お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

文字の大きさ
231 / 314
本編 燦聖教編

隠し部屋

しおりを挟む

「何だったんだ……一体」

俺達は黒い塊が消えた天井を呆然と見つめていた。

「ワシもあんなのは初めて見た。カスパールであった時でさえ見た事がない。アレは何じゃったんだ?」

『俺だって初めて見たよ!なぁ銀太』
『うむ。我はあんな気持ちの悪いのは見た事が無い』
『妾もじゃ! そうじゃアグライア様なら知っておるかもしれん』

「アグライア様?」

『そうじゃ! アグライア様ならなんでも知っておる』

コンちゃんがアグライア様に聞いたら良いと言いだした。

アグライア様ってコンちゃんの飼い主で、確か間違ってコンちゃんを長い間本に封印しちゃった駄女神……っと光の女神様だよな? この前神託で話した時はしっかりしてる様には思えなかったけど……。

「なるほどのう……女神に聞くか。それも良いてかもしれんのじゃ」

パールが顎髭を触りながら一人で何やら納得している。

「よしっティーゴよ。異空間に戻ったら祭壇に酒でも奉納し女神から黒い塊の事を聞いて見るのじゃ」

酒でもって……パールよ。その言い方、女神様達の事全く敬ってないよな? 

「くくっ。ったくパールは。分かったよ、この騒動が終わったら異空間に一旦帰ろう。そして女神様に話をきこう。それでだこのグリモワールはどうしようか? 目覚めさせるか?」

「むう……」

俺とパールは再び眠っているグリモワール見る。

すると今度は、黒い靄が消えた代わりにキラキラと輝く光の粒子がグリモワールの頭から流れているのが見える。
それは長いロープの様に部屋の奥にある本棚まで伸びていた。

「なっ? 今度は光? コイツの体は一体どーなってるんだ?」

「どうしたんじゃ? ティーゴよ」

俺がグリモワールを見て驚き固まっていると、パールが不思議そうに俺を見る。
そうか、このキラキラした光も俺にしか見えないのか。

「コイツの体から光の粒子が流れてて、あの本棚まで続いてるんだ」

俺はそう言って、光の先にある本棚を指差した。

「本棚じゃと?」

『おいっ? あの本棚は隠し部屋の扉だぜ?』
『うむ。奥に空間が見える』

スバルと銀太が本棚の奥に隠し部屋があると言っている。
光はその場所をさしている。きっと隠し部屋に何かある。
光は俺にその部屋を見つけてと言ってるようだ。

「光が示してるんじゃよな? 先に隠し部屋に行ってみよう」

本棚の前に立つと開け方が分からない。

「この隙間から光が奥に流れてるんだが……」

『もうさ?魔法でドカンっと扉を壊すか?』
『ほう? ならば妾にやらせて欲しいのじゃ!』
『何言ってんだよ? ここは俺の魔法の出番だろ?』

スバルとコンちゃんが本棚をどっちが壊すかで揉めている。

「ちょっと待ってくれ! 壊すのはダメだ。奥に大事な何かがあったらどーするんだ?」

『あっ……そうか』
『ぬう……』

俺に注意され二匹はシュンっと大人しくなってしまった。

俺は慌ててスバルとコンちゃんの頭を撫でる。

「気持ちは凄く嬉しいからな? そんな顔しないでくれ」

そんな様子を見ていたパールがニヤリと笑う。

「ふふっ簡単じゃ。これはこの本を奥に押し込めば……」

次の瞬間

ゴゴゴゴゴゴゴ……

本棚が横に開き扉が現れた。隠し部屋の扉だ。

「パール!何で分かったんだ?」

「ふうむ? この本棚は使われてなく、本は埃を被っておったのに、ワシが押した本だけは少し触った後があった。ふふっ簡単じゃろ?」

パールは簡単だと言うが、あの一瞬でその全てを見抜くなんて……やっぱり天才だ!

「さぁ中に入るのじゃ?」

パールが扉に手をかけ勢いよく中に入って行くと……次の瞬間、固まってしまった。

「えっ?パール?」

俺は慌てて中に入る。
その部屋には一人の少女が生きているかの様に華美な椅子に座っていた。

「…………カリン」

パールはそう呟くと座り込んでしまった。

「パール? どうしたんだよ? ねぇ? この子知ってるのか?」

「…………この子は先程話した……リィモの……双子の妹カリンじゃ」

「えっ!」

この子がグリモワールが狂ってしまった原因の……大切な大切な妹。

グリモワールから伸びている光の粒子はこのカリンと言う少女の体と繋がっている。

これは何を意味するんだ?
しおりを挟む
感想 1,519

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。