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本編 燦聖教編
カリン
しおりを挟む「やはり……リィモがカリンを連れておったんじゃな」
パールは生きているかの様に椅子に座る少女を、瞳に涙をいっぱいに溜めて愛おしそうに見つめている。
瞬きをすれば、大粒の涙がポロポロと零れ落ちそうだ。
何度見てもやはりこの少女とリィモは光で繋がっている。
んっ? あれっ?……二人を繋いでいた光の粒子がリィモから離れこの少女に集まってきている。
もしかして黒い靄がこの少女から出る光の粒子をリィモの体に繋ぎ止めてたのか?
だとしたら……何の為に?
俺がそうこう考えている内に、光の粒子はどんどん少女の頭の上に集まって行く。
全ての光の粒子が集まると……光の塊が少しずつ天へと上がっていく。
「あっ!!」
もしかしてこの光って!
「パール! この子に今すぐリザレクションしてくれ!」
「なっ? 言ったであろ? 魂が無ければリザレクションしても生き返っ……?!わっ」
俺はパールの肩を掴み体を思いっきり揺する。
「良いから! 急いでくれっ!」
「何をそんな急にっ……じゃから揺らすなって!」
「いいからっ! あっ⁈ ほらっ早くしないと体からどんどん! 早くっ急いでっ! リザレクション!」
「はぁ……じゃから……」
俺が必死に言ってるのにパールには伝わらない! そうこうしてる間にも集まった光が上に上がっていく。
《リザレクション》
俺達の様子を見ていた銀太がリザレクションを少女に唱えてくれた。
『これで良いのであろ? フンスッ』
銀太が得意げに俺を見る。
「銀太ーっ! ありがとうっ!」
俺は銀太に抱きつき思いっきり撫でてやる。
少女を見ると光り輝き……
よしっ……離れた光が少女に戻ってきてる。
やっぱりそうだった! もし違うならと思ってパールにちゃんと説明出来なかった。
「パール! その子はっええと……カリンは」
俺が全てを話そうとする前に少女が目を開けた。
「なっ……?」
その姿を見てパールは驚き固まってしまう。
泣きそうになっていた涙まで引っ込んだみたいだ。
「…………カスパール様……」
少女カリンは目の前に立つパールを見て大粒の涙をポロポロと流している。
「私……どうして生きて?……」
少女はゆっくりと立ち上がると、不思議そうに自分の頬や体を触る。
驚き固まっていたパールは、やっと正気に戻り少女をギュッと抱きしめた。
「カリン! カリン!……良かった。生きてっ」
パールは少女をギュッと抱きしめ頭を撫でる。
「……ふふっ。カスパール様の……よしよしっ……ふうっ……うれしっ……っ」
そんな二人を銀太とスバルはビックリした様に見つめている。
『何でだ? リザレクションは魂が浄化されてしまったら生き返る事は出来ないはずだ!』
『そうなのだ! 何で此奴の魂は天に召されておらんのじゃ? 死んだのは何百年も前であろ?』
『だよな? 変だ』
スバルと銀太はおかしいと話している。
そうなんだよな、何百年も前に亡くなっている人の魂が浄化されずに留まるなんて事があるのか? まぁ、あるから生き返る事が出来たんだけど……。
前にパールが話してたけど。「よっぽど今世に未練があったのか死んでから一ヶ月経っても魂が留まっていた人をリザレクションで生き返らせたことがあった」って。
「まぁそんな事は中々ない」とも。
それでも一ヵ月だ! あの少女は死んでから五百年は経っているはず。
俺はパールと少女を見た。
二人は何も話さず泣きながら抱き合っている。
「ふふ……パールの奴幸せそうな顔してら」
今はまだ何も聞けないな。二人が落ち着いたら、俺が見た不思議な現象の事をパールに話して、あの少女に話しを聞こう。
きっと何かの理由を知っているはずだ。
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