討ちにしたという危険極まりない変体が、近隣に生息しているというのだ。
決行は本日の真夜中、皮肉なことに昼間の騒動があったことで今日の花火大会は明日に持ち越しとなった。
場所は海岸沿いの山林、その奥深くに廃墟となった家屋があり変体はそこに住んでいたという。
どうして過去形なのか? それは長期間、放置していたからだ。
それほどまでに敵は手強く、ドブさんたちもそれなりに戦える魔法少女を集めるのに苦心していたそうだ。
少なくともボクが戦隊戦士をやめて、ここ数年で現れた怪人。
もし、ドウナッテンジャーだった現役の時に戦っていたら、倒せたのだろうか?
いけない、いけない……またレッドのことを思い出してしまった。
彼はボクたちの中でも頭一つ、飛びぬけたバトルセンスを持っていた。
そんな彼も、もうこの地にはいない。頼ろうと考えるのは筋違い。
何より、今のボクは魔法少女サークレットフェアリーなんだ。
自分達でこの難関を突破しないといけない。
「お帰り! キュイちゃん!! どうしたの? 浮かない顔をして……」
「ううん、なんでもないよ」
ホテルに戻るとリユちゃんたちがボクの帰りを待っていてくれた。
田宮さんが手配してくれた夕飯は近海で獲れた海の幸をふんだんに使用した豪勢な物で、箸をつけるのも勿体ないぐらいだった。
「うんまぁ―――!! 生きてて良かったわ! こんなに鮮度の良いお刺身、なかなか食べられないよ」
「うん、お魚だけじゃくてキノコや野菜の天ぷらも絶品! 田宮さん、ありがとうね!!」
「気に入ってもらえて良かったわ」
出された料理に顔を緩ませるリユちゃんと茜音ちゃん。
二人の様子を見ていると一緒に来てよかったなと思う。ここがボクの帰る場所……そう思う度に胸が苦しくなる。
田宮さんには悪いけど、味がまったく分からなかった。
ボクは強敵と戦った経験があるから分かる、相手の力が未知数な時が一番ヤバイ。
ドブさんにそれを聞いても東京ドーム換算にしてくるから、まったくもって理解できない。
せめて核弾頭、何発分なら計算できるし、そこから世界補正を加えれば現実に及ぼす影響が分かる。
良い子の皆はカン違いしているようだけど、戦隊ヒーローや魔法少女は変身したから強くなるわけではない。
人という存在を超越したから別次元の強さを持っている。
だから、本気さえだせれば世界を破壊するのも容易だ。
ただし、現実という結界がその力の奔流を制限している。
それゆえに本気が出せず、能力的に人に近しい存在として誤認されている。
本来なら、神や異星人といった方が良いのかもしれない。
けれども、ボクたちは人であった頃の感覚を忘れたくはない。人として生まれ、人として最期を迎えたい。
そう願うことはイケないことなのだろうか?
「新庄さん、ちょっといい?」
食事の後、田宮さんに呼ばれボクはテラスへと移動した。
多分、今夜の作戦について話をしたいのだろう。
彼女にはドブさんの方から電波ジャックして伝えられたらしいが果たして彼女は協力してくれるのだろうか?
前に言っていたけど、田宮さんは他の魔法少女とは共闘を望んでいないようだ。
そればかりが気がかりだった。
「新庄さん……いえ、フェアリィ――!! まだ起きてもいないことに頭を悩ませてどうするの!? このままだと勝てないと思うのなら、一層のこと辞退なさい」
「た、田宮さん……君はどうするつもりなの?」
「どうするもこうするもないわ! 大切なのはどうしたいのか? でしょっ!? 私は戦う、たとえ勝算が低くともここで逃げ出して後悔するよりかはマシよ! 貴女こそ、どうしたいの!?」
正直、意外だった。クレバーな田宮さんがここまで感情的になるとは想像もつかなかった。
それにボクのこともちゃんと心配して見てくれている……。
何をするのかではなく、何をしたいのか、彼女の言葉はかつてブルーがよく口にしていた台詞だった。
見栄っ張りで自己中心的な奴だったけど、その言葉には幾度となく支えられた。
戦隊ヒーローだったはずなのにボクは何を弱気になっていたのだろうか?
過去の自分に捕らわれるばかりで、今の自分をよく見ていなかった。
ボクには仲間がいる。まだ、出会って日は浅いけど信頼できるシルフィードハーネスという相棒がいる。
ガウライザーだって健在だし、ドブさんというアドバイザーだっている。
必要以上に恐れるな! ボクがどうするかはボク自身が選ぶことだ。
「どんな強敵でも負けない! ハーネスがいるから、皆が力を貸してくれるからボクは何度でも強敵に立ち向かえるんだ!! 一緒に戦ってくれるよね!?」
「やっと本調子に戻ったみたいね。もちろん、最初からそのつもりよ!」
ボクたちは互いの拳を突き合わせ、決戦に向けて覚悟を固めた。
リユちゃんたちには申し訳ないけど、彼女たちがマッサージを受けている間にボクたちはホテルを抜けだした。
時、同じく旅館の方から田所さんとアイカちゃんたちがやってきた。
かくして廃墟に向かうメンバー全員がここに集った。
これまで出現した変体たちは、すべて魔法少女によって駆逐されているとボクは思いこんでいた。
けれど、現実はそこまで甘くはなかった。
多く魔法少女を返り討ちにしたという危険極まりない変体が、近隣に生息しているというのだ。
決行は本日の真夜中、皮肉なことに昼間の騒動があったことで今日の花火大会は明日に持ち越しとなった。
場所は海岸沿いの山林、その奥深くに廃墟となった家屋があり変体はそこに住んでいたという。
どうして過去形なのか? それは長期間、放置していたからだ。
それほどまでに敵は手強く、ドブさんたちもそれなりに戦える魔法少女を集めるのに苦心していたそうだ。
少なくともボクが戦隊戦士をやめて、ここ数年で現れた怪人。
もし、ドウナッテンジャーだった現役の時に戦っていたら、倒せたのだろうか?
