お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 浮島編

さてと……

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 キノ小人達の太鼓の音が激しさをまし、船の着陸を盛り上げていく。

 レミアール王国の人々も船の到着を今か今かと興奮状態で待っている。もうこの場にいる人達の盛り上がりは最高潮に。

 ええと……ホントこれ何。俺は少し困惑気味にこの状態を見ていると、船がとうとうレミアール王国に着陸した。その時大歓声が巻き起こるんだけど。
 おいおいレミアール王国の人達よ? 何を期待してるのか分からないけどな? 今から恐ろしい説教タイムが始まると思うぞ俺は。

「さてと……此奴こやつらを降ろすか」

 パールが杖で床をトンっと軽く叩くと、甲板の上で静かに立ち縛られていたレミアールの人達の体が宙を舞う。

 突然の出来事に宙に浮いたレミアールの人達から悲鳴がおこるが、直ぐにその声は悲痛な声に変わる。
 何故ならパールが、浮かせた人達をドォンっとレミアール王国の人達が集まっている屋上広場に放り投げたから。

 屋上広場にいた人達は、なにが起こったのか理解に苦しみ呆然と固まり、突然地面に放り投げられた人達は、その痛みでうめき声をあげている。

「パールちょっと雑じゃ」
「いいんじゃよこれくらい。どうせ此奴らにはこの後キツい労働が待っておるからの」
「そっそうか……労働って言うのは?」
「ほりゃ、異空間におる人達の国じゃ。ええと……そう。ブルネイ王国の復興を手伝ってもらう。ちゃんと悪い事をした尻拭いをしてもらわんとのう」

 パールが顎髭を触りながらニヤリと悪戯な顔で笑う。

 なるほどな、ブルネイ王国の復興とは! 王子達もきっと喜んでくれるな。さすがパールだよ、そんな先の事まで考えていたんだな。

「さてとワシらも行くか」
「おうっ! あわっ?!」

 パールは俺の体まで浮遊させ、一緒に屋上広場にカッコよく降り立つ。俺だけちょっと不格好に尻もちついたのはアレだけどな。気付かれてないと思いたい。

「さてとレミアール王国の者達よ? 今からお主らには考える事が二つある。まずは、奴隷をこき使っていた者や他国の侵略を楽しんでいた者は右手側に、ただ普通にこの国で生活していた者は左手側に集まるのじゃ。それ以外の者はその場で待機じゃ」

 パールがそう言うと、少しザワつくも皆が左手側に歩いて行こうとする。それを見たパールは

「あっそうそう。虚言をついた者はワシには分かるからのう? 嘘が分かればこうなるだけじゃ」

 パールは左手側に歩こうとした一人の男性に雷魔法を放つ、次の瞬間男性はその場で感電死した。

 「「「「「ギャァァァァァ!!」」」」」

 それをみたレミアールの人達は大パニックに。そりゃそうだろうな、いきなり目の前の男が感電死したんだから。

「静かにせい、黙って移動せぬなら皆にいかずちをおとそうかのう」

「「「「「「あぐっ……」」」」」」

 パールの言葉を聞き、静かになるレミアールの人達。
 さすがパールだな。それを聞いた人達は少しビクビクしながらも、渋々移動している。
 先程パールによって雷を落とされた男性も、ちゃんとリザレクションで生き返ったようで、今度は真っ青な顔で右手側に歩いて行っている。数分もすると、三つのグループが完成する。

「さてと……綺麗に分かれたようじゃのう。真ん中に残っているもの達は魔導兵器の技術者達か?」

 パールがそう言うと、真ん中に立つ人達はそうだと言わんばかりに頭を上下に動かす。どうやら先程の事が怖すぎて声が出ない様だ。

「ここにいる人が全てではなかろう? そこのお前答えよ」

 パールが杖で一人の男をさす。男はオドオドしながら前に出て一言「はい」とだけ答える。

「ふうむ……皆をここに集めんとのう……」

 パールが顎髭を触り考えていると、ハクが降りてきた。

『主様? 全て聞いてましたぜ? 人集めなら鼻が利く我らジャイコブウルフに任せるジャイ♪ 草の根かき分け、全ての人を連れてくるジャイ』

「おおっハク! お主らがおったのう。では任せるのじゃ」

 確かに匂いが嗅ぎ分けられるジャイコブ達なら、一瞬だろう。待てないパールは仕事の早いジャイコブ達の登場に嬉しそうだ。

『ガッテンジャイ! 皆の者ー! 聞いたジャイ? さぁ我らの力を見せる時ジャイ♪ ジャァーーーーーイ!!』

ジャイ♪ジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイ♪ジャイコブ♪

 ハクが遠吠えをすると、いつもの軽快なリズムの中、ジャイコブ達は散り散りに消えて行った。相変わらず凄い統率力だ。って言うか俺何にも役に立って無いんだけど……俺いる?
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