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第2章 エーレンタール侯爵家
第5話 働かずものは食うべからず
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同時に同じ顔をして、隣から出てきた侯爵一家を二人は固まり驚いて凝視していた。
まさか隣で掃除をしていたと思い込んでいた人たちが、この方々だったなんて!
いったい、何時からココに居たの??
もしかしたら、最初から話を聞いていたのかしら?
グレースは黙って顔を赤くし、指先までピーンと真っ直ぐにしてまるで棒のように立つ。
「あぁ、そのすまん!
食事を終わってから、君に声をかけるつもりが今になったしまった」
エーレンタール侯爵が困り顔で、彼女に軽く頭を下げて謝ってくる。
「い、いいえ!侯爵さま、頭を下げないで下さい!
あのデザートのことで、あのメイドを叱らないで下さいませ」
予想してみて話してみたら、やっぱり最初から見ていたんだと思われる返事がきてしまった。
「勿論よ。
このお部屋は、気にいって下さったわよね?!」
侯爵夫人は部屋の件を使用人と同じ様に言わないはず、本人の自分を目の前にして頼まないだろうと腹を括っていた。
「実は言いにくいのですが、このお部屋は素晴らしすぎて緊張します。
出来ましたら、使用人部屋の小さな部屋にして頂けませんか?!
あの~、宜しくお願い致します!」
気まずそうに言い、侯爵一家へ深々とゆっくりとお辞儀して要望を述べてきた。
この子、本当に私に直接頼んできたわ。
この部屋は、我が家で客人には一番人気がある部屋を断るなんて!
予期しないお願い事に、侯爵夫人アデラはポカーンとして彼女の顔を呆けて見ていた。
「グレース嬢、母がせっかく君に用意したんだ。
このまま使ってやってはくれないか?!」
カルロスはそんな母の表情を見て、可哀想な気持ちになってしてしまう。
自然と母を擁護する言葉が、自分の口から出てしまうのである。
「あっ、そうですわね。
私ったら、なんて失礼な事を申したのでしょう。
思いやりにかけた発言でした。本当に申し訳ありません」
美男子の困り顔をうっとりと見惚れて仕舞いそうになり、急ぎ謝罪する彼女。
余りにも素直な謝罪に、侯爵一家も返事の仕様にまたしても困ってしまう。
たが、グレースはこのような事柄には何故か不思議と強気になれる。
「でもですね、無料では泊まれません。
この屋敷で働かせて下さい!
それが、このお部屋を使用する条件ですわ。
どうか、お願いしますー!!」
いまいち理解できないが、彼女の迫力に押し切られ侯爵一家は代わりにお茶入れを頼むことにした。
それにグレースは満足したのか輝く笑顔で、何度もお辞儀をして感謝の言葉を繰り返していた。
かなり変わった令嬢が舞い込んだようだと、エーレンタール侯爵は家族水入らずの居間で思わず笑いたくなる。
前に座る夫人は、グレースの謙虚さに押しきられ負けた。
それを聞き入れた自分に対して驚いていた。
「面白く変わった、ご令嬢ですね。
あんなに嬉しそうに、働きたいなんてお願いをするなんて!
アーハハハ」
カルロスは、両親のなんとも言えない表情を見て愉快そうに笑いだした。
3人は他国から独りで来たグレースを温かく受け入れる気持ちになっていた。
グレースは仕方なく豪華なベッドで少しだけ寝るつもりが、朝まで爆睡をしてしまったようだ。
目が覚めたが辺りは真っ暗で、かなり長く寝ていたような気がした。
今は何時頃になってるの、空はまだ暗いようだわ。
机にあるランプに火を灯し、鞄から懐中時計を取り出した。
父が王宮に上がる際に、グレースにくれた物だ。
働くには時間がわからないと不便だと、父がグレースに買い与えた物で唯一の品だった。
ドレスや宝石ではないが、グレースにはこの品の方がずっと役立っていた。
えーっと、4時半位か。
まだ早いけど起きて厨房に行ってみましょう。
昨日メリッサさんがメイド服を持ってきてくれたから、着替えれば誰かが仕事をくれるわ。
顔を洗いたかったが、勝手がわからないので諦めた。
メイド服は紺色で、襟や袖もとが白く可愛しいフリルがついていた。
「へぇー、似合うではないの!
やはり顔が地味だから、メイド服が1番しっくりするわ。
ちょっぴり、悲しいけどね!」
髪もきっちり結うと、余計に地味さが倍増する。
白のエプロンを着けて、準備が整う。
ランプ火ををしっかり消して、何度も大丈夫か確認してから部屋を出た。
机には勤務中の文字を紙に書き、真ん中の目立つ場所に置く。
部屋に入ったメイドがそれを見て、グレースを慌てふためいて探す羽目になるとは思いもしなかった。
昨日から人騒がせな令嬢だと、後日侯爵家で話題の中心になる。
まさか隣で掃除をしていたと思い込んでいた人たちが、この方々だったなんて!
