お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

文字の大きさ
136 / 314
本編 燦聖教編

キノ小人達のその後

しおりを挟む

『主殿……キラーウルフ達コイツらが言ってるジャイが、このキノ小人の村を、百匹以上からなるキラーウルフの群れが探し回っているみたいジャイ』

『キラーウルフ達は以前にキノ小人達が作るキノコやキノ小人を食べて味を占めたらしいコブ』

「何だって!」

たまたまキラーウルフが襲って来たんじゃなかったのか。

『キラーウルフは三グループに分かれていて、コイツらのグループが一番少ないグループらしいジャイ』

「やはりそうでしたか……」

俺達の話を一緒に聞いていたキノ小人族の長老が、肩をガクッと落とし大きな溜息をはいた。

「実はキラーウルフ達に村が襲われたのは、これで四回目になるんですよ。
その度にキノ小人が食べられ、今では以前居た人数の半分以下になってしまった。
私の妻もその時に食べられてしまった……はぁ」

「そんなっ……!」

楽しく生きていると思ってたのに、キノ小人達にそんな辛い過去があったなんて……。

「見つかる度に村を移動して逃げ回っていたのですが、キラーウルフ達にはどうも隠蔽魔法をかけ隠れ住んでいても、私共の特殊な胞子の匂いを辿り住処が見つかってしまう事が分かりました……。
隠蔽魔法で隠れる事が出来ないなんて!
それなら私共キノ小人族は、キラーウルフに食べられる死を待つだけじゃないですか……」

長老のマッタケさんは項垂れ何も話さなくなってしまった。

「なぁパール……」

「ふむ?ティーゴも同じ事考えておるのじゃろう?」

「ああ。良い住処が見つかるまで、キノ小人達を異空間で一時的に避難させようと思ってる」

「ワシも同じ考えじゃ」

パールと俺は目を合わせてニヤリと笑う。

「マッタケさん、これは提案なんだけど魔獣から全く襲われない安全な場所があるんだ。
その場所は今すぐにでも移住出来るんだ。
キノ小人達皆で移住しないかい?」

「えっ!?全く襲われない場所?」

項垂れていた長老は、顔を上げ瞳を輝かせてティーゴの話に耳を傾ける。

「見て貰った方が早いかな?」

ティーゴは鍵を出し異空間の扉を開ける。

「ここが移住してもらう場所です。中にいる魔獣達は皆俺の仲間なのでキノ小人族を襲ったりする奴はいない」

長老は異空間の扉入り口で、口をポカンと開け何も言わず立っていた。

「……あの?マッタケさん?」

何も話さない長老にティーゴは不思議に思い話しかける。

「ああっ……ティーゴさん、いやっティーゴ様……この様な楽園に私共が住んでも良いと?」

「もちろん!なぁ皆?」

『…オデと…仲良し…よろしく』

『ティアも大歓迎なの!あの甘味キノコ大好きなの……ふふ』

『うむ……あのキノコは美味かったのだ。我も賛成なのだ』

銀太とティアよ?それはキノ小人じゃなくて完全にキノコ目当てだろ。食いしん坊達め。

「ありがとうございます」

マッタケさんは涙を流し喜んでくれる。
今までずっと不安だったんだ、これからは安心して異空間で過ごしてほしい。

「さてと移動するかのう?」

パールが異空間への移動準備を始めた。

先にキノ小人達全員に異空間の中に移動してもらい、住んでいた場所を丸々パールが移動させた。

「キノ小人の住処はスパイダーの森で良いじゃろう」

パールはキノ小人達の住処をスパイダーの森へ置いた。

自分達の住処まで移動してくると思ってなかったキノ小人達は、パールに集まり皆涙ながらにお礼を言っていた。

パールは、少し照れ臭そうにして困っている。

クスッ……良かった。 

パールとキノ小人達の事を見ていたら、長老のマッタケさんと目があった。

長老はティーゴの所に走って来た。

「ティーゴさん本当に何から何までありがとうございます。
それで、皆と話あったんですが一時的ではなくこの楽園で私共が住むのは難しいでしょうか?」

「ここに?俺は別に構わないよ。本当に良いのか?」

「もちろんです!ここが良いのです。
この楽園は空気まで澄んでいて、ここならもっと素晴らしいキノコが作れる気がします」

何やらマッタケさんは、メラメラと闘志を燃やし張り切っている。
まぁ……楽しそうならそれで良い。

また住人が増えたな。


ピコン!

異空間ランク【C】↑up

異空間の住人が五百人を超えました。

ランクアップにより異空間に森が現れます。
この森には未知なる果物の木や薬草、野菜など沢山生息しています。

次のレベルアップは千人です。

なっ……何だって?キノ小人達が住むと言ったら。
森が現れた!そうか五百人超えたのか。

小さかったスパイダーの森が何十倍もの大きな森に変わった……。

「この森……どこまで広がってるんだよ」
しおりを挟む
感想 1,519

あなたにおすすめの小説

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。