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本編 燦聖教編
進化?
しおりを挟むウナァギイの串焼き美味かったな……。
キュッキュウ♪キューッウウッ♪
キューが大きなしっぽを抱きしめ何かを必死に伝えてる。何が言いたいんだ?
こんな時はいつも三号かスバルが教えてくれるんだけどな。今は俺一人だし……困ったな。
「キュー?何だ?ウナァギイをまだ食べたいのか?」
キュッキュウ
キューは「?」って顔をし首を傾げたあと横に首を振った。違うのか。
キュッキュー!
「なんじゃ?ティーゴはキューの言葉が分からんのか?」
俺とキューの様子に気付いたパールが不思議そうに質問してくる。
「ってパールは分かるみたいな言い方だな?」
「ワシは分かるぞ?」
「えっ⁉︎何で分かるんだよ!テイムしてないし……人語喋ってないのに」
「ワシを誰じゃと思うておる?」
「えっ……大賢者カスパール様?」
「現世のワシは何じゃ?」
「あっ大魔王様……!」
「そうじゃ!魔王となった今、ワシは魔獣や魔物の言語は全て理解出来るようになったのじゃ」
「そうなのか!良いなぁ……俺もキューやリンリンが話してる言葉が分かればなぁ……」
「ん?キューが人語を話す事は簡単じゃよ?」
キュッキュウ?キュー!
キューがパールに興奮しながら詰め寄る。
「何じゃ?キュー?お主人語で話したいのか?」
キュウス!
「何じゃ……早う言うてくれたら」
パールがそう一言呟くと……キューの周りをキラキラと輝く光の粒子が舞いだした。
『ティーゴしゃま!ティーゴしゃま!』
「わっ!キュー?今ティーゴって……」
『ティーゴしゃま!キューの言葉が分かるんでキュね。
やっと……喋れるんでキュね。キューは……嬉しい。こんな事ならもっと早くにパールしゃまにお願いしたら良かった。
キューはティーゴしゃまと出会て幸せなんでキュッ!
これからもずっとずーっとティーゴしゃまのお側にいたんでキュ』
キューが凄い勢いの早口で、喋り続ける。
「キュー?落ち着いて……?そんな慌てなくても聞こえてるから」
『やっとティーゴしゃまと話せる様になったんでキュよ?
キューの伝えたかった事が全て伝わるんでキュよ?
これが落ち着いていられまキュか!』
キューはしっぽプリプリ踊りながら話しだした。
キューよ頼むから喋るか踊るかどちらかにしてくれ……。
キューの喜ぶ姿を見たパールが「ふうむ……こんなにも喜ぶならキュウタとリンリンも話せる様にしてやるかのう」そう言うとキュウタの所に走って行った。
相変わらず優しい大賢者様だ。
『でね?キューが言いたかった話しでキュけど。
ウナァギイを食べた後に、キューはレインボーマスカットの畑に行ったんでキュ。
そしたら黄金に輝くレインボーマスカットが実っていたんでキュよ!
黄金に輝くレインボーマスカットなんて初めて見たでキュ!』
「黄金に輝くレインボーマスカットだって?案内してくれるか?」
『まかせるでキュ』
黄金に輝くレインボーマスカット……何で急にそんなのが実りだしたんだ?
これって……【慈愛の水】の所為なんだろうか?
だとしたら他の作物にも変化が現れるかも知れないな。
『ティーゴしゃま!ここでキュ』
キューが指す方には、レインボーマスカットよりも一回り大きな黄金に輝くマスカットが実っていた。
【ゴールデンマスカット】
ランクS S
慈愛の水によりレインボーマスカットが進化した新種。
この果実を食べるとどんな怪我や病気も治してしまう。欠損していた部位も元通りに。
ちょっ!
慈愛の水って……書いちゃってるよ!
これはやばいって!慈愛の水で新たな果実を作っちゃった。
『ティーゴ様!これは……黄金でキュね』
「キュウタ!お前も人語が話せる様になったのか」
『パール様が僕も話せる様にしてくれたんでキュ』
『ワッチもだパン。やっとティーゴと話せるパン』
「リンリンお前もか!何か不思議な感じだよ。皆と話せて嬉しいよ」
俺がキュウタやリンリンと話していると、後から来たパールが黄金に輝くレインボーマスカットに気付き……ニヤリと笑う。
これ絶対ダメなやつ。何か企んでる時のパールの顔だ!
「ティーゴよ?このゴールデンマスカットは新種らしいのう?」
はい。もう神眼で確認したんですね。
「見たいだな?」
「今から慈愛の水をやっていない竹ノコや全ての食物達にやりに行くのじゃ!
新種が誕生するまで、これは毎日の日課に加えるからの?分かったの?」
パールが物凄くキラキラした瞳で楽しそうに語る……。
「さぁ!行くぞティーゴよ!」
俺の毎日の日課に水やりが加わった。
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