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第1章 隣国への逃亡
第14話 悪魔からの誘い
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王妃様から格別な配慮をされて賜った部屋の中で、グレースは独り書き終えた物語の上で涙を出し続けていた。
こんなの書き綴って、いったい何になるのか…。
段々と馬鹿らしく感じて、泣き笑いに変わる。
ちょっと待って、これをお金にできないかしら?
この物語を買ってくれる、そんな出版社はないかしら?
バカな事を、まだ夢を見続けているの。
しかし、やる価値はあるかもしれない。
見えない悪魔が横に立って、私の耳元で甘い言葉を囁く。
そうよ、これを売ってそのお金で母に薬を飲ませれば!
きっと、元気になるはずよ!
そう思って考えていたら、気分が何だか明るくなり始めた。
私はこのとき、間違いなく正気を失っていたのだ。
後日こんなに悔やむことになるとは、今この時は考えもしない。
まるで悪魔が体と心に乗り移ったのか、彼女は6件の出版社を探して住所を書き写して地図まで用意した。
手当り次第行って、全て駄目なら諦めればいい!
原稿は紙の束で入れると、鞄はズッシリ重くて壊れそうで持てる半分の量にして、鞄にしまうことにした。
1番上等な服を着て、髪をキレイに結う。
口紅を薄くひいて、鏡で一度よく確認する。
前日に発行してもらった通行証を片手に持ち、門番に見せてから王宮の裏口から外へ勢いよく出て行く。
素人の書いた似非らごとを鼻で笑って、誰も読まない帰れと馬鹿にされて終わりよ!
なら何故それでも行こうとするのか、本人もこのときは理解できないでいた。
こうすることで、気分を上げて明るくしたいという感情が先に行っていたのだろうか。
反対に引き返せば、まだ間に合う!
もうひとり、誰かが話しかけてくる。
二人の人格がそれぞれ、私に代わる代わる語りかけていた。
王都1の大手出版社、1階にある大きな書店で大勢の客が本を購入しているのを彼女は見ていた。
脇に看板があって見てみると、二階が事務所で三階は…。
あぁ、二階になるのね。
脇にある階段を上がる、だんだんと心臓が大きく鼓動する。
緊張を落ち着かせるために深呼吸して、震える手を握り拳で扉を叩いた。
直ぐに扉が開けられて、私より少し年齢が上に見える男性と目が合った。
「お姉さんは誰?
顔を知らないから、此処を初めて来たの?」
軽い口調で言われてしまい、張り詰めていた緊張が解れていくのが分かる。
原稿の持ち込みを話すと、慣れているのかすんなりと中に入れてくれた。
中に一歩入れば針のむしろで、ジロジロと見られて陰口が耳に聞こえてくる。
「また、コリもせず売り込みか!」
「はぁ~、それも若い女かよ!」
「どうせ、すぐに帰るだろうよ。茶は出さないで構わん!」
手厳しい言われようで聞いていて、ココに来たことを段々と後悔し始めていた。
中に案内されて、進む足は僅かに震えている。
事務所の奥にある長いテーブルのソファー席に腰掛けて座って待たされていた。
人々の視線が痛いくらいに気になっていると、案内してくれた男性より年配で立場が上に見える人物が近づく。
どうやら、この方が対応をしてくれるみたいだ。
私は立ち上がり名を名乗り、お辞儀をすると原稿を手渡す。
座ってじっくりと読み進めていたが、2枚か3枚の原稿を読み終えたら。
手が止まり、ちょっと失礼と言って席を立ち上がって何処かへ行ってしまう。
独りにされた私は、残された原稿を不安げに見ている。
たった、3枚しか読んでくれないじゃないの!
そう思うと無意識に顔が下を向く、膝の上に指を組んでその指をただぼんやりと見ていた。
誰かが近づく足音に気づき顔を上げるとそこには先程の中年男性と初老の立派な身なりをした人が立っている。
立ち上がりその方にも再び挨拶をすると、彼は私に名を告げて名刺を渡してくれた。
彼は出版社の役員で、編集長を兼任する方だった。
部屋がザワつく中で、この方も私の原稿を読んでくれるのだと何とか理解する。
それほどまでに、私は緊張していたのだ。
先に読み終えたら3枚を彼に渡して、4枚目からまた中年男性が読み出した。
読んだら渡すを繰り返している。
慣れているのか、二人のやり取りはとてもスムーズにグレースには見えた。
10枚目位で、編集長は突然手を挙げて誰かに声をかける。
「彼女にお菓子とお茶を、こいつはコーヒーか。
私には、そうだな。
一番苦い、コーヒーを頼む!」
大声で彼が言った後に、誰かが口笛を軽く吹き鳴らした。
部屋の中から、歓声が湧きあがる。
これは良いことなのかもしれないと、グレースはほんの少し表情を明るくさせた。
こんなの書き綴って、いったい何になるのか…。
段々と馬鹿らしく感じて、泣き笑いに変わる。
ちょっと待って、これをお金にできないかしら?
