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第三章
8.
一瞬、何を言われたのか、理解できない。
ぽかんとしたままの私に向かい、セドリックは言葉を続ける。
「これまで護衛という立場で、必死に自分を律してきました。
ですが、ここ最近のお嬢様は、私の耐久力を試すかのように腕に触れたり、抱き着いてきたり、キスをせがんだり! 想っている女性にこのようなことをされて、我慢できる男なんていません!」
想っている女性……先ほどの言葉が聞き間違いではないとようやく実感できてきて、じわじわと喜びが全身に広がっていく。嬉しくて、嬉しくて……瞳が涙で滲む。
「嫌じゃ……なかったの?」
セドリックは、私の頬に手を当てた。顔が熱くて、彼の冷たい手が気持ちいい。
「嫌なら何度もこんなことできないでしょう?」
「んっ……」
セドリックの唇が私の唇を塞いだ。角度を変えて、何度も何度も甘いキスを交わす。
「ん、はぁっ……セドリック……っ」
「お嬢様……」
私はセドリックの背中に手を回し、彼の腕も私の腰に回されていた。
私の口内に挿し入れられたセドリックの舌がゆっくりと私の舌と絡み合う。舌を擦り合わせているだけなのに、頭の芯がぼんやりと熱くなり、何も考えられなくなってくる。彼の舌がまるで私の唾液をすべてを舐めとるかのように上顎をくすぐる。
唇が離れると、唾液の銀の橋が架かる。それさえ愛おしくて、私たちはどちらからともなく再び唇を重ね、また離れた。
セドリックが額をこつんと合わせてくる。その瞳は今まで見たことがないほど、熱く揺らいでいた。
見つめられれば、身体の熱は増すばかりで、もっと触れられたいと全身が彼を求めているのが分かる。
私はセドリックの奥に触れたくて、瞳を覗き込んだ。
「私も……セドリックのことが――」
「ありがとうございます」
私の言葉を最後まで聞くことなく、セドリックは寂しそうに微笑んだ。私も潤む瞳で彼に微笑み返した。
分かっている。お互い好いているからって一緒になれるわけじゃない。
私たちには恋人として共に歩んでいける未来がない……
本当だったら、私はいつか見知らぬ人と結婚してこの領地を継がなくてはならない。
セドリックだっていつまでも私の護衛をしているわけにはいかないだろう。
でも、今だけはセドリックのことしか考えたくなかった。
私は、彼の手を取って、ベッドに座る。
はしたなくても、はずかしくても……今日だけは一緒にいたかった。
「セドリック……今日だけでもいいから……」
セドリックは、ベッドに歩み寄ると、私の肩をゆっくりと押して、ベッドに横たわらせた。
「あんなことがあった後で……大丈夫ですか?」
彼は上から心配そうに私の顔を覗き込み、頬に触れた。それが嬉しくて、彼の手を掴み、頬を寄せる。
「怖くないよ……セドリックの手だもん。私を守ってくれる、大好きな、手」
セドリックは、私の首元に顔を預けると大きくため息を吐いた。
「やっぱり部屋に入るのはだめでした……」
「なんで……?」
一瞬、またセドリックが部屋から出て行ってしまうのではないかと、心配になって彼の服をぎゅっと掴む。
しかし、私の不安に気付いたのか、セドリックが顔を上げて、鼻先をくっつけて、眉を下げて笑う。
「お嬢様の香りがいっぱいで、誘惑に勝てない。歯止めが効かなくなる。
俺は護衛な――……っ?」
私は、彼の言いかけた言葉を両手で遮った。
「今日のセドリックは、誰がなんと言おうと私の王子様だよ。
大好きな、私だけの王子様」
セドリックの目が一瞬見開き、すぐに目を細くして、潤んだ瞳で嬉しそうに微笑んだ。彼は私の手を取り、手のひらにキスを落とす。
「かしこまりました。……私の、私だけのお姫様」
