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本編 燦聖教編
キラーウルフ
しおりを挟むティーゴがワクワクしながらキノコ畑に長老と行ってた時……キノコ村では。
『むっ……キラーウルフの匂いがするジャイ』
『そうコブね……三十匹くらいコブか?村を囲ってるコブ』
「本当じゃ。キノ小人達を食べに来たのか?」
『そうジャイ……今からご馳走の時間だって言ってるジャイ』
『ほう……美味い飯を食べさせてくれたキノ小人達には恩があるのだ。我が成敗してやろう』
『銀太殿……コレは我らに任せて欲しいジャイ』
『キラーウルフは、我らウルフ族の下っ端コブ。
我らが居るのに襲いに来るとは……ちょっと躾けが必要コブ』
銀太達は皆、強さを抑えているので、キラーウルフ達は村にSランクが居るなんて気付かずに、襲いに来ているんだが……そんな事は勿論ハクとロウは忘れている。
キラーウルフの遠吠えが響く。
アオーーーンッ!
ーーさぁキノコ達よ!お食事の時間だぜ?
ーー俺達の怖さに逃げ惑うがいい。皆殺しだぁっ。ヒャッハー!
ーー俺達に隠蔽魔法は効かねーぜ?匂いで何処に逃げたって見つけてやる。フハハハハッ!
凄い勢いで三匹のキラーウルフが現れた!
『ほう……?我らに逃げ惑えジャイと?』
『ウルフ族の頂点、我らジャイコブウルフの俺達を殺せるコブと?』
勢い良く飛び出た三匹は目の前に立つハクとロウを見て、急ブレーキし、そのまま平伏した。
後から来たキラーウルフ達は、皆ハクとロウの存在に気付き、直様回れ右をし、大急ぎで三匹を残し逃げて行った。
『お前達は仲間に見捨てられたジャイな』
ハクがジロリとキラーウルフ達を睨みつける。
ーーヒィッ!
ハクとロウが放つ覇気を感じ、キラーウルフ達は震え上がる。
ーーおおっお許しください。我らは至高なるジャイコブウルフ様達に、危害を加えようなどと考えておりません。
キラーウルフ達は震えながらも、必死に弁明する。
『何ジャイ?もう一度言うジャイ』
ハクとロウの耳がピクリと動く。
ーーお……許し下さい?
『違うジャイ。その後ジャイ!』
ーーしっ至高なるジャイコブウルフ様。
『ふふっそれジャイ』
『至高なるジャイコブウルフ……気に入ったコブ』
ハクとロウはニヤニヤし何やら二匹で話し合っている。
『決めたジャイ♪我らも悪では無い。お前達にチャンスをやるジャイ』
『我らの踊りについて来れたら許してやるコブ♪』
ーーほぇ?おっ踊りですか……?
その時だった。
「ハク、ロウ何かあったのか?」
ティーゴが戻って来た。
『主様……コイツらがこの村を襲おうとしてたジャイ』
『そうコブ』
『でもそこまで悪く無さそうジャイから、チャンスをやるジャイ』
「えっ?何言ってんだ?チャンスってこのキラーウルフにか?」
『そうコブ。我らのダンスに着いて来れたら許してやるコブ』
何だよそれ!そんなチャンス聞いた事ないぞ?って言うかキラーウルフ達は踊れるのか?
ティーゴはキラーウルフ達を見る。明らかに戸惑っている。こんな試練初めてなんだろう……。
そんな中ハクがキノ小人の太鼓部隊に声をかける。
『タイコのキノコよ!例のリズムを刻むジャイ』
キノ小人の太鼓部隊はジャイコブが欲しいリズムが分かるのか、直様リズムを刻みだす。
『まずはゆっくりジャイ』
『後からついて来るコブ♪』
ジャイジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイジャイコブ♪
ジャイコブ達はいつものリズムを刻み、広場の真ん中に踊りながら向かって行く。
その後ろをキラーウルフ達がしどろもどろな動きをしながらついて行く。
『まだジャイ!腰をもっと動かすジャイ!脚は華麗にステップはこう!』
『手は上でこの角度コブ!』
キラーウルフ達は言われるがまま必死に踊りを踊る。
『ようし……良いジャイ。スピードを上げるジャイ♪キノコ達ー!あれジャイ』
ハクがそう言うと、キノ小人達の太鼓を叩くスピードが上がる。
おいおい?いつのまにキノ小人達とこんな息ピッタリになったんだよ。
スピードが早くなり、キラーウルフ達はハクとロウについていけなくなった。
『何ジャイ?お前達の実力はそんなもんジャイ?』
『もっと付いて来れると思ったコブ残念コブ』
ーージャイコブウルフ様我らまだまだやれます!最後まで踊らせて下さい!
キラーウルフ達はハクとロウに自分達はまだやれると、必死に懇願する。
何だかキラーウルフ達の瞳が輝いてないか?
さっきまでの、底意地悪そうな目じゃ無くなっている。
キラーウルフ達は瞳を輝かせ必死にハクとロウの踊りを真似る。
『おお?ヤル気を見せて来たジャイ♪』
『さぁ!仕上げるコブ♪』
ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪コブ♪ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪コブ♪
ドーーーーーーーンッ!
ジャイジャーーーーイコブッ!
ワァァー!
いつの間にがキノ小人達も集まりジャイコブ達の踊りに拍手喝采の大歓声だ。
ハクとロウそしてキラーウルフ達はお辞儀をし歓声に答える。
俺は一体……何を見せられてるんだ?
その中央にいるキラーウルフ達は、この村を襲いに来た悪い奴だろ?
何で満足気にキノ小人達から拍手されてるんだよ。
おかしいだろ?
何で誰も思わないんだ?
チラリとパールや銀太達を見ると、皆ニコニコと微笑んで見ていた。
俺がおかしいのか?
だから、キラーウルフよ?何でそんなやりきった顔してるんだよ。
お前達の目的は違うだろ?
踊りじゃないだろ?
この後キラーウルフ達は、涙を流しハクとロウの弟子にしてくれと跪いていた。
だから!何でだよ!
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