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アルビダ様は天使
しおりを挟む「あっ……あのう……ジェイデン様……離していただけると」
「わっ、ごっ、ごめんね。嬉しくって、ついジュリアにするみたいに抱きしめてしまった」
「いっ、いえ……大丈夫です」
アルビダに言われ慌てて離れるジェイデン。その頬は少し赤い。
ジェイデンは、恥ずかしさを隠すように「父と母に、ジュリアの容体が回復したと告げてきます」と言って慌てて部屋を出て行った。
『あ~あ……アビィったら、あれだけ妖精達に注意されていたのに、ジェイデンを攻略ちゃったね。ヤンデレ化しないことを祈るよ』
ジェイデンが部屋を出ていくと、ロビンが動き出す。
「え……コウリャク? よく分かりませんが。そんな事はしていないと思うのですが、わたくし達はお薬を一緒に作っていただけですよ?」
アルビダはロビンの言っている意味が分からず首を傾げる。ロビンはというと、そんなアルビダの姿をジト目で見つめ、両手を上げやれやれとジェスチャーをするのだった。
『まぁ……そうだけどね。アビィはまだまだお子ちゃまだね』
「む! なんだかバカにされているような気がします。あっ、そうですわ! お屋敷に帰ったら妖精さんたちにも報告しないとですね。ジュリア様のことを心配していましたから」
『それはいいね。今日はまだ配信してないから、妖精達も喜ぶだろうね』
「ふふふ。嬉しい報告ができますね」
アルビダはスヤスヤと気持ちよさそうに眠っているジュリアに視線を送る。さらに容体が良くなってきているのが分かり、嬉しくてアルビダの表情が綻ぶ。
——薬の効果がこんなにも早く出るなんて、これは想定外でした。
そんな時。
ドタドタドタと激し足音と共に、勢いよく部屋と扉が開かれる。
そこには、リンドール公爵と夫人さらにアルビダの父が、ジェイデンに連れられ中に傾れ込むように入ってきた。
「ジュリアの病が治ったって! 本当かい?」
「ジュリア!!」
リンドール公爵の声に驚き、眠っていたジュリアが目覚める。
「……んん。どうしたのお父様? そんな声を荒げて?」
ジュリアが目を擦りながら起き上がる。
「ジュリアがっ、起き上がってっ……ふぅぅっ」
眠そうに目を擦るジュリアの姿を見たリンドール公爵夫人が勢いよく抱きしめる。その二人をさらにリンドール公爵が上から抱きしめた。そんな二人の姿を後ろからジェイデンは瞳を潤ませ見つめていた。
ジュリアは何が起こったのか理解できずキョトンとしていたが、自分の病気が完治したのだと理解すると一緒になって泣いて喜んだ。
アルビダの父マティアスも、無表情にリンドール公爵達を見ていたが、その心の声は表情とは真逆で……。
〝よがった……良かったなぁ。ふぅぅっ、私もアビィが病気になどなったら生きていけぬ。本当に元気になってくれて良かった〟
そんな父の心の声を聞いてアルビダはほっこりし、幸せな気持ちになるのだった。
★★★
「あっ、あのう、頭を上げてください! お願いします」
リンドール公爵、夫人、ジェイデン、ジュリアがアルビダに向かって頭を下げている。
当のアルビダは、リンドール公爵たちにどう対応していいのか分からず困惑しいている。
感動の対面が終わると、どうしてジュリアの病気が完治したんだとの疑問が浮かぶ。それをジェイデンが得意げに、アルビダ嬢が治癒方法を見つけてくれたとリンドール公爵に話した。
その後の展開がこれである。
アルビダはもう心底やめて欲しいのだが、それをリンドール公爵は全く気くきがない。
「そういうわけにはいかない! 治癒師の誰もが匙を投げた原因不明の病を、アルビダ嬢が解明し、治癒の薬まで作ってくれた。ジュリアの父として……どうお礼をしたらいいのか……ふぅぅっ」
「そうですよ! わたくし達はアルビダ様に最大限のお礼がしたいのです。ジュリアを助けていただきありがとうございます」
そう言って頭を下げることをやめない。
自分がしたことがこんなことになると思ってなかったアルビダはもうどうしていいのか分からない。
そんな困惑しているアルビダの様子を見て、いち早く冷静になったのが父マティアス。
リンドール公爵にアルビダが困っているから止めろと忠告してくれた。
父の助言でやっと頭を上げ、リンドール公爵と落ち着いて話ができるようになったのだが。
冷静を取り戻したリンドール公爵と父マティアスは、アルビダの鑑定能力に目を向けた。
なぜそんな能力がアルビダにあるのかと、新たに取り調べが始まるのだった。
アルビダはこの難関をどう乗り越えようかと、再び頭を悩ませロビンをギュッと抱きしめた。
——困りましたわ。みなさまにどう説明すればいいのでしょう?
★★★
ロビン『アビィお疲れ様、無事にジュリアの病が治って良かったね』
アルビダ『はい! 皆様が幸せで……わたくしも嬉しいです』
ロビン『だけど新たな問題が発生したね?』
アルビダ「そうなのです。わたくしどうしたら……」
ロビン『こんな時は読者さんたちに聞いてみたりしてもいいかもね』
アルビダ「あっ……そのう……わたくし頑張りますのでコメントで応援、助言していただけるとありがたいです」
ロビン『応援やアイデアを教えて貰えるといいね』
アルビダ「はい♡」
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