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ルチア十六歳、魔法学園編
ルチア十六歳
しおりを挟むーールチィ、準備はちゃんと出来てるの? 忘れ物とかない?
ーー本当に大丈夫? 明日は魔法学園の初日だぞ! 遅刻なんてするなよ? かっこ悪りーからな。
「分かってるよー。準備は完璧です!」
白ちゃん黒ちゃんは年々お母さん感が増し増しだ……!
そりゃ出会った時は小さな子供だったけど。
もう、私も十六歳! 前世の記憶を取り戻して六年もたった……!
流石にこの不思議な世界にも慣れた。
でもまさか、獣人国から急に竜人国にきて、そのままずっと竜人国にいる事になるなんて思わなかったよ……!
★★★
今思い出しても、竜人国に着いた時の事は鮮明に覚えてる。
竜人国について直ぐに、綺麗な竜人のお姉さん達に、アレやコレやと身体中を磨かれ化粧され、見た事もない豪華なドレスを着せられ……。
お姉さん達の勢いに圧倒され、抵抗出来ずに困惑していたら……。
正気に戻った時には、大勢の人達の前で竜王様の番としてシェラ様に抱っこされ、真っ白な馬達が引く花の沢山着いたパレードカー?みたいなので走っていた……!
何コレ?!
前世で例えるなら有名な某テーマパークのパレード並み!
いや……それ以上かも。
凄い人と大歓声……!
竜人国に着いて直ぐ、謎のパレードって何ですか? 恥ずかし過ぎて死ぬかと思った。
流石にこの地獄の諸行に私はぶち切れて、シェラ様を含め側近の人達と一ヶ月の間、口を聞く所か姿さえ見せなかった。
白ちゃん黒ちゃんたちに『反省してるしさすがに可哀想だぜ、もう許してやれよ』と、何度も説得されシェラ様達を許す事にしたけど……。
その時のシェラ様と側近の方達の姿を見た時、私も流石にやり過ぎたと後で反省した。
なんとシェラ様達は、私に会えるまでずっと扉の前でいたのだ……ご飯も食べずお風呂も入らず。
私のご飯は白ちゃん達が持って来てくれていたから、扉を開ける度その姿を見ていた白ちゃんたちは、シェラ様たちに同情し可哀想になったみたい。
珍しく白ちゃん達が、必死に説得しに来た理由が分かったよ。
本当ごめんなさい。
竜人族の人達の愛の重さを知りました。
獣人国に迎えに来ていたシェラ様の側近、アルさん、ジェイドさん、エースさんが、パレードは番が見つかった嬉しさの余り、気持ちが昂り自分達の責任であり、シェラ様は全く悪くないと必死に謝ってくれた。
竜人国の人たちは、シェラ様の番はもう一生現れないんじゃないか……!? と口には出さないが不安に思っていたらしい。
そこに突如、番の私が登場!
で……興奮しまくった側近アルさん達が、色々とやらかしちゃった結果……あの恥ずかしいパレードにまで至ってしまった。
皆、竜王シェラ様が大好きなのが重々分かったけど……もう二度とヤメテね?
更に私は、パレードの余波のせいでどこにも出歩けなくなった。
なぜなら、パレードをした時の私の絵姿や色々な番グッズが、至る所で発売されたのだ! それは獣人国や人族の国ゲイリー王国にまで売られていた。
お父様が発売された番グッズを見て興奮し、後にこっそり買い集めていた事を知り、私は恥ずかし過ぎて悶えるのだけど。
当初こんなの誰が買うのよ? って思ったけど、コレが大人気でいまだに品切れ続出……。はぁ。
各家庭に一枚は、シェラ様と私の絵姿が飾ってあるらしい。
この番グッズの所為で、私の顔が竜人国に知れ渡り、全く出歩けなくなってしまった!
出歩けないなら、落ち着くまで待とうよホトトギス……何て悠長な考えをしてたら。
竜人国での番ブームは、一向に落ち着く気配はなく……
私は仕方がないから、王城に籠り竜人国について勉強をしたり、お父様のお仕事が落ち着いたので、家族の時間を二人で楽しんだり。
あとは大きな書庫に行ったりして、時間を潰していたら……。
あっと言う前に五年の歳月がたっていた。
この六年で私の姿もやっと成長した。
なかなか背が伸びず、悩んだりした時が懐かしい。
もう今の私は、誰が見ても一人前の女性だ!
前世の時より胸も大きく。濁っていた紫色の髪は、薄紫色で光の角度によりシルバーに見える綺麗な色に変化した。
長い睫毛に大きなピンク色の瞳
、陶器のように艶々のお肌。自分で言うのもアレだけど綺麗だ。
毎日、お付きのお姉さん達が身体中をピカピカに磨いてくれた成果もあるけれど。
今の私は、あの時に出回った絵姿と全く別人に生まれ変わった。
今なら誰もシェラ様の番だと気付かないだろう。
そこで、これからどうする?って白ちゃん黒ちゃんと相談し。
私は今まで学校に行った事がないので友達もいない。学校に行って友達とキャッキャウフフな普通の学園生活がしてみたい。
この竜人国には十六歳になると入れる大きな魔法学園があるのを書庫で読んで知った。
そこに行ってみたい! っとシェラ様にお願いしたら大反対!!
あーだこーだと揉めに揉めたけど?毎日必死にお願いした結果、シェラ様が折れてくれた。
そして、とうとう明日! 念願だった魔法学園の入学式なのだ!
ああっドキドキする!
白ちゃん黒ちゃんも一緒に学園に入学してくれる。コレはシェラ様との約束。
それに白ちゃん黒ちゃんが一緒の方が私も安心。
お友達とか出来るかな?
一人ワクワクと明日の事を考えていたら部屋の扉コンコンっとノックされる。
「はぁい」
心配顔のシェラ様が部屋に入って来た。
『ルチィ? 明日はとうとう入学式だな。大丈夫か? 我は心配で胸が潰れそうだ……』
「大丈夫だよ! 心配しすぎ!」
この六年で美しいシェラ様とも緊張しないで話せる様になった。
『こんなに美しく成長したルチィを誰にも見せたくないのが本音だか……!』
『何かあったら、我に言うんだよ?』
「大丈夫だって! それにねっ? 学園に行っても毎日王城に帰ってくるんだし」
『ううむ……だがの?』
「ハイハイ! もう明日も早いから私は寝ます。ねっ? おやすみなさい」
まだ何か言いたげなシェラ様を、部屋からおい出そうとすると。
『うぬう……おやすみルチィ』
そう言ってシェラ様は私のおでこにキスをして部屋を出た。
ううー……何年たってもコレはなれない。毎回ドキドキする。
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