問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

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黒幕の内

117話 いざ天界へ

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 サトランが話した通り、この木は天界(屋上)へと通じる道だ。
 六人分の願いを託された者だけがその先へと進める。
 念のため、通信ケーブルを利用し屋上への別ルートを探したが、そもそもこの学校に屋上は存在しない。
 おそらくマーダは別次元にいると考えても良いだろう。

「へへへ……マイト。残念ながら僕はもう五人分の願いを集めている。あと一人、あと一つの願いでマーダ様の下へと辿り着ける。羨ましいか? ん~~」

「いや、それほどでも……参考までに聞かせてくれ。人数分の願いであれば、誰の願いでも構わないのか?」

「あぁ、だよな? アマニ。おい……アマニ?」

 サトランの呼びかけに答える者はいなかった。
 それもそのはず。アマニ当人は、すでに原型を留めていなかった。
 生きてはいるも人のカタチを失い地ベタに散らばる消し炭となっていた。

 サトランの奴は、自分が優位に立っていると思いこんでいるが、実はそうではない。
 ソーラーレイの照射を直に受けたのだ、その身は時間とともに少しづつ崩壊している。

「遅くなってゴメンね、サトル君? あれ? アナタは確か……Z世代の大名君」

 タイミングが良いのか? 悪いのか? サトランに呼び出されていたササちゃんがここで登場。
 どうやら、俺はクラスではなく世代分けされているらしい。
 前世では、それよりも四世代後の俺がそう呼ばれるのは適切ではないと思うけど……サトランの前世では、Z世代ど真ん中だったということだろう。

「大名君、サトル君がどこにいるのか知っている? 私、彼にここに来るように呼ばれたんだけど……」

 ササちゃんが不安気に周囲を見回す。
 荒地と化したこの場所にあるのは、一本の木と二つの炭の塊だけだ。

「ササッちゃ! 僕はここだよぉ~」炭が叫んだ。
 もはや、怪奇現象のレベルである……サトランのスキルブックの影響がなかったら、未知の生物が出現したと大騒ぎになっているはずだ。

「お――い、ササッちゃ―――ん!!」

 枯れ枝のようになった腕を振るってみせるも、彼女は何も反応を示さなかった。
 無視を決め込んでいるわけではなさそうだ。むしろ気づいていないのか?
 その異変をサトラン自身も感じ取ったようだ。慌ててスキルブックを取り出すと奴はその場で絶叫した。

「ち、くしょうぉおおおおおおおおおお!!! めええぇぇぇ! 僕のファンタジアが半分、黒く変色しているじゃないかぁあああああああ。マイト! 貴様ぁ、何をしたんだ!?」

 何でもかんでも他者のせいにするなよ? そんなのは決まっている。
 サトランはスキルブックを酷使しすぎた。
 半導体の一撃から自分たちを復活させようとして本に負荷をかけ過ぎた。
 その結果、まともに作用しなくなってしまっただけだ。

「アイツなら、帰ったよ」

「えっ? まだ午前中なのに?」

「急に……田舎の味が恋しくなったらしい。電車が間に合わないって走っていったよ、ササちゃんにヨロシクだとさ」

「そっち! そうまでして帰りたかったんだ……お別れを言えなかったのは、残念だけど仕方ないよね」

「まぁ、いつかまた、どこかで会えるさ」

「そうね……そうだよね!」

 それとなく、彼女の肩に手をおきながら、俺はサトランの方を振り向いた。

「ぁああああああああああああ! このおおおおお、腐れ野郎ぉおおおお―――――!! その汚い手をどけやがれぇぇええ! 僕の僕の僕のササちゃんに触れるなぁぁぁぁいやあおお――――あああ!!!」

 これ見よがしに、ニヤケていると壮絶なる悲鳴が聞こえた。
 まるで恋人をNTRされた奴のようだが……そもそも、このササちゃんはサトランとは何の関係もない。
 俺のスキルブックによって投影されたグラビアに、魔王の魂が吹き込まれた存在だ。
 本物の彼女は、俺がいた時代にはいなかったが、国民から愛される伝説のアイドルとしてずっと語り継がれてきた。
 だから、俺も知識としては彼女のこと知っている。
 未来の世界については、詳しく話す気にはなれないが……新しい物が生まれない世界だと言っておこう。
 俺たちは過去を追体験することで、それを娯楽としていた。
 まぁ、一種の流行りなのだが…………そのせいで、あの事故は起きた――――――

「大名君? サトル君のことが心配なの?」

「あっ、すまん。少し考えごとをしていたよ。ササちゃん、いや……ササブリ、聞いていただろう? マーダのもとに行くのには、皆の願いの力が必要だ」

「大名……君? 何を……うっ、頭が!! 割れ――――フフッ……フフフッ! ッハハハアアア!!」

 ファンタジアの力の弱まったことにより、デスブリンガーは自力で制限を解除し目覚めた。
 姿は、以前そのままだが、身体からにじみ出ている紫のオーラは間違いなく、相棒のモノだ。

「待たせたな、マイト! 我、再臨したぞ!!」 
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