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本編 浮島編
帰還
しおりを挟む「ふうーっ戻ったのじゃ」
「おかえり」
未だカスパール様の姿をしたパールがベリアルとメフィストを連れ戻って来た。
「何じゃこの人族たちは?」
すると見た事もない人族達が、ワイワイと楽しそうにしているのが気になったのか、異空間を見回している。
「何じゃ? ってパールが助けてやれっていってた、侵略され奴隷にされた人達だよ。中には国王様もいてさぁ、ビックリしたよ」
「あっそうじゃったのう」
帰ってきたパールの様子が少しおかしい......行った先で何かがあったんだろうか? 先に戻って来た一号たちに聞いても詳しく知らないみたいだったし、後でゆっくり話を聞いてみよう。
「天使様お久しぶりです」
「メフィスト! しばらくぶりだな」
「ててっ天使様のご尊顔を拝見でき私めは幸せでございます」
「ベッベリアル......何を言い出すんだよ」
ベリアルだけは俺に対してちょっと......態度が他の四天王と違うんだよな。普通にして欲しいんだが、会う度に拗らせ酷くなってるような......。
「あっそうだ。三号がさ、国王を連れて帰って来て、船の中にいるレミアール国の人達と一緒に入れとくねって言ってたぞ」
「むっそうか」
「この後さぁ? レミアール国の奴らを国に降ろすんだろ? そんでどうするんだ? また悪さしてもあれだしさ。もう二度と魔導を使ったり、作ったり出来ないようにするとか?」
「ほうティーゴにしてはナイスアイデアじゃのう。奴らを国に帰す時に全ての魔導兵器を壊し、作り方を書いた資料などは燃やすか......」
「でもさ? 魔導技術者はどうするんだ? 賢い奴なら作り方覚えてるんじゃ」
「ふふっワシを誰じゃと思うておる?」
「はいはい。大賢者カスパール様であり魔王様でございます」
俺はわざとらしく、右手を胸に当て頭を下げる。
「ワシ程になるとじゃ記憶操作などチョチョイじゃ」
「さすがでございます。カスパール様」
「こりゃふざけるでない」
パールの機嫌が悪くなる前に話をかえるか。
「ところでお腹空いてないか? 今肉祭りが終わった所なんだが、パール達の分は残してあるから」
その話を何処かで聞いていたんだろう。スバルが一目散に飛んで来て『なにぃ? 肉祭りだと? 俺がいない時にっ、今すぐ食わせろ!』と騒ぎ出した。
ったく、食いしん坊なんだから。
「はいはい。すぐ準備出来るからな、メフィストとベリアルも食べてかないか?」
「「ありがとうございます」」
★★★
「ああっ天使様の手料理! 私めはもういつ昇天しても本望です」
「ブッ! ベリアル! なっ何を言い出すんだよ。飯くらいで昇天してどうすんだよ」
ベリアルは頬を染め恍惚とした顔で肉を頬張り、やたらと変な事ばっかり言ってくる。恥ずかしいから本当に止めてくれ。
「本当に何を食べても美味しい。ただ焼いただけの肉がこの魔法のタレによって革命的な美味しさに生まれ変わる。さすが天使様です」
「そっそれはありがとう」
なんだろう。ベリアルといい、メフィストといいやたらと俺を褒めるから......調子狂っちゃうよ。
「ところでさぁ、パール? どこに行ってたんだ? ベリアルとメフィストも一緒にか?」
「むごっ」
肉を口いっぱいに頬張っているパールは、咀嚼速度をあげゴクンッと美味そうな音をたて飲み込む。
「実は魔界と人界の狭間に行っておったんじゃよ」
「狭間?」
「うむ、そこに邪神が封印されておったから、見に行っていたんじゃ」
「ふーん、邪神かぁ......って邪神!?」
「そうじゃ」
パールはあっけらかんと言うが、これってヤバイ話だよな? それにさっき、おったって言わなかったか?
「なぁパール、おったって事は」
「そうじゃ。もうその場所には邪神はおらんかった」
「なっ!? じゃあ封印が解かれたって事か!?」
思わず興奮して声がでかくなってしまう。
「まぁ落ち着け、それはまだ解かれておらん」
「そそっか......」
この後、パールの口から紡がれる話は、おとぎ話を言ってるんじゃないのか? と思えるくらい有り得ない話だった。
なぁなぁパールよ、俺たちヤバイ事に巻き込まれてないか?
★★★
【集結】と言うお話を【魔界と人界の狭間】の前に加筆し、1話増やしました。このお話も必要だと思い書かせて頂きました。こちらも良かったら読んで下さいね(*´꒳`*)♡
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