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第1章 隣国への逃亡
第1話 手渡された指輪
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粗末な馬車に揺れが激しい中、独りどこにでもいる平凡な妙齢の令嬢が乗っていた。
左右上下で視線がブレる中、彼女はそっと握っていた右手をゆっくりと開けて見る。
手の中には怪しくも高貴な血のような色をしたルビーの指輪が、光輝き眩しく目に飛び込んできた。
真ん中の大きなルビーの石の周りには、ダイヤモンドがぐるりと囲まれている逸品。
「指輪?なんて、豪華で綺麗な指輪なんでしょう。
きっと考えられない程、高価なお品に違いないわ。
どうしょう、馬車を引き返してお返しした方がいいかしら?!」
今現在は、1つも宝石など持っていない。
それも粗悪な代物しか見たことがなく、人がつけているのを見ていただけだ。
でも、こんな私でもこの指輪の素晴らしさは分かる。
「ま、まさか……。
この持ち主は、王妃様の指輪ではないかしら?!
そんな、どうお返しすればいいの?」
もう、王宮には引き返して戻りたくても無理よ。
一度王宮から出た者は、特別な理由がない限り戻るのは不可能に近いはずだわ。
彼女はその品を丁寧にハンカチに包むと、鞄の奥底にそっとしまう。
馬車の窓から景色を見ながら一人ため息をつくと、その表情は途方にくれていた。
私はこれから、王妃様のご友人の侯爵夫人を頼って隣国に向かうのね。
王妃様のご出身は、確かザイール国だったわ。
彼女の生まれ育った国。
エテルネルは、王族が政略結婚で隣国との繋がりを深めて戦や侵略を防いできた。
地理的にこの国は、外敵に対して防衛に難しく厳しい位置である。
周り国には、大陸の半分以上の領土を占めるアルゴラ王国。
その約半分未満に3つの国、エテルネルとザイールとウィルスターがあった。
不幸にも、真ん中にエテルネルがある。
海に面することのない、攻めやすく狙われやすい国。
恩恵と言えば、船を使いたくない商人とかが通行料を払ってくれる。
たくさんの品が、エテルネルに集まりそこを拠点として他国に渡るのだ。
「王妃様も、そんな政略結婚の犠牲にされのかしら?」
どういう経緯でエテルネルに来られたのかは平民に近い子爵令嬢、ましてや貧乏貴族には知らされない情報である。
これは幸運なのか、彼女はザィール語が読み書き出来る。
学園の在学中に、ザイール出身の先生から教えて貰えたからだ。
彼女は特待生で、学園から学費免除で首席で入学。
貧乏ゆえ、学問に力をいれるしかなかった。
ドレスも買えず、他の令嬢の様にお茶会も開けず呼ばれもしない。
唯一、本好きな彼女の実家には文献がたくさんあった。
娯楽する余裕がなく出来ないせいか、それを覚えるまで読み漁る。
「いつか、国に戻って家族や恩人の編集長にー。
女官長さまや王妃様に誓った通り、お茶やこの指輪をお返しに行けるのかしら?
私は馬鹿だわ。
まだエテルネルも出てないのに、もう望郷の念にかられるだなんて…」
独りきりの馬車の中で独り言を言い、自然と目から大粒の涙が溢れ頬に流れ落ちる。
馬車がゆっくりと停まり、扉に遠慮がちにノックする音が耳に聞こえた。
「お嬢さん?
お昼はどうしますか?!
私は此方の食堂で、いつも食べてるんですよ」
そっと少しずつ開けられた先には、自分の父と同じくらいの歳の馭者が声をかけてくれている。
「は、はい!私もご一緒しても宜しいですか?!」
オドオドとしていた彼女は、この馬車に乗せられただけで右も左も何も分からない状況にいた。
「じゃあ、降りて貴重品を持っていってくれ。
馬車に鍵をかけるからな」
両手で大事そうに、抱えるようにして重たい鞄を持つ彼女。
その中には王妃様のと思われる指輪、王宮で働いた退職金と例の本の原稿料のお金。
自分の全財産であり、多額の金貨を持っていた。
持ちなれないお金に、何故か緊張して挙動不審になって辺りをキョロキョロ辺りを見回してしまう。
ずっと王宮勤めで、外の世界とは無縁であった。
貧乏貴族で物を買ったことがない、親戚や知り合いの貰い物ばかり。
世間の物の価格に疎い、いや知らないと言っていい。
変な意味で、彼女は箱入り娘だったのだ。
外食なんて記憶の中では、生まれて初めてよ。
今まで学園の寮生活でも全ては無料だったし、卒業後は王宮勤め。
生まれて初めて、ましてや赤の他人と食事をすることに。
この方はどんな方なのかしらと、前を歩く男性の背中を見つめる。
とにかく不安でもこの人物を信じて、この馭者の男について行くしかなかった。
左右上下で視線がブレる中、彼女はそっと握っていた右手をゆっくりと開けて見る。
手の中には怪しくも高貴な血のような色をしたルビーの指輪が、光輝き眩しく目に飛び込んできた。
真ん中の大きなルビーの石の周りには、ダイヤモンドがぐるりと囲まれている逸品。
「指輪?なんて、豪華で綺麗な指輪なんでしょう。
きっと考えられない程、高価なお品に違いないわ。
どうしょう、馬車を引き返してお返しした方がいいかしら?!」
今現在は、1つも宝石など持っていない。
それも粗悪な代物しか見たことがなく、人がつけているのを見ていただけだ。
でも、こんな私でもこの指輪の素晴らしさは分かる。
「ま、まさか……。
この持ち主は、王妃様の指輪ではないかしら?!
