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第六章
5.
その後は、和やかに晩餐会が進んだ。
ユリス様と陛下の話は難しくてついていけない場面もあったが、そんな時はアルフレッド殿下が話しかけてくださった。殿下は、本当にコーデリアがお好きなようで、彼女の学生時代の話を嬉々として聞いてくれた。
デザートまで終わり、もう晩餐会もお開きの時間だ。
陛下から本日は非常に有意義な時間だったと挨拶があり、ユリス様も宰相であるお兄様の名代を見事に務められた。最後の挨拶ではしっかりとドレスのアピールを忘れないあたりが、ユリス様らしかった。
馬車の用意を待つ間、私はユリス様とテラスに出た。
私はユリス様のほうを向いて、頭を下げた。
「ユリス様、本日は本当にありがとうございました」
「とんでもない。全てやり遂げたのは、アメリアの実力だよ。
同じ状況に陥っても、誰にでもできることではないんだから、自信を持っていい」
「いえ……私一人ではここまで来れなかったと思います。父や、領民のみんな……ユリス様のおかげです」
そして、何より私に勇気をくれたセドリックのおかげだ。
私は、胸の奥からこぼれた笑みをユリス様へ向けた。ユリス様も嬉しそうに笑みを返してくれる。
「ふふっ、いいねぇ。じゃあ、これからもよろしくお願いしますよ、ビジネスパートナーさん♪」
「え……」
予想外の言葉に、一瞬言葉を失う。
「ビジネスパートナー……って、陶器はリンドランク王国じゃ取り扱えないって話じゃ――」
「昨日までの状況じゃ、ね。でも、『ロベリー王国王家御用達!』って売り文句があれば、話は別。多少価格が高くても、欲しがる人たちは多いと思う。
今日の晩餐会で、ローゼンタール領の器が陛下の知るところになったんだ。もう宰相も献上を却下することはできないよ」
「ユリス様……っ」
嬉しさがあふれ出てしまった私は、ユリス様に思わず抱き着いた。
「おおっと」
「本当にっ……本当に……ありがとうございます……っ!」
「こちらこそだよ。アメリアとは末永く仲良くしたいな」
ユリス様も私の背中に手を回し、ポンポンと優しく叩いてくれた。と思ったら、すっと身体を離す。
「まずい。護衛君に殺される」
「え、セドリック?」
「ほら、あそこから見てるだろ?」
ユリス様が苦い顔を浮かべて、テラスから下を指さした。
下を覗き込むと、セドリックが王宮の庭園に立っている。
「セドリック!」
セドリックを見ただけで、胸に温かな安堵が広がった。
彼は、いつもの微笑みを浮かべて、こちらを見上げていた。
「……アメリアには忠犬なのに、それ以外にはまるで狼だな。こわ~」
「狼?」
「なんでもないよ……。アメリア、世の中には知らないほうがいいこともあるから」
「は、はい……」
ユリス様は一体何を見たんだろう? 私は首を傾げた。
「ユリス様、陛下がお呼びでございます」
補佐官が来て、ユリス様を呼んだ。
「あぁ、今行く。アメリア、ちょっと行ってくるから。ここで待っててくれる?」
「はい、もちろんです」
ユリス様は、少し早足で陛下の元に向かう。
空を見上げると、あまり星は出ていなかった。ひゅうっと夜風が身体を撫でていく。
けれど、さっきまで緊張しっぱなしだった身体には心地よいくらいだった。
下を向けば、セドリックが微笑んでいた。あぁ、ここから飛び降りて、彼の胸に飛び込めたらいいのに……
そう思っても、ここは三階のテラスだから、そんなの無謀なんだけれど。
「セドリック……私、頑張るからね。これからも、一緒にいられるように」
ぼそっと夜風に囁く。
その時、後ろでガシャンと何かが割れる音がして、私は慌てて振り返った。
ユリス様と陛下の話は難しくてついていけない場面もあったが、そんな時はアルフレッド殿下が話しかけてくださった。殿下は、本当にコーデリアがお好きなようで、彼女の学生時代の話を嬉々として聞いてくれた。
デザートまで終わり、もう晩餐会もお開きの時間だ。
陛下から本日は非常に有意義な時間だったと挨拶があり、ユリス様も宰相であるお兄様の名代を見事に務められた。最後の挨拶ではしっかりとドレスのアピールを忘れないあたりが、ユリス様らしかった。
馬車の用意を待つ間、私はユリス様とテラスに出た。
私はユリス様のほうを向いて、頭を下げた。
「ユリス様、本日は本当にありがとうございました」
「とんでもない。全てやり遂げたのは、アメリアの実力だよ。
同じ状況に陥っても、誰にでもできることではないんだから、自信を持っていい」
「いえ……私一人ではここまで来れなかったと思います。父や、領民のみんな……ユリス様のおかげです」
そして、何より私に勇気をくれたセドリックのおかげだ。
私は、胸の奥からこぼれた笑みをユリス様へ向けた。ユリス様も嬉しそうに笑みを返してくれる。
「ふふっ、いいねぇ。じゃあ、これからもよろしくお願いしますよ、ビジネスパートナーさん♪」
「え……」
予想外の言葉に、一瞬言葉を失う。
「ビジネスパートナー……って、陶器はリンドランク王国じゃ取り扱えないって話じゃ――」
「昨日までの状況じゃ、ね。でも、『ロベリー王国王家御用達!』って売り文句があれば、話は別。多少価格が高くても、欲しがる人たちは多いと思う。
今日の晩餐会で、ローゼンタール領の器が陛下の知るところになったんだ。もう宰相も献上を却下することはできないよ」
「ユリス様……っ」
嬉しさがあふれ出てしまった私は、ユリス様に思わず抱き着いた。
「おおっと」
「本当にっ……本当に……ありがとうございます……っ!」
「こちらこそだよ。アメリアとは末永く仲良くしたいな」
ユリス様も私の背中に手を回し、ポンポンと優しく叩いてくれた。と思ったら、すっと身体を離す。
「まずい。護衛君に殺される」
「え、セドリック?」
「ほら、あそこから見てるだろ?」
ユリス様が苦い顔を浮かべて、テラスから下を指さした。
下を覗き込むと、セドリックが王宮の庭園に立っている。
「セドリック!」
セドリックを見ただけで、胸に温かな安堵が広がった。
彼は、いつもの微笑みを浮かべて、こちらを見上げていた。
「……アメリアには忠犬なのに、それ以外にはまるで狼だな。こわ~」
「狼?」
「なんでもないよ……。アメリア、世の中には知らないほうがいいこともあるから」
「は、はい……」
ユリス様は一体何を見たんだろう? 私は首を傾げた。
「ユリス様、陛下がお呼びでございます」
補佐官が来て、ユリス様を呼んだ。
「あぁ、今行く。アメリア、ちょっと行ってくるから。ここで待っててくれる?」
「はい、もちろんです」
ユリス様は、少し早足で陛下の元に向かう。
空を見上げると、あまり星は出ていなかった。ひゅうっと夜風が身体を撫でていく。
けれど、さっきまで緊張しっぱなしだった身体には心地よいくらいだった。
下を向けば、セドリックが微笑んでいた。あぁ、ここから飛び降りて、彼の胸に飛び込めたらいいのに……
そう思っても、ここは三階のテラスだから、そんなの無謀なんだけれど。
「セドリック……私、頑張るからね。これからも、一緒にいられるように」
ぼそっと夜風に囁く。
その時、後ろでガシャンと何かが割れる音がして、私は慌てて振り返った。
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