いけない、いけない……またレッドのことを思い出してしまった。
彼はボクたちの中でも頭一つ、飛びぬけたバトルセンスを持っていた。
そんな彼も、もうこの地にはいない。頼ろうと考えるのは筋違い。
何より、今のボクは魔法少女サークレットフェアリーなんだ。
自分達でこの難関を突破しないといけない。
「お帰り! キュイちゃん!! どうしたの? 浮かない顔をして……」
「ううん、なんでもないよ」
ホテルに戻るとリユちゃんたちがボクの帰りを待っていてくれた。
田宮さんが手配してくれた夕飯は近海で獲れた海の幸をふんだんに使用した豪勢な物で、箸をつけるのも勿体ないぐらいだった。
「うんまぁ―――!! 生きてて良かったわ! こんなに鮮度の良いお刺身、なかなか食べられないよ」
「うん、お魚だけじゃくてキノコや野菜の天ぷらも絶品! 田宮さん、ありがとうね!!」
「気に入ってもらえて良かったわ」
出された料理に顔を緩ませるリユちゃんと茜音ちゃん。
二人の様子を見ていると一緒に来てよかったなと思う。ここがボクの帰る場所……そう思う度に胸が苦しくなる。
田宮さんには悪いけど、味がまったく分からなかった。
ボクは強敵と戦った経験があるから分かる、相手の力が未知数な時が一番ヤバイ。
ドブさんにそれを聞いても東京ドーム換算にしてくるから、まったくもって理解できない。
せめて核弾頭、何発分なら計算できるし、そこから世界補正を加えれば現実に及ぼす影響が分かる。
良い子の皆はカン違いしているようだけど、戦隊ヒーローや魔法少女は変身したから強くなるわけではない。
人という存在を超越したから別次元の強さを持っている。
だから、本気さえだせれば世界を破壊するのも容易だ。
ただし、現実という結界がその力の奔流を制限している。
それゆえに本気が出せず、能力的に人に近しい存在として誤認されている。
本来なら、神や異星人といった方が良いのかもしれない。
けれども、ボクたちは人であった頃の感覚を忘れたくはない。人として生まれ、人として最期を迎えたい。
そう願うことはイケないことなのだろうか?
「新庄さん、ちょっといい?」
食事の後、田宮さんに呼ばれボクはテラスへと移動した。
多分、今夜の作戦について話をしたいのだろう。
彼女にはドブさんの方から電波ジャックして伝えられたらしいが果たして彼女は協力してくれるのだろうか?
前に言っていたけど、田宮さんは他の魔法少女とは共闘を望んでいないようだ。
そればかりが気がかりだった。
「新庄さん……いえ、フェアリィ――!! まだ起きてもいないことに頭を悩ませてどうするの!? このままだと勝てないと思うのなら、一層のこと辞退なさい」
「た、田宮さん……君はどうするつもりなの?」
「どうするもこうするもないわ! 大切なのはどうしたいのか? でしょっ!? 私は戦う、たとえ勝算が低くともここで逃げ出して後悔するよりかはマシよ! 貴女こそ、どうしたいの!?」
正直、意外だった。クレバーな田宮さんがここまで感情的になるとは想像もつかなかった。
それにボクのこともちゃんと心配して見てくれている……。
何をするのかではなく、何をしたいのか、彼女の言葉はかつてブルーがよく口にしていた台詞だった。
見栄っ張りで自己中心的な奴だったけど、その言葉には幾度となく支えられた。
戦隊ヒーローだったはずなのにボクは何を弱気になっていたのだろうか?
過去の自分に捕らわれるばかりで、今の自分をよく見ていなかった。
ボクには仲間がいる。まだ、出会って日は浅いけど信頼できるシルフィードハーネスという相棒がいる。
ガウライザーだって健在だし、ドブさんというアドバイザーだっている。
必要以上に恐れるな! ボクがどうするかはボク自身が選ぶことだ。
「どんな強敵でも負けない! ハーネスがいるから、皆が力を貸してくれるからボクは何度でも強敵に立ち向かえるんだ!! 一緒に戦ってくれるよね!?」
「やっと本調子に戻ったみたいね。もちろん、最初からそのつもりよ!」
ボクたちは互いの拳を突き合わせ、決戦に向けて覚悟を固めた。
リユちゃんたちには申し訳ないけど、彼女たちがマッサージを受けている間にボクたちはホテルを抜けだした。
時、同じく旅館の方から田所さんとアイカちゃんたちがやってきた。
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