そんな、どうお返しすればいいの?」
もう、王宮には引き返して戻りたくても無理よ。
一度王宮から出た者は、特別な理由がない限り戻るのは不可能に近いはずだわ。
彼女はその品を丁寧にハンカチに包むと、鞄の奥底にそっとしまう。
馬車の窓から景色を見ながら一人ため息をつくと、その表情は途方にくれていた。
私はこれから、王妃様のご友人の侯爵夫人を頼って隣国に向かうのね。
王妃様のご出身は、確かザイール国だったわ。
彼女の生まれ育った国。
エテルネルは、王族が政略結婚で隣国との繋がりを深めて戦や侵略を防いできた。
地理的にこの国は、外敵に対して防衛に難しく厳しい位置である。
周り国には、大陸の半分以上の領土を占めるアルゴラ王国。
その約半分未満に3つの国、エテルネルとザイールとウィルスターがあった。
不幸にも、真ん中にエテルネルがある。
海に面することのない、攻めやすく狙われやすい国。
恩恵と言えば、船を使いたくない商人とかが通行料を払ってくれる。
たくさんの品が、エテルネルに集まりそこを拠点として他国に渡るのだ。
「王妃様も、そんな政略結婚の犠牲にされのかしら?」
どういう経緯でエテルネルに来られたのかは平民に近い子爵令嬢、ましてや貧乏貴族には知らされない情報である。
これは幸運なのか、彼女はザィール語が読み書き出来る。
学園の在学中に、ザイール出身の先生から教えて貰えたからだ。
彼女は特待生で、学園から学費免除で首席で入学。
貧乏ゆえ、学問に力をいれるしかなかった。
ドレスも買えず、他の令嬢の様にお茶会も開けず呼ばれもしない。
唯一、本好きな彼女の実家には文献がたくさんあった。
娯楽する余裕がなく出来ないせいか、それを覚えるまで読み漁る。
「いつか、国に戻って家族や恩人の編集長にー。
女官長さまや王妃様に誓った通り、お茶やこの指輪をお返しに行けるのかしら?
私は馬鹿だわ。
まだエテルネルも出てないのに、もう望郷の念にかられるだなんて…」
独りきりの馬車の中で独り言を言い、自然と目から大粒の涙が溢れ頬に流れ落ちる。
馬車がゆっくりと停まり、扉に遠慮がちにノックする音が耳に聞こえた。
「お嬢さん?
お昼はどうしますか?!
私は此方の食堂で、いつも食べてるんですよ」
そっと少しずつ開けられた先には、自分の父と同じくらいの歳の馭者が声をかけてくれている。
「は、はい!私もご一緒しても宜しいですか?!」
オドオドとしていた彼女は、この馬車に乗せられただけで右も左も何も分からない状況にいた。
「じゃあ、降りて貴重品を持っていってくれ。
馬車に鍵をかけるからな」
両手で大事そうに、抱えるようにして重たい鞄を持つ彼女。
その中には王妃様のと思われる指輪、王宮で働いた退職金と例の本の原稿料のお金。
自分の全財産であり、多額の金貨を持っていた。
持ちなれないお金に、何故か緊張して挙動不審になって辺りをキョロキョロ辺りを見回してしまう。
ずっと王宮勤めで、外の世界とは無縁であった。
貧乏貴族で物を買ったことがない、親戚や知り合いの貰い物ばかり。
世間の物の価格に疎い、いや知らないと言っていい。
変な意味で、彼女は箱入り娘だったのだ。
外食なんて記憶の中では、生まれて初めてよ。
今まで学園の寮生活でも全ては無料だったし、卒業後は王宮勤め。
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