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第一章 出会いと再会
4/25(火) ひっそり、ねこみみ
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春の陽気、というには少々肌寒い昼下がり。
高校二年生になった畑見結衣は、三宮センター街をぶらぶらと探索していた。
学校から家が近いため、一度帰ってお気に入りのポートネックセーターに着替えていた。
街はいつものように賑やかでところどころに行列が見える。
可愛いもの好きな結衣は雑貨店を見つけて立ち寄り、可愛いグッズを見て癒されていた。
「おお、うさぎさんストラップ可愛いなぁ……」
女子高生としては些か趣味が幼い気がすることは、彼女自身自覚している。
しかし使う場所は弁えているし、誰にも迷惑をかけているわけでもないと自分の内心で主張している。
見て回るうちに、異質なパスケースを見つける。
一面にファンタジックな猫耳少女の絵。
ロリ顔で瞳と胸が大きく、ふわふわな猫耳はつい触りたくなってしまう、
これは一部の男性にウケそうだなと思った。
そしてまた結衣自身も彼女の魅力に取り込まれていた。
「可愛い……」
獣耳少女……これはもう犯罪だ。けしからん。次の瞬間には値札を探していた。
しかし見当たらない。
棚札を見ても該当しそうな商品名は見当たらない。
誰かがどこかから持ってきてしまったのだろうか。
他のグッズと比べてこれだけ毛色が違い過ぎるから充分にありえる話だ。
思い切ってパスケースを持って店員に尋ねてみることにした。
店員は首をひねり、他の店員にも声をかける。
すると……
「当店の商品ではないようなのでどなたかが落とされたものかと思います。……落とし物としてお預かりしましょうか」
申し訳なさそうに尋ねる店員。
結衣はパスケースを預けて店を後にしようと思ったが、せめて記録だけでも、と思いスマートフォンを取り出し、撮影ついでに検索する。
この猫耳少女はどうやらテレビアニメ「イザヨイのカタリベ」のヒロインで、名前はフォアローゼス、通称ローズというキャラクターであることが判明する。
(学校で特定の業界の男子が『〇〇を嫁にする!』とか言ってたけど今ならその気持ちがわかる……ローズちゃんを嫁にする!よっしゃいける!)
……とか、くだらないことを考えながら元町駅を目指して三宮本通を歩いていたそのとき。
「猫耳?」
結衣は、左に見える細い路地に猫耳の女の子がいたような気がして足を止めた。
ローズちゃんが恋しいあまりに幻覚を見てしまったのだろうか?
気になって脇道に入ると、すでに彼女の姿はなかった。その代わりに猫耳少女のイラストが描かれた看板を見つける。「ねこみみメイドカフェ フローラ 11:00-21:00(LO 20:40) _/ ̄2F」
そのすぐ下に小さなプレートが差しこまれていた。
「ディナータイム!ばんしゃくコースはじめました」
(どうしよう。入ってみたい。さっき見た猫耳は、たぶんここのメイドさんよね)
今までも、おそらくはかすかに視界に入っていたであろう看板を見逃し続けてきたが、猫耳スイッチが入った結衣はすっかり心を奪われていた。
(でも、もし私が入ったらどうなるんだろう?)
女子高生が一人で入るような店じゃないかもしれない。
場違い感半端ないとか思われたらどうしよう!?
……でもやっぱり気になる!
だいたいメイドさんが可愛くなければ意味がないでしょ。
可愛い女の子がねこみみメイドになりたがる確率がどのぐらいある?
可愛くもないのに猫耳カチューシャなんてつけてたら痛々しいだけだ。
――と、甚だ失礼なことを勝手に決めつけてやっぱり帰ろうと足を向ける。
……でもやっぱり気になる!
高校二年生になった畑見結衣は、三宮センター街をぶらぶらと探索していた。
学校から家が近いため、一度帰ってお気に入りのポートネックセーターに着替えていた。
街はいつものように賑やかでところどころに行列が見える。
可愛いもの好きな結衣は雑貨店を見つけて立ち寄り、可愛いグッズを見て癒されていた。
「おお、うさぎさんストラップ可愛いなぁ……」
女子高生としては些か趣味が幼い気がすることは、彼女自身自覚している。
しかし使う場所は弁えているし、誰にも迷惑をかけているわけでもないと自分の内心で主張している。
見て回るうちに、異質なパスケースを見つける。
一面にファンタジックな猫耳少女の絵。
ロリ顔で瞳と胸が大きく、ふわふわな猫耳はつい触りたくなってしまう、
これは一部の男性にウケそうだなと思った。
そしてまた結衣自身も彼女の魅力に取り込まれていた。
「可愛い……」
獣耳少女……これはもう犯罪だ。けしからん。次の瞬間には値札を探していた。
しかし見当たらない。
棚札を見ても該当しそうな商品名は見当たらない。
誰かがどこかから持ってきてしまったのだろうか。
他のグッズと比べてこれだけ毛色が違い過ぎるから充分にありえる話だ。
思い切ってパスケースを持って店員に尋ねてみることにした。
店員は首をひねり、他の店員にも声をかける。
すると……
「当店の商品ではないようなのでどなたかが落とされたものかと思います。……落とし物としてお預かりしましょうか」
申し訳なさそうに尋ねる店員。
結衣はパスケースを預けて店を後にしようと思ったが、せめて記録だけでも、と思いスマートフォンを取り出し、撮影ついでに検索する。
この猫耳少女はどうやらテレビアニメ「イザヨイのカタリベ」のヒロインで、名前はフォアローゼス、通称ローズというキャラクターであることが判明する。
(学校で特定の業界の男子が『〇〇を嫁にする!』とか言ってたけど今ならその気持ちがわかる……ローズちゃんを嫁にする!よっしゃいける!)
……とか、くだらないことを考えながら元町駅を目指して三宮本通を歩いていたそのとき。
「猫耳?」
結衣は、左に見える細い路地に猫耳の女の子がいたような気がして足を止めた。
ローズちゃんが恋しいあまりに幻覚を見てしまったのだろうか?
気になって脇道に入ると、すでに彼女の姿はなかった。その代わりに猫耳少女のイラストが描かれた看板を見つける。「ねこみみメイドカフェ フローラ 11:00-21:00(LO 20:40) _/ ̄2F」
そのすぐ下に小さなプレートが差しこまれていた。
「ディナータイム!ばんしゃくコースはじめました」
(どうしよう。入ってみたい。さっき見た猫耳は、たぶんここのメイドさんよね)
今までも、おそらくはかすかに視界に入っていたであろう看板を見逃し続けてきたが、猫耳スイッチが入った結衣はすっかり心を奪われていた。
(でも、もし私が入ったらどうなるんだろう?)
女子高生が一人で入るような店じゃないかもしれない。
場違い感半端ないとか思われたらどうしよう!?
……でもやっぱり気になる!
だいたいメイドさんが可愛くなければ意味がないでしょ。
可愛い女の子がねこみみメイドになりたがる確率がどのぐらいある?
可愛くもないのに猫耳カチューシャなんてつけてたら痛々しいだけだ。
――と、甚だ失礼なことを勝手に決めつけてやっぱり帰ろうと足を向ける。
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