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本編 浮島編
集合
しおりを挟むジャイコブ達が残っている人達を集める中、パールは魔導兵器の技術者達にこのレミアール王国の核となる場所。魔導兵器研究所を案内させていた。
「ちょっ!? 待ってくれ。そこを破壊されたら我が国はどうやって生きていけばいいんだ」
それを聞いた国王が、のたうち回り慌てていたが、パールはそれを軽く無視すると、研究者たちを連れスタスタと歩いて行く。当然俺も後を付いて行ったんだが、まぁ役にたつかはおいといてだな。
その間にも俺たちが移動する代わりに、ベリアルとメフィストが、屋上広場にいる兵士達を魔法で縛って行く。阿吽の呼吸って言うんだよなこういうの。
しかしみんな仕事が出来すぎだ。
とりあえず屋上庭園にいる人達はベリアル達に任せて、俺たちは研究所に急ぐ。
「こっこれは凄い……! あの大きな画面はなんだ」
研究所に行く前に、映像探査管理室という部屋に案内されたんだが、なんだこの部屋は!? 大きな画面に、レミアール王国の色んな角度から見た映像が映し出されている。こんなの初めて見たぞ。
「ほう……こりゃ凄い。これなら国に何かが侵入して来ても、直ぐに分かるのう」
「はい! そうなのです。この部屋は我ら研究者の技術の結晶なのです」
「ええとお主は……さっき名前を聞いたのう」
さっき聞いたばかりの名前を忘れているパール。ったくさすがだな。
「はいっ! 研究者のリーダーをしています。テンサ・イッサーです神様」
「おおっそうじゃったテンサだったの。こんな場所までワシらを案内して良いのか?」
「私共研究者たちは皆、ただ新しい魔導技術を研究したかっただけなのです。他国を侵略する様な危険な魔導を作りたくなど無かった、でも作らないと家族や仲間を人質に取られてますからね……ですから神様たちが、レミアール国の恐ろしい兵器を壊してくれて、私共は喜んでいますよ。あんな恐ろしい魔導は破壊すべきです」
テンサが伏し目がちに話してくれる。
そうか、皆が戦争や略奪を好んでしていた訳じゃないんだ。その話が聞けて良かった。
俺にはテンサが、嘘偽りなく本心を話しているのがわかる。これは神眼を得たおかげだろう。それから本心が何となく分かってしまうんだ。純粋な銀太たちと常にいるってのもあるかな。
「そうか……そうじゃったのか。じゃがこの技術は船に搭載したいのう……ふむ壊すのは惜しいのじゃ。この部屋の魔導器具は後で船に移動するとしよう」
パールが悪い顔してニヤリと笑った。
何を考えてるのか何となく分かるけどな?
あれ以上に船のスペックを上げて、どうする気なんだパールよ? もはやアレは船じゃないぞ?
見た目だけ船の何かだ。
「次は研究室に案内します」
テンサに案内され、長い長い階段を降りて行く。どうやら地下に研究所はあるらしい。
「やっと着いたか。大分歩いたぞ」
「では中に入りましょう」
テンサは重厚な扉に首から下げてあるネックレスをかざす。するとガチャリと何かが開く音がして、扉がゆっくりと開いていく。
「おおっ! 凄いな」
「技術を盗まれないように研究者しか入れないよう魔導の鍵がかかっています。さっ中へ」
中に入ると数名の研究者がいて、俺たちの事を見て驚いていたが、テンサが説明すると何やら皆ホッとした表情をし、作業を中断して座り込む。
どうやらもう兵器を作らなくていい事に安堵したようだ。
そんな中
「なんとコレはっ!!」
パールは机に散らばっていた古い書物を見て驚き……ん? 手元が少し震えてないか?
「どうしたんだパール急に大声を出して? 様子が変だぞ?」
「ティーゴよ、ワシは過去に禁忌の魔導書物は全て封印したと話したじゃろう?」
「ああっ。確かそれをリィモが封印を解いたんだったよな?」
「ここにある魔導書物は……ワシは初めて見た。コレも! コレも! コレもじゃ!」
パールが机に無造作に並べられた本をめくっては別の本をとる。
パールが知らない本がそんなにあるだと!?
「それにじゃ、これはワシが封印した魔導書物より年代が古いやもしれん……過去の魔導技術がこんなに発展していたなんて……ワシは知らぬ」
「えっ!?」
パールは座り込み魔導書物を読みだしてしまった。この後なにを言っても無反応なので、少しの間研究者たちが困っていた。俺もな?
これは……封印された邪神と共に、空に国を作ったとされる奴らが、関係してるのだけは間違いない。
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