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えび餃子、翡翠餃子(6)
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大人しくリビングのソファに座っているのをやめ、調理カウンターの向こうに張り付きにきた絢人に、こちらも行先を変えて、その目の前に湯飲みを置いてやり。
やりとりは二人に任せ、エプロンを着け直して調理の続きに取り掛かる。
「ロボットなのか」
「はい。ロボットです」
「バン、お前……相変わらず面食いだな」
スープに卵を溶きながら吹き出しかけ、全力でこらえた。
「俺がデザインしたんじゃねえよ。俺の好みの顔って、……いや、俺の好みの顔ってことか……」
「絶対そうだろこの顔」
「うるせえよ」
笑いながらスープを注ぎ分け。そこで食うか? と声を掛ければ、あっちがいいと答えながらもイグニスを眺め回している絢人に、笑ってしまう。
イグニスにスープの配膳を任せて、蒸し上がっている餃子を皿に盛り付け、第二段を蒸しに入れ替えて。
「えっすげーマジでロボットなの。この精度のってニュースでしか見たことねえぞ」
「お前……」
「はい。ニュースで報じられるヒューマノイドロボットは、企業や大学での研究の最先端であることが多いです。万理は人工知能技術と自動操縦機械の研究者ですから、ニュースで報じられる研究の最先端に携わっているといえます」
「確かに!」
「コントか」
リビングに移動した二人のやり取りにツッコみながら、自分はキッチンで炒飯に取り掛かって。
「えー。なんではじめましてなのに、お久しぶりですだったのじゃあ」
「はい。プロジェクトの初期段階で、園内博士にお話をしていただいたことがあります。まだボディのデザインもなく、ヒューマノイドタイプになることも明かされていませんでした」
「えっ、――あ!」
イグニスが絢人に釘付けにされてしまい、トレイに炒飯と二色の餃子、取り皿と調味料をいくつか乗せて、自分で運ぶ。
「ああ……! あの時の人工知能なのか……!」
「そうそ。だから空港から拉致ったんだよ」
リビングのテーブルに湯気の立つ料理を並べ、エプロンを解いてソファへ放り出す。
お前も座れよ、と絢人の横に行儀良く立っているイグニスに声を掛けたところで、絢人から「レンゲちょーだい」の声がかかった。
「おっと。イグニス、データ追加。スープの時は箸だけじゃなくてレンゲかスプーンもつけてくれ」
「はい。わかりました」
レンゲを取りに行きますと腰を上げかけるのを、絢人の相手してくれと制して自分がキッチンに戻った。
「うおぉ……。なんか感動的ってか、不思議な感じだな。あのデカいコンピュータの中に入ってた人工知能が出てきたのか。先に中身があって人型になるのすげー不思議」
「はい、そうですね。人間の成長とは過程が違うので、そのように感じることがあるかもしれません」
「イントネーションが自然なのに言い方が人工知能なのおもしろ……」
レンゲを配ると、行儀良く手を合わせる絢人と、いただきますの声が揃った。
宝石のようなピンク色を透けさせている水晶エビ餃子と、生地にほうれん草を練り込んだ翡翠餃子は、湯気を立ててつやっぽく並び。もっと直接的な手段で、油のいい匂いを漂わせる炒飯が乱暴なほどに食欲を煽る。
用意万端だとでも請け負いそうなキクラゲの中華スープの、美味そうに透き通った琥珀色と、ゆっくりと泳いで鷹揚さを見せつける出汁の香り。
ポジティブな意味合いとはいえ、騒々しさでザワついていた腹が、スープのぬくもりと溶き卵の柔らかさに解れ。ごま油の香ばしさに食欲がそそられる。
「けど文化人類学って人工知能にどう役に立つんだ? 他にも何人も声掛けてたのは知ってるけど」
「人工知能そのものではないな。協力してもらったのは、疑似感情プログラムのため。つか、お前あの時も同じこと訊いたぞ」
「そうだっけ。ってことは、イグニスには感情があるってこと?」
瞳孔を点滅させながらも大人しく座っているイグニスに顔を向け。会話から学習データを取得しているのだろう横顔に、声を掛けてやる。