セドリックから甘い甘い優しいキスが落とされた。
ぽかんとしたままの私に向かい、セドリックは言葉を続ける。
「これまで護衛という立場で、必死に自分を律してきました。
ですが、ここ最近のお嬢様は、私の耐久力を試すかのように腕に触れたり、抱き着いてきたり、キスをせがんだり! 想っている女性にこのようなことをされて、我慢できる男なんていません!」
想っている女性……先ほどの言葉が聞き間違いではないとようやく実感できてきて、じわじわと喜びが全身に広がっていく。嬉しくて、嬉しくて……瞳が涙で滲む。
「嫌じゃ……なかったの?」
セドリックは、私の頬に手を当てた。顔が熱くて、彼の冷たい手が気持ちいい。
「嫌なら何度もこんなことできないでしょう?」
「んっ……」
セドリックの唇が私の唇を塞いだ。角度を変えて、何度も何度も甘いキスを交わす。
「ん、はぁっ……セドリック……っ」
「お嬢様……」
私はセドリックの背中に手を回し、彼の腕も私の腰に回されていた。
私の口内に挿し入れられたセドリックの舌がゆっくりと私の舌と絡み合う。舌を擦り合わせているだけなのに、頭の芯がぼんやりと熱くなり、何も考えられなくなってくる。彼の舌がまるで私の唾液をすべてを舐めとるかのように上顎をくすぐる。
唇が離れると、唾液の銀の橋が架かる。それさえ愛おしくて、私たちはどちらからともなく再び唇を重ね、また離れた。
セドリックが額をこつんと合わせてくる。その瞳は今まで見たことがないほど、熱く揺らいでいた。
見つめられれば、身体の熱は増すばかりで、もっと触れられたいと全身が彼を求めているのが分かる。
私はセドリックの奥に触れたくて、瞳を覗き込んだ。
「私も……セドリックのことが――」
「ありがとうございます」
私の言葉を最後まで聞くことなく、セドリックは寂しそうに微笑んだ。私も潤む瞳で彼に微笑み返した。
分かっている。お互い好いているからって一緒になれるわけじゃない。
私たちには恋人として共に歩んでいける未来がない……
本当だったら、私はいつか見知らぬ人と結婚してこの領地を継がなくてはならない。
セドリックだっていつまでも私の護衛をしているわけにはいかないだろう。
でも、今だけはセドリックのことしか考えたくなかった。
私は、彼の手を取って、ベッドに座る。
はしたなくても、はずかしくても……今日だけは一緒にいたかった。
「セドリック……今日だけでもいいから……」
セドリックは、ベッドに歩み寄ると、私の肩をゆっくりと押して、ベッドに横たわらせた。
「あんなことがあった後で……大丈夫ですか?」
彼は上から心配そうに私の顔を覗き込み、頬に触れた。それが嬉しくて、彼の手を掴み、頬を寄せる。
「怖くないよ……セドリックの手だもん。私を守ってくれる、大好きな、手」
セドリックは、私の首元に顔を預けると大きくため息を吐いた。
「やっぱり部屋に入るのはだめでした……」
「なんで……?」
一瞬、またセドリックが部屋から出て行ってしまうのではないかと、心配になって彼の服をぎゅっと掴む。
しかし、私の不安に気付いたのか、セドリックが顔を上げて、鼻先をくっつけて、眉を下げて笑う。
「お嬢様の香りがいっぱいで、誘惑に勝てない。歯止めが効かなくなる。
俺は護衛な――……っ?」
私は、彼の言いかけた言葉を両手で遮った。
「今日のセドリックは、誰がなんと言おうと私の王子様だよ。
大好きな、私だけの王子様」
セドリックの目が一瞬見開き、すぐに目を細くして、潤んだ瞳で嬉しそうに微笑んだ。彼は私の手を取り、手のひらにキスを落とす。
「かしこまりました。……私の、私だけのお姫様」
セドリックから甘い甘い優しいキスが落とされた。
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