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本編 浮島編
さすがのカスパール様
しおりを挟む「これは一体どう言う事ですか?」
「本当に……もしや偉大なる魔王様は鳥人族を掌握したのでしょうか?」
王城にベリアルとメフィストが入って来ると、俺たちの状況が意味分からないと言った感じで、驚いている。それは俺も同じ気持ちだよ!
俺たちの周りに、続々と集まり平伏す鳥人達。
鷹の王がカスパール様と平伏すと、王城の入口から続々と鳥人族が入って来た。
どうやら王城に入る俺たちの姿を見た鳥人が、大賢者カスパール様が王城に入って行ったと触れ回ったらしい。
そして俺とパールは祭壇の前に立たされ……と言うか追い込まれ、鳥人達に拝まれている。もう本当に恥ずかしい。
なんで俺まで?
パールだけでいいじゃんか。
祭壇に集まる人は増えて行くばかり、レミアール王国の話なんて出来る状況じゃない。
だって話す相手の鷹の王が、祭壇の一番前に居座りずっと泣いている。ロックなんて鼻水垂らしながら泣いている。
この国の人たちにとって、大賢者カスパールという存在は、それ程に偉大な偉業をなし得た人なんだ。
自分達を助けてくれた伝説を、鳥人国で口伝えに大切な宝物の様に、伝えられて来たんだもんな。
誰もが手を貸してくれない中、パールだけが手を差し伸べてくれた。優しい大賢者カスパール様。
ん? もしかして鳥人たちは、壮大な勘違いをしてるんじゃ……伝説の大賢者カスパール様が天から自分達の事を心配して、舞い降りて来たとか……だから大号泣してるんじゃ……ありえる!
「なぁパール? この状況どうするんだよ? 絶対壮大な勘違いしてるぞ?」
「いや……ワシもミスってしまったのう。この姿で鳥人王国に来るべきじゃなかったのう」
「本当だよっ! って俺もこの銅像見てたのに忘れてたから文句言えないけどさ」
二人でコソコソと話していると、ベリアルとメフィストが人混みをかき分け、やっと俺達の所にやって来た。
「ふぃーっ。やっと近くに来れた」
「本当にな。お二人の人気ぶりには圧巻ですよ」
二人とも黙っていれば、恐ろしく美しい顔をしてるので、大賢者の眷属みたいにも見えているのか、誰も何もその事に触れない。
「二人はどうしたんだ?」
「ええとですね。レミアールとブルネイが友好国として仲良くやって行く事が決まりました。お互いの国の良い所を情報提供し合うなど、色々と決まり事が王によって盟約を結びました。その報告に参りました」
「これがその書類になります」
俺達が鳥人国に向かった後に、王や重役たちで会議があったらしい。ベリアルやメフィストたちに任せていたんだが、そんなに早く色々な事が決まるとは思わなかった。
良い方向にどんどん進んでるな。良かった。
さぁ、あとはこの状況をどう打開するかだよな。
チラッとパールを見ると、もう考える事をやめたのか、アクビをし手を上に上げて伸びをし、すごくリラックスしている。
おいおいこの状況下で良くそんな態度がとれるな。さすが大賢者カスパール様だよ!
俺は早くこの状況をどうにかしたい、考えろ俺。
そんな中、どんどん鳥人達が集まり、王城の広間は鳥人達で埋め尽くされるのだった。
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