シュガーポットはなくならない

壬玄風

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第一章 脱出

ドキドキ☆野外露出デート……え、本当に?

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 いくらなんでも本当に裸でデートするわけがないよね。
 でもアヤがどんな仕掛けをしてるのかは気になるから、あえて異空間の闇に足を踏み入れた。

 暗闇の向こうは林の中へ続いていた。
 うわっ本当に外じゃん!

 さすがに街の中じゃなかったことには安堵したけど。

 それでも、林道を裸で歩くのもどうかしてるけどね。
 ああ、すっごく落ち着かない。ああ、でもなんだかちょっと気持ちいいな。
 ……他人にさえ会わなければ、ね。

「この先は海だよ」

「海……なんだ、ヌーディストビーチかぁ」

 そういう場所ならあまり緊張しなくてすみそう。
 男の人いないし。いたら無理だね。
 そりゃ女の人しかいないなら平気だよ。広い露天風呂みたいなものでしょ。

 ところが、その期待はすぐに打ち壊された。

「え?普通の砂浜だけど」

 えぇ……マジで?

 アヤの言う通り、林道の先に海が見えてきた。

「さあ、行こう」

 アヤが私の手を引いて駆け出す。

「あ、わ、ちょっと待ってよ」

 はぁ。
 こうなったら覚悟決めて行くしかないね。
 砂浜にたどり着くと、大勢の人達が海ではしゃいでいた。

 うわ、みんな水着じゃないの!
 私は慌てて木の陰に隠れた。

「大丈夫、よく見て」

 見た感じやたら派手なカラーリングの水着を普通に着用している人が多い。
 ビキニのボトムだけ身につけているおっぱい丸出しな人もそこそこいれば、オール肌色集団も少ないながらいることはいる。

 全裸は少数派だからやっぱり恥ずかしい。
 でもアヤも一緒なんだし、ここは耐えてみせようじゃないの。

 手で身体を隠しながら、ちょっと挙動不審ぎみになりながらも砂浜へ歩いていくと、数人の子が私達に近づいてきて、アヤが対応していた。

 そのうちの一人が、「フェリシタシオン!」と私達に言ってくれたので、反射的に「メルシー」と返したらアヤが驚いていた。

「あれ?今の言葉わかったの?」

「『フェリシタシオン』(おめでとう)は知ってる。フランス語だよね」

「フランス語だったんだ。それは知らなかったよ……」

 この国の言葉には、ちょいちょい地球とか異世界から持ち込まれた単語が流入して定着してるらしく、由来がわからないまま使われている言葉も少なくはないみたい。

 それはともかく、アヤは私達の関係を聞かれて新婚って言ったんだって。
 だからお祝いの言葉を貰ったんだね。

 それから近くにいた人が抱き着いてきて頬にキスしてきて、困惑していたらアヤも同じようにされててキスを返してたから、私も同じようにしたよ。
 頬とはいえ、見ず知らずの人にキスすることになるなんて思わなかったなあ。

「へえー」

 またアヤが意地悪な顔してる。

「何よ」

「私の目の前で知らない子にキスされてニヤけてるなんて、しょうがない理恵だなあ」

「ニヤけてない……よ?」

 多分それは嘘でニヤけてたかもしれない。
 ちょっと、ドキドキしちゃってたし。

「で、でもアヤは特別だから!」

 そう言って私はアヤに抱き着いて唇を奪った。

「ああ、これはちょっとまずいかなあ」

 アヤが苦笑い。

 周囲の人はなぜかポカーンとしながら赤面していたり歓声をあげたりしている。
 なんで?
 この国では人前でキスしてるカップルなんて普通に見かけるのに。

「裸でキスをするのは特別な意味があってねー」

 さすがのアヤも気まずそうに説明してくれた。
 恋人同士のキスなら人前ではばかる必要もない挨拶だけど、裸でやると一転して性的な意味になるんだって。

「私も一瞬犯されるかと思ったよ」

「それは教えて欲しかった……」

 恥ずかしさのあまり座り込んでしまった。
 立ち直れるかなこれ。

「まあまあ、今のはフォローしとくから」

 そう言われてとりあえず安心はするけど、あの恥ずかしさは簡単に消えるものではなかった。


 ☆ おまけ

「フランス語があるなら、日本語由来の言葉とかもあるのかしら」

「あるよ。例えば、ハシ、ソバ、マンガ」

「こっちにも届いて定着しているなんて、なんだか嬉しいわね」

「ジュバン、バッテラ」

「外来語!」

「チューニビョー、ヤオイ」

「あ、もういいです……」
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