「イグニス。解説してやってくれ」
「はい。園内博士にご協力いただいた疑似感情プログラムについてですね」
「してして」
人懐こい笑みを浮かべてイグニスに頷きながら、餃子をパクついている絢人を眺める。
学生時代にはコミュ力の化け物と呼ばれ、文化人類学者となった今は世界中を飛び回って、世界中の人間と交流している絢人には、どんな努力をしても自分には得られない能力がある。
「このボディに組み込まれている基幹ユニット、つまり頭脳に当たるメインプログラムの一部として、疑似感情プログラムを使っています。これは、人工知能を感情のあるものにするためではなく、人工知能の言動、行動に“感情があった場合はどのような表現になるか”という、いわば色づけをするためのものです」
「へえー。言ってる意味は、うーん、なんとなく分かるけど、具体的にはどう違うの」
「人工知能は理論と設定をもとに発言、行動します。人工知能が感情を持つこと自体はまだ実現されていませんが、もしも実現され、人間と同じような感情を持ったとすれば、この、発言や行動の動機として、感情が加わると想定されます。僕に搭載されている疑似感情プログラムは、その役割を持っていないので、疑似感情にもとづいて発言や行動をすることがありません」
「ああー、そういうことか。えっ、じゃあ何で情動して、どうやってそれを表現すんの」
「はい。機密事項を含みますので、疑似感情プログラムと人工知能の相互関与について、すべてはお答えできません。簡単に言えば、外部からの刺激に対して、どのように感情が動く可能性がもっとも高いのかを選び、どのような感情が選択されたのかを、表現することがあります」
「それって人間の感情と違うかな……。あっそうか感情が動機にならないところがポイントなのか」
「はい。人工知能に感情を与えることを目的としていません。人工知能を搭載したヒューマノイドが、人間と暮らす上で、より自然に、より親しみやすい存在として溶け込めることを目的として、疑似感情プログラムの表現を付与するという研究です」
「ああ、そういうことね。感情を持った人工知能に進化させるんじゃなくて、情緒的なリアクションができるようにってことだな」
「はい」
根気よく説明を続けるイグニスと、専門外の分野の話を熱心に聞く絢人を、便利なやつらだと思いながら、炒飯を頬張り、スープで口を潤して。
「HGB023が考えた、疑似性格生成も面白いよな」
「疑似、性格、生成?」
見た目を裏切るワイルドな食いっぷりで次々餃子を平らげている絢人の様子に、第二段を持ってこようと、耳だけ傾けながら席を立って。
「はい。一定の個性を付与した人工知能プログラムは、これまでにも作られています。ですが、これらの人工知能は、変化のない単調な個性であるか、変化をするものであれば、外部からの刺激ごとにバラバラの反応を示すような、矛盾を感じさせるものが多いのが問題とされていました」
「あー、うんうん、わかる。人工知能って何にでも入ってるとは聞くけど、会話するやつの受け答えってそんな感じだよな」
湯気の立つ餃子を持って戻れば、絢人の箸が早速伸びてきて、そのまま口に入れるものだからアチッとなっている。
「うへ、駄目なやつだこれ。バン、水ちょーだい」
「はいはい」
「そうですね。人工知能のような喋り方、という表現が確立されるほど、人間からは顕著に感じるようです。これは、一定の個性があらかじめ設定されていることが原因であると仮定することができます」
「一定の個性があらかじめ設定……。ああ、最初から設定されてるようにしか、なんてんだろ、こう感情を込められないってことだな」
「はい。これを、累積して個性をある程度の連なりにしようとしたモデルもあります。ですが、このモデルは、当然人工知能が個性よりも優先されるために、ひとつひとつの事象ごとの対応が、それ自体は正しいものでも、累積された時には矛盾した個性となり、最終的には機能できなくなりました」
「はいはい。人間でもそれやるやつって言うことおかしくはなるな」
「そうなんですね。これを、今回のプロジェクトでは、これまでに選ばれ、表現された疑似感情を、次の疑似感情の基準に加えることで、矛盾の蓄積を回避します」
