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第2章 エーレンタール侯爵家
第15話 気の乗らない日程
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たまに勉強の合間にグレースのお茶を飲みながら、この屋敷の侯爵令嬢は学園の話をしてくる。
どうも誰にも言えない話を、彼女に聞いて欲しいようだ。
いわゆる愚痴話。
ご令嬢たちは優しげな気品ある表情とは裏腹に、鬱憤がたくさん溜まっているみたい。
「私で良ければ、何でもお話してください。
この国には長居しませんし、話す方も居ませんからご安心して下さいませ」
「あぁ、ごめんなさいね。
気分悪くなるわよね。
でも、グレースなら許してくれると甘えてしまう」
そんな風に言われれば嫌だとか言えないし、笑顔にだってなってしまうわ。
歳も離れているせいか、何でも聞いてあげたくなるものよ。
「お兄様のご婚約者が、同じ学園に通ってます。
貴族の子供は皆、王都ではあそこに通うから仕方ないわ」
どうも領地から王都に帰ってから、学園でその方と会うのが憂鬱みたいね。
「ベアトリス様、兄上様のご婚約者ですから将来は義理のお姉様になられるお方です。
仲良くしてあげたら如何ですか?」
お茶を新しく入れ替えながら、グレースは彼女をやんわりと諭してみる。
「グレース、ここだけの話よ。
お兄様は、彼女に関心も無ければ好意もないの。
家が決めた、政略結婚だしね」
彼女の何気なく言った政略結婚に、心がチクリと痛んだ。
では、二人の間には思いやる気持ちがないのだろうか?!
「でも、カルロス様から直接お聞きになりましたのですか?
憶測で思い込んではなりませんよ。
お相手の令嬢がお可哀想ですわ」
「グレースは優しいのね。
あっ、ごめんなさい。
もしかしたら、昔のご自分と重ね合わせてしまったのかしら?」
生粋のご令嬢だけあるわ。
お茶会や社交とかで人との交流で、空気を読む鋭い勘が働くのね。
「いいえ…、それは違います。
嘘ですわ!昔の自分を重ねてしまいました。
そのご令嬢は、どんな方かは存じませんが…」
話すべきではない内容だと、後悔したが遅かった。
ここで話をやめては、グレースに対して二重に失礼だとベアトリスは思って続ける。
「グレースとは真逆で、派手好きなの。
お兄様がいらっしゃるのに!
男子学生たちとばかり笑って話して、自分がモテてると思いこんでいるわ。
どうしてそんなに、ご自分に自信があるのか不思議よ」
一瞬、何故かシャロンが頭によぎった。
私の婚約者を奪った、あの令嬢をー。
夕食時にグレースを除いたエーレンタール侯爵の家族が全員が集っていた。
「カルロス、そう言えば婚約者の伯爵令嬢とは会っているのか?
最近、令嬢の話を聞かないがどうなんだ?」
昼間グレースに愚痴ったばかりでお父様から話が出るなんて、ベアトリスは偶然でもびっくりする。
「さぁ、あの方は私でなくても社交的ですからね。
友人もたくさん居ますよ。
父上、家同士の約束ですから私も何も言いません。
学生時代ぐらいは、自由にさせて貰いたいものです」
お兄様がお可哀想だわ。
好きでもないのに、あんな令嬢を充てがわれるなんて!
お父様も何代も前の約束なんて、律儀に守らなくても良いんじゃない。
「旦那様、それなら私も同じですわ。
最近、伯爵令嬢とはお話もしてませんもの。
彼女、侯爵家の習わしや礼儀作法をしたくないみたいですわよ」
妻である夫人は、あからさまに令嬢を嫌う素振りを夫に向けて告げ口をする。
「アデラ、たまには茶会でも開いて令嬢を誘ってみたらどうだい?
女性同士だけなら、つまらんだろうからカルロスも出なさい。
少しは、互いに歩み寄りが必要だろう」
エーレンタール侯爵がそう言って、お茶会を開き伯爵令嬢を呼ぶことになってしまった。
アデラは顔には出さないが、不満と不安を胸に秘めていた。
「お父様、ズルいですわ!
私たちだけで、お父様は参加なさらないのですか?
逃げてしまわれますの?!」
言い出した本人の逃げ腰に、娘は父とて許せなかった。
「逃げてはいない!