いったい、何時からココに居たの??
もしかしたら、最初から話を聞いていたのかしら?
グレースは黙って顔を赤くし、指先までピーンと真っ直ぐにしてまるで棒のように立つ。
「あぁ、そのすまん!
食事を終わってから、君に声をかけるつもりが今になったしまった」
エーレンタール侯爵が困り顔で、彼女に軽く頭を下げて謝ってくる。
「い、いいえ!侯爵さま、頭を下げないで下さい!
あのデザートのことで、あのメイドを叱らないで下さいませ」
予想してみて話してみたら、やっぱり最初から見ていたんだと思われる返事がきてしまった。
「勿論よ。
このお部屋は、気にいって下さったわよね?!」
侯爵夫人は部屋の件を使用人と同じ様に言わないはず、本人の自分を目の前にして頼まないだろうと腹を括っていた。
「実は言いにくいのですが、このお部屋は素晴らしすぎて緊張します。
出来ましたら、使用人部屋の小さな部屋にして頂けませんか?!
あの~、宜しくお願い致します!」
気まずそうに言い、侯爵一家へ深々とゆっくりとお辞儀して要望を述べてきた。
この子、本当に私に直接頼んできたわ。
この部屋は、我が家で客人には一番人気がある部屋を断るなんて!
予期しないお願い事に、侯爵夫人アデラはポカーンとして彼女の顔を呆けて見ていた。
「グレース嬢、母がせっかく君に用意したんだ。
このまま使ってやってはくれないか?!」
カルロスはそんな母の表情を見て、可哀想な気持ちになってしてしまう。
自然と母を擁護する言葉が、自分の口から出てしまうのである。
「あっ、そうですわね。
私ったら、なんて失礼な事を申したのでしょう。
思いやりにかけた発言でした。本当に申し訳ありません」
美男子の困り顔をうっとりと見惚れて仕舞いそうになり、急ぎ謝罪する彼女。
余りにも素直な謝罪に、侯爵一家も返事の仕様にまたしても困ってしまう。
たが、グレースはこのような事柄には何故か不思議と強気になれる。
「でもですね、無料では泊まれません。
この屋敷で働かせて下さい!
それが、このお部屋を使用する条件ですわ。
どうか、お願いしますー!!」
いまいち理解できないが、彼女の迫力に押し切られ侯爵一家は代わりにお茶入れを頼むことにした。
それにグレースは満足したのか輝く笑顔で、何度もお辞儀をして感謝の言葉を繰り返していた。
かなり変わった令嬢が舞い込んだようだと、エーレンタール侯爵は家族水入らずの居間で思わず笑いたくなる。
前に座る夫人は、グレースの謙虚さに押しきられ負けた。
それを聞き入れた自分に対して驚いていた。
「面白く変わった、ご令嬢ですね。
あんなに嬉しそうに、働きたいなんてお願いをするなんて!
アーハハハ」
カルロスは、両親のなんとも言えない表情を見て愉快そうに笑いだした。
3人は他国から独りで来たグレースを温かく受け入れる気持ちになっていた。
グレースは仕方なく豪華なベッドで少しだけ寝るつもりが、朝まで爆睡をしてしまったようだ。
目が覚めたが辺りは真っ暗で、かなり長く寝ていたような気がした。
今は何時頃になってるの、空はまだ暗いようだわ。
机にあるランプに火を灯し、鞄から懐中時計を取り出した。
父が王宮に上がる際に、グレースにくれた物だ。
働くには時間がわからないと不便だと、父がグレースに買い与えた物で唯一の品だった。
ドレスや宝石ではないが、グレースにはこの品の方がずっと役立っていた。
えーっと、4時半位か。
まだ早いけど起きて厨房に行ってみましょう。
昨日メリッサさんがメイド服を持ってきてくれたから、着替えれば誰かが仕事をくれるわ。
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メイド服は紺色で、襟や袖もとが白く可愛しいフリルがついていた。
「へぇー、似合うではないの!
やはり顔が地味だから、メイド服が1番しっくりするわ。
ちょっぴり、悲しいけどね!」
髪もきっちり結うと、余計に地味さが倍増する。
白のエプロンを着けて、準備が整う。
ランプ火ををしっかり消して、何度も大丈夫か確認してから部屋を出た。
机には勤務中の文字を紙に書き、真ん中の目立つ場所に置く。
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