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本編 燦聖教編
街の再生
しおりを挟む「これで全部じゃな!」
パールが港の入り口で眠らせていた燦聖教の男を連れて来た。
燦聖教の男達は皆、銀太とスバルと三号達にたっぷりとお仕置きされて服を着ていない。
素っ裸でプルプルと小刻みに震えている。
パールが新しく連れて来た燦聖教の男も、三号が笑顔で連れて行きお仕置きをしている。
その間にパールが燦聖教の男達の首に、隷属の首輪を付けて行く。
「これはお前達が作ってあったヤツの改良版じゃ。街の人達に逆らえん様にしてあるんじゃ」
「凄いっ!そんな事も出来るのか!」
「オウちゃんに頼んで作って貰ったんじゃ」
オーちゃん何でも作れるんだな。人族の錬金術師よりはるかに実力が上だ。
街の様子はどうなったんだろう。俺が塔から外に出ようと歩いて行くと。
『主!何処行くのだ?』
銀太がついて来た。
「街がどうなったのか二号の所に行ってみようかなと思って」
『我も一緒に行くのだ』
銀太が手をギュッと握りしめてきた。
不思議な感じだな、いつもは大きなフェンリルの姿だから手を握る事はない。今の銀太の手は俺の手よりも小さい。
銀太と手を繋いで中央の塔から外に出ると……!
「ウソだろ……」
街は活気に溢れ、人で賑わっていた。
壊された建物はもう何処にも見当たらない。真新しい美しい建物が並んでいる。
『凄いのだ!違う街みたいなのだ』
「だな。こんなに早く街の建物を建て直すとか……二号は本当凄いな」
街をプラプラと少し歩いて行くとアレクの周りに人が集まっていた。
アレクはデカイから人集りの中でも目立つのだ。
集まっている人族より頭ひとつ分大きい。
「アレク!お疲れ様だ。今は何してるんだ?」
「ティーゴ!もう終わったのか?」
「ああ!全て解決したよ」
「そうか……良かったよ」
「この集まってる人達は?」
「困ってる要望を聞いてる所だ。街の人達の家は二号さんが綺麗に建て直してくれたから、今は細かい要望を聞いてるんだ」
「そっか色々とありがとうな」
「何言ってるんだよ!お礼は俺達が言う方だ。荒れ果てたこの街を建て直し、囚われた仲間を助けてくれ燦聖教もやっつけてくれた。本当にありがとうティーゴ!」
アレクはでかい体を少し震わせ泣き出してしまう。
アレクに集まっていた街の人達までアレクの話を聞き、自分達も色々と思い出したのか釣られて泣き出した。
ちょっと待ってくれ!俺が皆を泣かせてるみたいじゃないか。
「にっ二号達は何処に?」
「すんっ……二号さんと一号さんは船に戻った」
「そっか二号達の所に行ってくる」
居た堪れなくなり俺はその場をそっと離れた。
港に向かって走っている時に、ふと街の人達を見れば皆にこにこと作業している。
無邪気に走り回っている子供達もいる。
初めてこの街に来た時とは大違いだ。人の気配なんてなく壊れた建物が目立っていた。
だが今は街がキラキラと色付いている。
大きな門をくぐり抜け俺は港に碇泊している大きな船に乗り込んだ。
クスッ
一号と二号はタタミの上で寝っ転がりスヤスヤと気持ち良さそうに寝てたいた。
おいおい一号腹が出てるぞ。
何故かその横でキラとオウちゃんも寝ていた。
船と異空間で行ききしやすいように、今は異空間の扉を船の上に出しっぱなしにしている。
なるほどなキラとオーちゃんは異空間から出て来たんだな。
『気持ち良さそうなのだ。我も一緒に寝るのだ』
銀太はフェンリルの姿に戻りコロンッと寝っ転がった。
何かその姿久々だな。俺は銀太に抱き付きモフモフに顔を埋める。
ああ銀太のふわふわでお日様の良い匂い。
銀太!ブラッシングしてやるよ!
『嬉しいのだ!主のブラッシングは気持ち良いのだ』
毛艶がよくなるオイルを塗り丁寧に銀色の毛並みをブラッシングして行く。
「よっしもふもふの完成だ!」
ん?銀太?
銀太を見ると気持ち良さそうに眠っていた。
『……我は…カラアゲ…スピー』
「ぷぷっ我はカラアゲって何だよ」
銀太の横で寝っ転がっていたら……。
『ティーゴの旦那!ここに居たのか!主が異空間にいるゴーレム連れて中央の塔に来てくれって!』
「中央の塔だな?分かった」
俺はゴーレム達を引き連れ中央の塔に向かう。
塔の周りには街の人達が犇めき合うように集まっている。
これじゃ塔に近寄れない。
空を飛んでいたスバルが俺に気付いて舞い降りて来た。
『ティーゴの旦那っ!来たのか』
「この大勢の人達は何だ?いまから何が始まるんだ?」
『主が街の人達に、燦聖教の事とか説明するらしいぞ?』
少しすると塔からパールと三号それにジャイコブ達が燦聖教の奴等を引き連れて出て来た。
燦聖教の奴等は裸ではなくちゃんと服を着ていた。
さすがにこれだけの人前に出るのに裸はダメだよな?
「ワシの横におる男達はこの街を苦しめた燦聖教じゃ。
じゃが悪さはもう出来ぬ様に首に隷属の首輪を付けておる。
この首輪はこの街の人達に逆らえんようなっておるから好きな様に此奴らをこき使うと良い」
街の人達はパールの言葉に驚きを隠せない。
「そしてじゃ。あの奥に見えるゴーレム達じゃが、この街を悪人から守ってくれる様にしてある。力仕事や何でもゴーレム達に頼むとに良い」
街の人達が一斉に俺達に注目する。
そして歓喜の歓声が鳴り止まない。皆大興奮だ!
ワァァァァァァァー!!
中にはパール達に向かって涙ながらに拝んでいる人達もいる。
あっ!俺にまで集まって拝みだした!やめてっもう神様とか勘弁だ。
そんな中誰かが叫ぶ。
「神様!街を救ってくださりありがとうございます!」
それを皮切りに街の皆の神様コールが始まった……。
俺は急いで船に戻ったのは言うまでもない。
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