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本編 燦聖教編
隠し部屋
しおりを挟む「何だったんだ……一体」
俺達は黒い塊が消えた天井を呆然と見つめていた。
「ワシもあんなのは初めて見た。カスパールであった時でさえ見た事がない。アレは何じゃったんだ?」
『俺だって初めて見たよ!なぁ銀太』
『うむ。我はあんな気持ちの悪いのは見た事が無い』
『妾もじゃ! そうじゃアグライア様なら知っておるかもしれん』
「アグライア様?」
『そうじゃ! アグライア様ならなんでも知っておる』
コンちゃんがアグライア様に聞いたら良いと言いだした。
アグライア様ってコンちゃんの飼い主で、確か間違ってコンちゃんを長い間本に封印しちゃった駄女神……っと光の女神様だよな? この前神託で話した時はしっかりしてる様には思えなかったけど……。
「なるほどのう……女神に聞くか。それも良いてかもしれんのじゃ」
パールが顎髭を触りながら一人で何やら納得している。
「よしっティーゴよ。異空間に戻ったら祭壇に酒でも奉納し女神から黒い塊の事を聞いて見るのじゃ」
酒でもって……パールよ。その言い方、女神様達の事全く敬ってないよな?
「くくっ。ったくパールは。分かったよ、この騒動が終わったら異空間に一旦帰ろう。そして女神様に話をきこう。それでだこのグリモワールはどうしようか? 目覚めさせるか?」
「むう……」
俺とパールは再び眠っているグリモワール見る。
すると今度は、黒い靄が消えた代わりにキラキラと輝く光の粒子がグリモワールの頭から流れているのが見える。
それは長いロープの様に部屋の奥にある本棚まで伸びていた。
「なっ? 今度は光? コイツの体は一体どーなってるんだ?」
「どうしたんじゃ? ティーゴよ」
俺がグリモワールを見て驚き固まっていると、パールが不思議そうに俺を見る。
そうか、このキラキラした光も俺にしか見えないのか。
「コイツの体から光の粒子が流れてて、あの本棚まで続いてるんだ」
俺はそう言って、光の先にある本棚を指差した。
「本棚じゃと?」
『おいっ? あの本棚は隠し部屋の扉だぜ?』
『うむ。奥に空間が見える』
スバルと銀太が本棚の奥に隠し部屋があると言っている。
光はその場所をさしている。きっと隠し部屋に何かある。
光は俺にその部屋を見つけてと言ってるようだ。
「光が示してるんじゃよな? 先に隠し部屋に行ってみよう」
本棚の前に立つと開け方が分からない。
「この隙間から光が奥に流れてるんだが……」
『もうさ?魔法でドカンっと扉を壊すか?』
『ほう? ならば妾にやらせて欲しいのじゃ!』
『何言ってんだよ? ここは俺の魔法の出番だろ?』
スバルとコンちゃんが本棚をどっちが壊すかで揉めている。
「ちょっと待ってくれ! 壊すのはダメだ。奥に大事な何かがあったらどーするんだ?」
『あっ……そうか』
『ぬう……』
俺に注意され二匹はシュンっと大人しくなってしまった。
俺は慌ててスバルとコンちゃんの頭を撫でる。
「気持ちは凄く嬉しいからな? そんな顔しないでくれ」
そんな様子を見ていたパールがニヤリと笑う。
「ふふっ簡単じゃ。これはこの本を奥に押し込めば……」
次の瞬間
ゴゴゴゴゴゴゴ……
本棚が横に開き扉が現れた。隠し部屋の扉だ。
「パール!何で分かったんだ?」
「ふうむ? この本棚は使われてなく、本は埃を被っておったのに、ワシが押した本だけは少し触った後があった。ふふっ簡単じゃろ?」
パールは簡単だと言うが、あの一瞬でその全てを見抜くなんて……やっぱり天才だ!
「さぁ中に入るのじゃ?」
パールが扉に手をかけ勢いよく中に入って行くと……次の瞬間、固まってしまった。
「えっ?パール?」
俺は慌てて中に入る。
その部屋には一人の少女が生きているかの様に華美な椅子に座っていた。
「…………カリン」
パールはそう呟くと座り込んでしまった。
「パール? どうしたんだよ? ねぇ? この子知ってるのか?」
「…………この子は先程話した……リィモの……双子の妹カリンじゃ」
「えっ!」
この子がグリモワールが狂ってしまった原因の……大切な大切な妹。
グリモワールから伸びている光の粒子はこのカリンと言う少女の体と繋がっている。
これは何を意味するんだ?
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