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ルチア十六歳、魔法学園編
結婚式当日
しおりを挟む毎日毎日結婚式の準備に追われて……あっという間に過ぎていく。
気がつけばもう、明日は結婚式当日に。
『ルチィ? 明日はとうとう結婚式だのう……やっと我の番を皆に見せる事が出来るのだな』
シェラ様は愛おしいそうに私の目をみると、そっと口付けをする。
「そんな大袈裟な……私は明日の事を考えるとドキドキして眠れないのに……!」
『……ほう? では我がグッスリと寝れる様にいっぱい可愛いがってやろうぞ?』
シェラ様はニヤリと笑うと私に深く口付けをする……!
「んっ……だっ…め」
シェラ様の舌が私の口内を味わい尽くすように動きまわる。
「んんっ……‼︎」
私はドンッと胸を押し、無理矢理シェラ様から離れた。
「ダメだってば!? 明日は結婚式本番なんだよ? バカ竜王! もう知らないんだから!」
シェラ様に背を向けて必死に怒る。面と向かって怒れないのが悔やまれるが、あの顔を見るとつい許してしまって、中々怒れないんだよう。
『ルチィ、すまぬ! ちょっとふざけただけじゃ!……のっ? ルチィ…?』
シェラ様は必死に「すまぬ」と謝りながら、背後から回り込み下を向いている私の顔を、自分へと向ける。その瞳は潤み眉尻が八の字に下がっている。
その姿はまるで捨てられた子犬の様……。
はわわ……可愛い。
ずるいよ、そんな顔されたらもう怒れないよ。
無自覚タラシめ。
「はぁ……っもう。分かった、許す、怒ってないよ。明日も早いから寝よう」
私はシェラ様に抱きついた。
『ルチィ……』
シェラ様は両手で私の頬を包みこむと、オデコに軽く口付けし優しく頭を撫でてくれる。
私を抱っこすると、ベッドまで運び一緒布団に入った。
その間ずっと頭をヨシヨシと撫でてくれ、それが気持ち良くて安心して、気がつけば朝になっていた。
⭐︎★⭐︎★⭐︎
「ぐっ……苦し! そんなに絞めなくても」
「ダメですわルチア様の美しいくびれを目立たせないと!」
結婚式当日、私はマリーさんに腰を締め付けられていた。
こんなに締め付けなくても? って言っても……「美しく引き締まった腰は美女のステイタスです」と言われ、私は何も出来ないまま、マリーさんのなすがままだ。
「完成ですわ……ルチア様。お綺麗です」
「ええっ! 本当に女神様の様に神々しいですわ」
「はぁ……お綺麗です」
マリーさん達がウットリとした目をしながら、恥ずかしくなる様な言葉で褒めちぎる。もう勘弁して欲しい。
恥ずかしさで、顔の火照りがおさまらない。この褒めちぎりはいつになってもなれない。
確かに鏡に写る自分の姿は……綺麗だなと思う。
別の誰か? と思うほどに美しい。自分じゃないみたい……
これもマリーさん達が頑張ってくれたおかげだ。
お化粧もされ、髪の毛は綺麗に編み込みまとめ上げ、生花が散りばめられている。
私が着てるこのドレスは、お願いして作って貰った。
この国では珍しい純白のドレス。そう、これは日本では結婚する時に着るウエディングドレス。
前世で着ることなど無かったから、これが私にとって初めてのウエディングドレス。
シェラ様との結婚式で着れるなんて! 幸せだ。
もう前世の世界【日本】より、この異世界が私のいる場所……初めは何でこんな世界に転生したんだと!
クソ義母達のことがほとんど原因だけど、ほんと嫌だった……悲しくて何度も泣いた。
あの時の私に教えてあげたい、「ルチア? この世界で幸せになれるよ」ってね。
感慨深く浸っていると、ドアがノックされ執事のイルさんが扉を開ける、その後からシェラ様とお父様が入って来た。
『ルチィ! 何て綺麗なんだ……』
「ルチア! ああ……綺麗だよ。お前の母マリンに良く似ているよ……」
純白のタキシードを着たシェラ様と、お父様が迎えに来てくれた。
お父様の瞳からは、ポロポロと大粒の涙が流れ落ちていく。
「お父様! 泣かないで? 気が早すぎるよ?」
「ふふっすまない……余りにもお前が美しくて……それにマリンを思い出してしまってな?」
お父様とギュッと抱き合った。
「お父様……ありがとう」
『さぁ? 皆がルチィを待っておる、そろそろ会場に向かうぞ?』
シェラはサッと私をいつもの様に抱き上げ、スタスタと歩いて行く。
『今日のルチィは特別綺麗だ。我は皆に見せるのが惜しい。このまま蜜月の部屋に閉じ込めておきたいくらいだのう』
こそっと耳元でシェラ様が囁く。
「もうっ! シェラ様」
私の顔はきっと真っ赤だ!
『ふふっ……どんな顔してもルチィは可愛いのう。先ずは民衆達に顔を見せてやらんとの。城に集まって来ておるのだ』
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「本当だ! 凄い人が集まってる」
『皆、可愛いルチィを一目見たいんじゃよ。城下町はお祭り騒ぎだ。露店も沢山出て、賑わっておる』
本当だ……城下から見渡すと、城下街もいつもの街と違う……屋根や軒を花などで綺麗に飾られている。
『さぁルチィ? 下におる民衆達に手を振ってあげて?』
シェラ様に言われた通り、手を振ると大歓声が巻き起こる。
ワァァーーー!
「「「「「ルチア様!!」」」」 「「「「シェラザード様ー! ルチア様ー!」」」」
「「「「竜王シェラザード様ー!」」」」
凄い……歓声で空気が揺れている。
こんなにも歓迎されて……。
私は幸せだ。
『さぁ? 会場に向かうぞ』
シェラ様は軽くキスを落とすと、バルコニーを後にした。
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