この物語を買ってくれる、そんな出版社はないかしら?
バカな事を、まだ夢を見続けているの。
しかし、やる価値はあるかもしれない。
見えない悪魔が横に立って、私の耳元で甘い言葉を囁く。
そうよ、これを売ってそのお金で母に薬を飲ませれば!
きっと、元気になるはずよ!
そう思って考えていたら、気分が何だか明るくなり始めた。
私はこのとき、間違いなく正気を失っていたのだ。
後日こんなに悔やむことになるとは、今この時は考えもしない。
まるで悪魔が体と心に乗り移ったのか、彼女は6件の出版社を探して住所を書き写して地図まで用意した。
手当り次第行って、全て駄目なら諦めればいい!
原稿は紙の束で入れると、鞄はズッシリ重くて壊れそうで持てる半分の量にして、鞄にしまうことにした。
1番上等な服を着て、髪をキレイに結う。
口紅を薄くひいて、鏡で一度よく確認する。
前日に発行してもらった通行証を片手に持ち、門番に見せてから王宮の裏口から外へ勢いよく出て行く。
素人の書いた似非らごとを鼻で笑って、誰も読まない帰れと馬鹿にされて終わりよ!
なら何故それでも行こうとするのか、本人もこのときは理解できないでいた。
こうすることで、気分を上げて明るくしたいという感情が先に行っていたのだろうか。
反対に引き返せば、まだ間に合う!
もうひとり、誰かが話しかけてくる。
二人の人格がそれぞれ、私に代わる代わる語りかけていた。
王都1の大手出版社、1階にある大きな書店で大勢の客が本を購入しているのを彼女は見ていた。
脇に看板があって見てみると、二階が事務所で三階は…。
あぁ、二階になるのね。
脇にある階段を上がる、だんだんと心臓が大きく鼓動する。
緊張を落ち着かせるために深呼吸して、震える手を握り拳で扉を叩いた。
直ぐに扉が開けられて、私より少し年齢が上に見える男性と目が合った。
「お姉さんは誰?
顔を知らないから、此処を初めて来たの?」
軽い口調で言われてしまい、張り詰めていた緊張が解れていくのが分かる。
原稿の持ち込みを話すと、慣れているのかすんなりと中に入れてくれた。
中に一歩入れば針のむしろで、ジロジロと見られて陰口が耳に聞こえてくる。
「また、コリもせず売り込みか!」
「はぁ~、それも若い女かよ!」
「どうせ、すぐに帰るだろうよ。茶は出さないで構わん!」
手厳しい言われようで聞いていて、ココに来たことを段々と後悔し始めていた。
中に案内されて、進む足は僅かに震えている。
事務所の奥にある長いテーブルのソファー席に腰掛けて座って待たされていた。
人々の視線が痛いくらいに気になっていると、案内してくれた男性より年配で立場が上に見える人物が近づく。
どうやら、この方が対応をしてくれるみたいだ。
私は立ち上がり名を名乗り、お辞儀をすると原稿を手渡す。
座ってじっくりと読み進めていたが、2枚か3枚の原稿を読み終えたら。
手が止まり、ちょっと失礼と言って席を立ち上がって何処かへ行ってしまう。
独りにされた私は、残された原稿を不安げに見ている。
たった、3枚しか読んでくれないじゃないの!
そう思うと無意識に顔が下を向く、膝の上に指を組んでその指をただぼんやりと見ていた。
誰かが近づく足音に気づき顔を上げるとそこには先程の中年男性と初老の立派な身なりをした人が立っている。
立ち上がりその方にも再び挨拶をすると、彼は私に名を告げて名刺を渡してくれた。
彼は出版社の役員で、編集長を兼任する方だった。
部屋がザワつく中で、この方も私の原稿を読んでくれるのだと何とか理解する。
それほどまでに、私は緊張していたのだ。
先に読み終えたら3枚を彼に渡して、4枚目からまた中年男性が読み出した。
読んだら渡すを繰り返している。
慣れているのか、二人のやり取りはとてもスムーズにグレースには見えた。
10枚目位で、編集長は突然手を挙げて誰かに声をかける。
「彼女にお菓子とお茶を、こいつはコーヒーか。
私には、そうだな。
一番苦い、コーヒーを頼む!」
大声で彼が言った後に、誰かが口笛を軽く吹き鳴らした。
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これは良いことなのかもしれないと、グレースはほんの少し表情を明るくさせた。
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