お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 浮島編

大パニック!

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 魔導兵器に乗ったジャイコブ達が、船からフワリと飛び降りると。統率のとれた動きで、空を華麗に舞いながら降りて行く。

 おいおいジャイコブ達よ? 普通に飛び降りるんじゃあダメなのか? よく見ると一番初めに飛び降りたハクとロウが、中央にある丸い建物の少し上で止まり、何やら不思議な動きをしている。

「ちょっ?! まさかっ」

 空をステージにして踊り出すんじゃ? 他のジャイコブ達を見ると、続々とハクの周りに集っている。
 その後、一定の距離を保ち何やら不思議なポーズをしてピタリと固まる。ポーズは様々だがこれに何か意味があるのか?

 ハクとロウよ? 本当にこれからレミアールのやつらを、懲らしめるんだよな? だがどう見てもこれは、ジャイコブウルフショーの始まりにしか見えないんだが? これもパールの作戦なんだろうか? ちらりとパールを見ると、少し笑いながら見ているだけだ。

 うう~ん、分からない。これは直接聞いた方が早い。

「なぁパール? 今から何が始まるんだ? 俺にはいつものダンスショーにしか見えないんだが」
「ンン? ワシも知らんよ? ハクとロウに好きに懲らしめて構わんと言うておるから」
「ええっ!? パールも知らないの?」
「うむ」

 それじゃあこの重要な場面を仕切ってるのは、ハクとロウって言うのか!

 アイツら絶対、新しく手に入れた玩具を試そうとしてるのが、ありありと分かるぞ。何かしでかすのは間違いない。

「ここからじゃちぃと遠い。もう少しジャイコブ達の所まで行くか」

 パールは瞳を爛々と輝かせ尻尾をご機嫌に揺らしながら、船を動かし出した。その姿はジャイコブの鼻歌まで口遊んでるように見える。

 おいおいパールよ? お前ジャイコブステージを楽しむ気満々だよな? その気持ち、ちょっと分からないでもないが。懲らしめるのはどこに行った?

 ジャイコブ達の近くまで、俺はキラに乗せてもらったまま飛んで行くも、いまだにジッと固まりピクリとも動こうとしないジャイコブ達。
 その姿はまるで、ステージに観客が集まるのを待っているよう。

「まさか……レミアールの奴らが外に出て来るのを待っているのか?」

 数分もすると、円形の建物の屋上にレミアールの人達がワラワラと集まって来た。
 屋上に上がった途端、レミアールの人達は、全く動かずに空に浮かぶ二百以上の魔導兵器を見て、腰を抜かす者。魔導兵器に向かって何やら必死に叫んでいる者。と、反応は様々だけど……もう十分集まったんじゃないか?

 そんな事をふと考えた瞬間。

ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪ジャイ♪

 いつもの軽快なリズムが聞こえてくる。そのリズムに合わせてドォンドォンと太鼓の音も鳴り響く。ってええ~!太鼓?

「わっキノ小人達!」

 キノ小人達が、船の上から太鼓を鳴らし、ジャイコブ達をアシストしている。
 おいおい息ぴったりだな? 相談してないんだよな? 本当にか? 統率が取れ過ぎてないか。

 ジャイジャーイ♪

 ハクが一言叫ぶと皆がハクの踊りを真似て行く。コピーしたかのように、ダンスが見事にシンクロしていく様はまさに圧巻。

「ほう……これは中々見ものじゃのう」

 パールはジュース片手に楽しそうに見物し、器用に尻尾で拍手までしている。
 その横でドノーキンは恐怖のあまり失神したみたいだがな。なんともシュールな絵面だ。

 ジャイコブ達のダンスも最高潮に盛り上がり、いつもの掛け声で圧巻のダンスも終わりを告げる。

 ジャイ♪ジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイジャイコブ♪

 そのすぐ後だった。地獄絵図とかしたのは。

 二百以上の魔導兵器が、一斉にドンッドンッと大砲を放つ。急に攻撃されたもんだから逃げ惑うレミアールの人達。そんな事お構い無しに撃ちまくるジャイコブ達。

「ちょーっ!」

 何やらかしちゃってるんだよ? これじゃあレミアールを懲らしめにじゃなくて、滅ぼしに来ただろ!

 至る所から炎や爆破がおこり大変な事になってるぞ!

 早く止めないと!

「キラッ頼む!」
『わかた……まかせて!』

 グオォォォォォォォォォ

 キラの咆哮が空気を揺らす……えっ? キラ? 何か勘違いっ

 ドォンと重たい轟音と共にキラの《ドラゴンブレス》が丸い中央の建物に直撃した。

『どう?……ティーゴ……おでも……褒めて』

 キラが褒めて欲しそうに俺を見つめる。うん……ありがとうな? その気持ちは嬉しいんだがな? キラよ俺はジャイコブ達の所に飛んで行って欲しかっただけなんだよ。

 こんなに破壊しちゃって……どうするんだよ。
 これじゃあ、どっちが悪役なのか分かんないだろ。
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