前回の感情を、次の感情の基準にする……と、真剣に口の中で復唱している絢人に氷水の入ったグラスを渡し。すでに把握しているその話に、自分も面白く耳を傾けた。
やりとりは二人に任せ、エプロンを着け直して調理の続きに取り掛かる。
「ロボットなのか」
「はい。ロボットです」
「バン、お前……相変わらず面食いだな」
スープに卵を溶きながら吹き出しかけ、全力でこらえた。
「俺がデザインしたんじゃねえよ。俺の好みの顔って、……いや、俺の好みの顔ってことか……」
「絶対そうだろこの顔」
「うるせえよ」
笑いながらスープを注ぎ分け。そこで食うか? と声を掛ければ、あっちがいいと答えながらもイグニスを眺め回している絢人に、笑ってしまう。
イグニスにスープの配膳を任せて、蒸し上がっている餃子を皿に盛り付け、第二段を蒸しに入れ替えて。
「えっすげーマジでロボットなの。この精度のってニュースでしか見たことねえぞ」
「お前……」
「はい。ニュースで報じられるヒューマノイドロボットは、企業や大学での研究の最先端であることが多いです。万理は人工知能技術と自動操縦機械の研究者ですから、ニュースで報じられる研究の最先端に携わっているといえます」
「確かに!」
「コントか」
リビングに移動した二人のやり取りにツッコみながら、自分はキッチンで炒飯に取り掛かって。
「えー。なんではじめましてなのに、お久しぶりですだったのじゃあ」
「はい。プロジェクトの初期段階で、園内博士にお話をしていただいたことがあります。まだボディのデザインもなく、ヒューマノイドタイプになることも明かされていませんでした」
「えっ、――あ!」
イグニスが絢人に釘付けにされてしまい、トレイに炒飯と二色の餃子、取り皿と調味料をいくつか乗せて、自分で運ぶ。
「ああ……! あの時の人工知能なのか……!」
「そうそ。だから空港から拉致ったんだよ」
リビングのテーブルに湯気の立つ料理を並べ、エプロンを解いてソファへ放り出す。
お前も座れよ、と絢人の横に行儀良く立っているイグニスに声を掛けたところで、絢人から「レンゲちょーだい」の声がかかった。
「おっと。イグニス、データ追加。スープの時は箸だけじゃなくてレンゲかスプーンもつけてくれ」
「はい。わかりました」
レンゲを取りに行きますと腰を上げかけるのを、絢人の相手してくれと制して自分がキッチンに戻った。
「うおぉ……。なんか感動的ってか、不思議な感じだな。あのデカいコンピュータの中に入ってた人工知能が出てきたのか。先に中身があって人型になるのすげー不思議」
「はい、そうですね。人間の成長とは過程が違うので、そのように感じることがあるかもしれません」
「イントネーションが自然なのに言い方が人工知能なのおもしろ……」
レンゲを配ると、行儀良く手を合わせる絢人と、いただきますの声が揃った。
宝石のようなピンク色を透けさせている水晶エビ餃子と、生地にほうれん草を練り込んだ翡翠餃子は、湯気を立ててつやっぽく並び。もっと直接的な手段で、油のいい匂いを漂わせる炒飯が乱暴なほどに食欲を煽る。
用意万端だとでも請け負いそうなキクラゲの中華スープの、美味そうに透き通った琥珀色と、ゆっくりと泳いで鷹揚さを見せつける出汁の香り。
ポジティブな意味合いとはいえ、騒々しさでザワついていた腹が、スープのぬくもりと溶き卵の柔らかさに解れ。ごま油の香ばしさに食欲がそそられる。
「けど文化人類学って人工知能にどう役に立つんだ? 他にも何人も声掛けてたのは知ってるけど」
「人工知能そのものではないな。協力してもらったのは、疑似感情プログラムのため。つか、お前あの時も同じこと訊いたぞ」
「そうだっけ。ってことは、イグニスには感情があるってこと?」
瞳孔を点滅させながらも大人しく座っているイグニスに顔を向け。会話から学習データを取得しているのだろう横顔に、声を掛けてやる。
「イグニス。解説してやってくれ」
「はい。園内博士にご協力いただいた疑似感情プログラムについてですね」
「してして」
人懐こい笑みを浮かべてイグニスに頷きながら、餃子をパクついている絢人を眺める。
