お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

闘技場

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街の中央は、凄い賑わいだった。闘技場を囲むように、お店が軒並み連なっていた。
なかでも一番目立つ通りにある商店街には、数々の種類を扱う路面店があり、その中には冒険者ギルドもあった。

今までの街は、冒険者ギルドなど商店街が燦聖教の所為で全く機能しておらず、ギルドマスターまで捕まり強制労働を課されていた。
王都はまた違うのだろうか?

「気になる所が色々とあるなぁ……闘技場にはもちろん行きたいけど、ギルドも気になる」

するとパールがニヤリと笑い

「気になる所は全部行ったら良いんじゃよ!」

「そうか!そうだよな」

商店街を歩くと、ヴァンシュタイン王国を思い出す懐かしい風景が至る所で目に入る。
威勢の良い冒険者達がワイワイと騒がしく歩き、燦聖教が牛耳っているなどとは思わない。

「……これは!」

俺達はある建物の前で立ち止まった。

赤レンガが高く積み上げられた、歴史の面影を感じる建物。
耐久性に優れたレンガで作られ、窓の作りから三階建であるのが分かる。

「またバカでかい建物じゃのう。冒険者ギルドと書いてある……入ってみるか?」

パールが入って見ようと言うので俺はコンちゃんを抱き抱え後をついて行った。

中に入ると受付らしきカウンターや、依頼の用紙が大きなボードに貼り付けられている。

どんな依頼があるのかと、ボードの方から先に興味津々に見に行くと、書かれている内容を見て固まってしまった。

何だこの依頼は……

【Aランク冒険者】
隣国ランプシへの凱旋
この戦いで功績を成した者は燦聖教にとりなすことも可。

【全てのランク】
隣国ランプシ王国への潜入捜査。内容によって報酬は変わる。

何だこれは……やっぱり普通のギルドじゃない。ここは隣国へ戦争に行く者達を集う場。

冒険者達の声に耳を傾けると……?

「上手くいったら燦聖教に入れ美味い飯も女も手に入る!」
「まぁ……夢だがな!お前は上級魔法が使えるから、上手くいきゃ入れるかもな?」
「しししっ……上手くいったらな?」


冒険者達は皆、燦聖教に入りたがっている様だ。その為に隣国へ戦争に行くとか……変だと思わないのか?

「何か妙な感じだな」

「そうじゃのう……」

俺達は少しひっかかるが、冒険者ギルドを後にした。

そのまま闘技場へと進むと、今日一番の人集りが目に入る。

皆、何かを買おうと列に並んでいる。

「何をみんなは躍起になって並んでるんだ?」

「あれはのう。今から闘技場で始まる戦いで誰が勝つか賭けているんじゃよ」

「かけて?」

「そうか、ティーゴはこの様な賭け事は初めてじゃったの」

「ああ……」

「ほら皆が並んでおる購入窓口の上に掲示板があるじゃろ?あれが今日行われる闘いじゃ。出場者名前の横に数字が書かれておるじゃろ?あれがオッズというて、少ない程強いと期待されておるんじゃよ。次の闘いじゃとオッズは十二と三じゃろ?」

パールがその意味が分かるかと俺を見る。

「ってことは三の奴が強いってことか?」

「まぁそう言うことじゃ。じゃがティーゴが三の奴に金貨一枚を賭けるじゃろ?そやつが勝てば金貨は三倍の三枚に増えるが、負ければ没収。十二枚の奴に賭けもし勝てば金額十二枚に増えるって事なんじゃよ!」

「なるほどな!強い奴ほど儲け率が少ないのか……良くできてるなぁ」

そう言う事じゃとパールは深く頷いた。

「ちょっとワシらも賭けてみるか?」

「おお?面白そうだな。良いぜパールどっちの予想が当たるか勝負だ!」

「ふふふ……ワシだって負けんぞ?」

パールと購入窓口の列に並び、俺はオッズが二十倍の奴に金貨一枚賭けてみた。パールは相手の四倍にしたみたいだ。

「ティーゴはギャンブラーじゃのう」と言われたが、どうせなら賭けたお金が二十倍になった方が楽しいよな!

誰に賭けるか決めて購入すると、闘技場の中に入れるみたいだ。

俺は初めて闘技場の中に入り、ソワソワしていた。
石造りで建てられた大きな建物、階段を上がり二階席から勝負を見れる様だ。
二階に上がると闘技場は、広い楕円形の建物なんだと形がよく分かる。
どの角度からでも中央のでの戦いが良く見える様になっていた。
あの正方形に少し高く上げられた場所で闘う様だ。

キョロキョロと建物を不思議そうに見ていたら

「ティーゴ!ワシらがかけた奴らの闘いが始まるぞ」

正方形の舞台に、俺が賭けた鎧を着た戦士の男とパールが賭けたローブを羽織った魔法使いの男が深くお辞儀をした。

「今から始まるんだな!ドキドキするよ」

「ふふっワシの勝ちじゃ!」

「そんなのやってみないと分からないぜ?」

闘いが始まると、パールの賭けた魔法使いの男がかなり有利に闘いを進めている。
次の魔法でローブの男の勝利が決定したかと思った瞬間。
ローブの男が一瞬固まった、それを見逃すまいと戦士の男が斬りつけた。
魔法使いの男は場外まで激しく飛ばされて壁にぶち当たった。
それには切った戦士も自分の手を見つめ驚いてるいる。

「……これって」
「許せんのじゃ!これはイカサマをした奴がおる!」

やっぱり!一瞬別の場所から魔法が放たれた気配を感じたんだ。

パールは神聖な勝負を邪魔されたと、プンスカ怒っている。

「あそこにおる奴らが魔法を放ったんじゃ!文句言うてやるっ」

パールが指した先には、貴族達など綺麗な服を着た奴らが座っていた。
高そうな特別席に座る者達。
その中でも一番高そうな特別席に座っている、男三人だ。

「パール?そうカッとならずに落ち着けよ。文句ってあんまり目立つ行動は……」

パールの肩を押さえ怒りを鎮めようとすると……男達が席から離れてしまった。

「ああっ!何処かに行ってしまうのじゃ!目立つ事をしなければ良いんじゃろ?」

パールは俺の手を振り払い男達がいる方へと走って行った。

俺はその後をコンちゃんを抱きながら必死に後を追った。

ああ……またひと騒動起きるなと確信しながら。

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