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本編 浮島編
鳥人王国でも……
しおりを挟む「こっこれは……」
「ほう。二号の奴なかなかセンスがあるのう」
レミアール王国の奴らに破壊され、穴ボコだらけで建物が崩壊していた水場は、全く別の場所じゃないかと思えるほどに変貌を遂げていた。
「これっ全く別の場所だぞ?」
この場所は水場や田畑がメインの所なのだが、レミアール王国の奴らに田畑は焼け野原にされていたのに。
目の前にうつる景色は、広大な田畑が広げられ、鳥人達がせっせと苗を植えている。
白亜の美しい建物は休憩スペースだろうか?
ポウーっと立ち尽くし見惚れていたら、「ティーゴ戻ってきたのか! それに……えっ」
俺たちを見つけた二号が、白亜の建物から走って来くると、パールの姿を見て固まってしまった。
そうか、二号だけ浮島で復興作業していたから、知らなかったんだ。
今のパールの姿は、二号の大好きな大賢者カスパール様だからな。
『あっああ……カスパールざまっ』
二号は泣きながら、パールに抱きついた。
「なんじゃ二号……赤子のように泣きおってからに……」
『だって……俺っ……その姿の貴方を……ふうぅっ』
「やれやれ……大きな赤子じゃのう」
パールは困っている口振りをしているが、眉尻を下げとても優しい目で二号を見ている。小さな子供をあやす様に、背中をポンポンと軽く叩きながら、二号が泣き止むの静かに待っていた。
なんだよ……見ていたら、俺までもらい泣きしそうだ。
『取り乱してすみません』
やっと落ち着いた二号は、少し恥ずかしそうに頭を下げると、新しく出来上がった浮島を案内してくれた。
本当に二号は凄いな、破壊される以前より格段に良くなっている。これなら鳥人達も使い勝手が良いんじゃないかな。
水場にしていた場所も広げられ、水を飲んだり汲んだりしやすくなっている。利用する人の事を考えて作ってるからだよな。
「さすがだな二号」
『俺が作ったんだ当然だよ』
「あっそうそう。さっきな肉祭りしてたんだよ、これは二号の分。腹減ってるだろ? いっぱい食べてくれ」
『それは嬉しい。腹減ってたんだ』
二号は串焼きが気にいったのか、何本も美味そうに平らげていた。
「さてと……鷹の王に報告に行くとするか」
二号を連れて、鷹の王がいる浮島フロッティへと船で向かう。
★★★
「さぁて、鷹の王ジグムンドが居る王城に行って安心させてやるのじゃ」
「そうだな!」
再び浮島フロッティに到着すると、何だか俺たちを見る目がさっきと違う?
どうしたんだ? なんだろう。遠巻きだが、どんどん人が集まってくる。
街の人たちの様子も気になるが、鷹の王との話し合いが先だな。レミアール王国やブルネイ王国の事など話す事は大量にあるからな。
王城に入るとロックが広間で立って居た。
「ロック! ただいま全て解決したよ」
「あっティーゴ様お帰りなさい」
ロックは祭壇にお祈りをしていたようだが、急いで俺たちの所に走ってきた。
そしてカチンっと固まり崩れ落ちるようにひれ伏す。
「ちょっ!? おいロック?! 今更何をしてるんだ! なんで急に……」
「ああっ……伝説のお方……大賢者カスパール様」
ロックは平伏しながら、どうにか声を絞り出し大賢者カスパール様といった。
「えっ!?」
「ぬっ?」
俺とパールは顔を見合せると、何やら嫌な予感がするのをお互いの表情で感じ取る。
さっきロックが祭壇で祈りを捧げていた先にある銅像……それは、この浮島を作った偉大なる大賢者カスパール様。
それが今、俺の横にいる。
どう考えたってこの状況は絶対にまずい。
「あああああああっ」
突然叫び声ともとれる声が響く。音が聞こえる方角をみると……。
鷹の王がロックと同じように平伏していた。
そりゃこーなるわな。
この状況どーするんだよ。街にいた人達の反応の違和感はこれだったんだ。急に目の前に伝説の大賢者カスパール様が現れたらそりゃビックリするわな。
はぁ……この先の事考えたら頭が痛くなってきた。
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