ただ、私は侯爵としてやる事があるのだ。
今は、令嬢も領地へ戻っていると聞く。
学園が始まる前に、一度話でもしなさい。
招待状は、私が出しておくから」
その後の食事は、気まずい雰囲気になってしまった。
カルロスは令嬢に対して、いい感じを持ったことが皆無だ。
話も合わないし、彼女は楽しい事を求めすぎて地に足が付いてない。
実際に学園でも令嬢よりも、男子学生の方が友人が多い。
自分の友人たちは、そんな軽い婚約者を嫌っている。
口には出さないが、私の婚約者だから遠慮してくれているのだ。
私は本当は心のどこかで、婚約破棄を願っているのかもしない。
グレース嬢が、この場に居なくて良かった。
もし私の本心を知ったら、毛嫌いされ軽蔑されるだろうな。
悩み心を痛めては、誰も聞こえないはずの心の中で呟く。
どうも誰にも言えない話を、彼女に聞いて欲しいようだ。
いわゆる愚痴話。
ご令嬢たちは優しげな気品ある表情とは裏腹に、鬱憤がたくさん溜まっているみたい。
「私で良ければ、何でもお話してください。
この国には長居しませんし、話す方も居ませんからご安心して下さいませ」
「あぁ、ごめんなさいね。
気分悪くなるわよね。
でも、グレースなら許してくれると甘えてしまう」
そんな風に言われれば嫌だとか言えないし、笑顔にだってなってしまうわ。
歳も離れているせいか、何でも聞いてあげたくなるものよ。
「お兄様のご婚約者が、同じ学園に通ってます。
貴族の子供は皆、王都ではあそこに通うから仕方ないわ」
どうも領地から王都に帰ってから、学園でその方と会うのが憂鬱みたいね。
「ベアトリス様、兄上様のご婚約者ですから将来は義理のお姉様になられるお方です。
仲良くしてあげたら如何ですか?」
お茶を新しく入れ替えながら、グレースは彼女をやんわりと諭してみる。
「グレース、ここだけの話よ。
お兄様は、彼女に関心も無ければ好意もないの。
家が決めた、政略結婚だしね」
彼女の何気なく言った政略結婚に、心がチクリと痛んだ。
では、二人の間には思いやる気持ちがないのだろうか?!
「でも、カルロス様から直接お聞きになりましたのですか?
憶測で思い込んではなりませんよ。
お相手の令嬢がお可哀想ですわ」
「グレースは優しいのね。
あっ、ごめんなさい。
もしかしたら、昔のご自分と重ね合わせてしまったのかしら?」
生粋のご令嬢だけあるわ。
お茶会や社交とかで人との交流で、空気を読む鋭い勘が働くのね。
「いいえ…、それは違います。
嘘ですわ!昔の自分を重ねてしまいました。
そのご令嬢は、どんな方かは存じませんが…」
話すべきではない内容だと、後悔したが遅かった。
ここで話をやめては、グレースに対して二重に失礼だとベアトリスは思って続ける。
「グレースとは真逆で、派手好きなの。
お兄様がいらっしゃるのに!
男子学生たちとばかり笑って話して、自分がモテてると思いこんでいるわ。
どうしてそんなに、ご自分に自信があるのか不思議よ」
一瞬、何故かシャロンが頭によぎった。
私の婚約者を奪った、あの令嬢をー。
夕食時にグレースを除いたエーレンタール侯爵の家族が全員が集っていた。
「カルロス、そう言えば婚約者の伯爵令嬢とは会っているのか?
最近、令嬢の話を聞かないがどうなんだ?」
昼間グレースに愚痴ったばかりでお父様から話が出るなんて、ベアトリスは偶然でもびっくりする。
「さぁ、あの方は私でなくても社交的ですからね。
友人もたくさん居ますよ。
父上、家同士の約束ですから私も何も言いません。
学生時代ぐらいは、自由にさせて貰いたいものです」
お兄様がお可哀想だわ。
好きでもないのに、あんな令嬢を充てがわれるなんて!
お父様も何代も前の約束なんて、律儀に守らなくても良いんじゃない。
「旦那様、それなら私も同じですわ。
最近、伯爵令嬢とはお話もしてませんもの。
彼女、侯爵家の習わしや礼儀作法をしたくないみたいですわよ」
妻である夫人は、あからさまに令嬢を嫌う素振りを夫に向けて告げ口をする。
「アデラ、たまには茶会でも開いて令嬢を誘ってみたらどうだい?
女性同士だけなら、つまらんだろうからカルロスも出なさい。
少しは、互いに歩み寄りが必要だろう」
エーレンタール侯爵がそう言って、お茶会を開き伯爵令嬢を呼ぶことになってしまった。
アデラは顔には出さないが、不満と不安を胸に秘めていた。
「お父様、ズルいですわ!
私たちだけで、お父様は参加なさらないのですか?
逃げてしまわれますの?!」
言い出した本人の逃げ腰に、娘は父とて許せなかった。
「逃げてはいない!
ただ、私は侯爵としてやる事があるのだ。
今は、令嬢も領地へ戻っていると聞く。
学園が始まる前に、一度話でもしなさい。
招待状は、私が出しておくから」
その後の食事は、気まずい雰囲気になってしまった。
カルロスは令嬢に対して、いい感じを持ったことが皆無だ。
話も合わないし、彼女は楽しい事を求めすぎて地に足が付いてない。
実際に学園でも令嬢よりも、男子学生の方が友人が多い。
自分の友人たちは、そんな軽い婚約者を嫌っている。
口には出さないが、私の婚約者だから遠慮してくれているのだ。
私は本当は心のどこかで、婚約破棄を願っているのかもしない。
グレース嬢が、この場に居なくて良かった。
もし私の本心を知ったら、毛嫌いされ軽蔑されるだろうな。
悩み心を痛めては、誰も聞こえないはずの心の中で呟く。
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