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本編 燦聖教編
釣りの成果
しおりを挟む不思議だな……ハイパール号は速度二百キロも出てるのに、体感速度は五十キロといった感じだ。
頬に触れる風の勢いもふんわりとして心地よい。
二百キロの風圧ではない。
まぁそんな風圧が有れば、甲板に出たら俺すぐに飛ばされてるよな。
パールは本当に凄いよ。この船の事を国が知れば売ってくれって言われそうだけど……あっでも無理か、パールの魔力じゃ無いと動かないって言ってたからな。
船の甲板に立ち海風を浴びながら考え事をしていたら銀太とスバルがやって来た。
船に何時でも行ける様にするために、今は異空間の扉を出しっ放しにしている。
『主~!此処に居たのだ。何で一緒に風呂に入らなんだのだ?』
『そうだぜ?シャンプーしてもらいたかったのに……』
「ごめんごめんっ。流石に獣人の女の人があんなに居たら恥ずかしいよ」
『何で獣人がいたら恥ずかしいんだ?分からん?』
スバルが不思議そうな顔して肩に乗って来た。フワリと良い匂いが漂う。
「あれっ?シャンプーして欲しかったとか言って良い匂いしてるじゃん?」
『これはっ獣人達が洗ってくれたんだ!気持ち良かったけどな……俺はやっぱりティーゴが一番だ』
『我もだ!我もティーゴのシャンプーが良いのだ!』
何こいつら……嬉しい事を言ってくれる。
俺は銀太とスバルをモフリまくる。
『フンスッ主の手気持ちいいのだ……』
『ティーゴの手は最高だぜ』
「じゃっ仕上げのオイルとブラッシングしてあげるな?」
『やった』のだー!』
アイテムボックスからブラシとオイルを出して……オイルをぬり丁寧にブラッシングして行く。
『それでの?我が聞いて欲しいのは釣りの話なのだ!』
ブラッシングしながら銀太とスバルの話しを聞くと……。
『そうなんだよ!異空間の海には見た事が無い魚がいっぱい居たんだよ。なぁ?』
『我は釣りが初めてじゃから分からんのだ……でも大きな魚がいっぱい釣れたのだ。釣り楽しかった』
銀太はしっぽブンブン嬉しそうだ。初めての釣りが楽しかったんだな。
スバルは見た事がない魚ばかりと不思議そうだな。
異空間の海は、日替わりでこの世界に在る何処かの海と繋がるらしいから、スバルが行った事がない海と繋がったのかな?
「そんなにいっぱい釣れたのか?」
『そりゃそうさ?成果を見たいか?』
『見て欲しいのだ!我が釣った魚!』
クスクス
「見たいな。銀太とスバルが釣った魚」
んっ?待てよ。デカイ魚がいっぱいって言ってたな。甲板に出して大丈夫か⁉︎
「ちょっ……!」
ドサドサドサドサドサドサドサァッ
「わーーー!何だコレ!」
ストップをかけようとしたが遅かった。
目の前に二メートルはある魚達の山が積み上がる。
広い甲板が魚で埋め尽くされた。
本当だ!全部見た事ない。
『持って帰って来た魚は美味い奴ばっかりだ。神眼でちゃんと確認したからな?食えないのは海に返してやったよ』
神眼で確認済みか……。
やたらと長い魚とか角がある魚……見た感じは美味そうには見えない。この見た目ヘビみたいな魚とか本当に食える?
【キングウナァギイ】
ランクA
ウナァギイの進化した姿
血に毒が有るがその身は美味い。皮ごと焼いて食べるのがオススメ。
本当だ……美味いって書いてる。
俺ウナァギイ自体食べた事無いんだよな……って言うか見るのも初めてだ。
コレはキングウナァギイだけど……。
どんな味なんだ?
倭の国ではウナァギイを良く食べるって本で読み、その時に初めてウナァギイの絵姿を見ただけだ。
『ティーゴの旦那。このウナァギイで串焼き作ってくれよ。
昔に主と倭の国に行った時に。食べた串焼きが美味かったんだよな』
ウナァギイを串焼き?
コレはそんな食べ方するのか?
ピコン
【ウナァギイの串焼き】
ウナァギイを背開きにし、骨と内臓を取り除き頭を落として、毒となる血がついた身を綺麗に洗いながし、身に串を均一に刺していく。
炭焼きがオススメ。
ウナァギイのタレに付けて焼くと美味い。
ウナァギイのタレ?
ピコン
【ウナァギイのタレ】
綺麗に洗った背骨を入れ出汁をとりそこに酒、ジュエルフラワーの蜜、ニューハウンの特産品ショーユを入れて煮詰める。
余った背骨はカラッと揚げてせんべいとして食べても美味い。
ゴクリッ
ウナァギイ……美味そうじゃねーか!コレは串焼き作るしかないよな。
「分かったよスバル!ウナァギイの串焼き作って見るよ」
⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎
異空間に戻って来た俺は早速ウナァギイの調理に取り掛かる。
創造料理スキルのおかげで作り方はマスターした。
まずは長さ二メートルはあるキングウナァギイを風魔法を使い背開きにする。
おおっ!意外と簡単だ綺麗に出来たな。
血が毒なんだよな。水で洗ったウナァギイを念の為浄化しとくか。
後は食べやすい大きさに切り分け、串を刺していく。
何だか楽しいぞこの作業……後はタレ作って、炭焼きがオススメなんだよな。
俺は炭火でウナァギイの串焼きを焼いていく。表……裏……っと何度も繰り返し両面を綺麗に焼いた後は、タレに付けて……また焼くと。
ジュワァ~~
香ばしく焼ける音と共に何とも言えない美味そうな匂いが辺り一面を漂う。
何だコレ!はぁ……ゴクリッ
俺は焼きながら……唾飲み込む。
焼けた見たいだな。もう我慢出来ない!
ハムッ
「ーー!んまー!何この美味さ!」
美味そうな匂いに釣られて聖獣達が集まって来た。
『あーー!ズルいぞティーゴの旦那!俺にも寄越せ!』
『我も食べたいのだ!』
「何じゃ⁉︎この美味そうな匂いは!」
キューッ!キュウ!
ジャイジャイジャイコブ♪
俺は慌ててコピー料理で串焼きを増やす。
「慌てなくても皆の分あるからな?」
俺は集まって来た皆にウナァギイの串焼きを渡す。
「何と!ウナァギイの串焼き!倭の国に行った時良く食べたのじゃ……はふっ美味い」
『はぁ……米とウナァギイがこんなに相性が良いなんて……俺は知らなかったぜ……ウナァギイ、米、ウナァギイ、米、どーしてくれるんだ!止まらない』
ブッッ
止まらないって何だよ!知らないよ!
米も合うと思って炊いたんだが、スバルは米にのせて食べるのが気に入った見たいだな。
ジャイジャイジャイコブ♪キュッキュウ♪ジャイジャイジャイコブ♪
ジャイコブ達とキューは踊りながら食べてるし……喉に詰まっても知らねーからな?
「あっティア!また人化して裸で食べて!人化したら服を着ろ」
『ティアは小さな龍の姿より人化した方が!いっぱい……いっぱい口に入るの!
ティアは口いっぱいにウナァギイが食べたいのー!』
分かったから服を着てくれ……。
ウナァギイの串焼きは聖獣達に大好評だった。
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