学生時代にはコミュ力の化け物と呼ばれ、文化人類学者となった今は世界中を飛び回って、世界中の人間と交流している絢人には、どんな努力をしても自分には得られない能力がある。
「このボディに組み込まれている基幹ユニット、つまり頭脳に当たるメインプログラムの一部として、疑似感情プログラムを使っています。これは、人工知能を感情のあるものにするためではなく、人工知能の言動、行動に“感情があった場合はどのような表現になるか”という、いわば色づけをするためのものです」
「へえー。言ってる意味は、うーん、なんとなく分かるけど、具体的にはどう違うの」
「人工知能は理論と設定をもとに発言、行動します。人工知能が感情を持つこと自体はまだ実現されていませんが、もしも実現され、人間と同じような感情を持ったとすれば、この、発言や行動の動機として、感情が加わると想定されます。僕に搭載されている疑似感情プログラムは、その役割を持っていないので、疑似感情にもとづいて発言や行動をすることがありません」
「ああー、そういうことか。えっ、じゃあ何で情動して、どうやってそれを表現すんの」
「はい。機密事項を含みますので、疑似感情プログラムと人工知能の相互関与について、すべてはお答えできません。簡単に言えば、外部からの刺激に対して、どのように感情が動く可能性がもっとも高いのかを選び、どのような感情が選択されたのかを、表現することがあります」
「それって人間の感情と違うかな……。あっそうか感情が動機にならないところがポイントなのか」
「はい。人工知能に感情を与えることを目的としていません。人工知能を搭載したヒューマノイドが、人間と暮らす上で、より自然に、より親しみやすい存在として溶け込めることを目的として、疑似感情プログラムの表現を付与するという研究です」
「ああ、そういうことね。感情を持った人工知能に進化させるんじゃなくて、情緒的なリアクションができるようにってことだな」
「はい」
根気よく説明を続けるイグニスと、専門外の分野の話を熱心に聞く絢人を、便利なやつらだと思いながら、炒飯を頬張り、スープで口を潤して。
「HGB023が考えた、疑似性格生成も面白いよな」
「疑似、性格、生成?」
見た目を裏切るワイルドな食いっぷりで次々餃子を平らげている絢人の様子に、第二段を持ってこようと、耳だけ傾けながら席を立って。
「はい。一定の個性を付与した人工知能プログラムは、これまでにも作られています。ですが、これらの人工知能は、変化のない単調な個性であるか、変化をするものであれば、外部からの刺激ごとにバラバラの反応を示すような、矛盾を感じさせるものが多いのが問題とされていました」
「あー、うんうん、わかる。人工知能って何にでも入ってるとは聞くけど、会話するやつの受け答えってそんな感じだよな」
湯気の立つ餃子を持って戻れば、絢人の箸が早速伸びてきて、そのまま口に入れるものだからアチッとなっている。
「うへ、駄目なやつだこれ。バン、水ちょーだい」
「はいはい」
「そうですね。人工知能のような喋り方、という表現が確立されるほど、人間からは顕著に感じるようです。これは、一定の個性があらかじめ設定されていることが原因であると仮定することができます」
「一定の個性があらかじめ設定……。ああ、最初から設定されてるようにしか、なんてんだろ、こう感情を込められないってことだな」
「はい。これを、累積して個性をある程度の連なりにしようとしたモデルもあります。ですが、このモデルは、当然人工知能が個性よりも優先されるために、ひとつひとつの事象ごとの対応が、それ自体は正しいものでも、累積された時には矛盾した個性となり、最終的には機能できなくなりました」
「はいはい。人間でもそれやるやつって言うことおかしくはなるな」
「そうなんですね。これを、今回のプロジェクトでは、これまでに選ばれ、表現された疑似感情を、次の疑似感情の基準に加えることで、矛盾の蓄積を回避します」
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