【完結】魔がさし令嬢の国外逃亡は恋の予感

愚者 (フール)

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第3章  カルロスの婚約者

第17話 運命のお茶会

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 エーレンタール侯爵の当主アキシミアンは夜会での様子を、妻と息子から改めて婚約者である伯爵令嬢をどう思うかを詳細しょうさいに聞き出していた。

ベアトリスは夜会から帰るとカトリーナ嬢に対しての怒りが収まらず、グレース嬢がなぐさめたりお茶を入れたりしてくれている。

「私の耳にも噂は聞こえている。
調べはついているし、裏は取ってある。
限界だな…。
もう一度だけ、トレド伯爵令嬢をお茶会に呼び話を聞いていて決断せよ。
二人とも、よいな」

当主アキシミアンの話に無言でお辞儀して了承するが、部屋の中の空気は重々しいく息がまるものだった。

メイド長メリッサがベアトリスとグレースが居る部屋に、侯爵の言葉を伝言に来ていた。

「お茶会に……?
彼女をお呼びになるの!?
お父様はおかしいわ。
どう考えても、この家には相応ふさわしくない方よ。
メリッサ、私は辞退します。
もう顔も見たくないし、声も聞きたくない」

そっぽを向いて、目を合わせずに彼女はメリッサに返事をしてきた。

「旦那様のご命令です。
お嬢様、最後ですよ。
我慢がまんして下さいませんでしょうか?」

「最後…。そう、最後よね」

「旦那様はハッキリ申してませんが、私は最後と思いますよ」

ベアトリスは少しだけ考えてから、可愛らしい笑顔をメリッサに向ける。

「いいわ、最後くらいは優しくしてあげる。
もう二度と口をきかないし、会わないわ」

ベアトリスが現在侯爵令嬢でも、婚姻こんいんを結んだら公爵夫人になることが約束されている。
どっちにしても、伯爵令嬢からはお声はかけられない立場であるのだから…。

 
   お茶会は、前回と同じ組み合わせ。
しかし、前回より格段に雰囲気ふんいきは悪く最悪だった。

「幸運だったよね。
ついているとしか思えないわ」

「これで一生涯、全部の運を使い切った気がする」

部屋の掃除をしている仲間にグレースは、見たままの感想を述べていた。  

「前より、ピリピリよりビリビリですかね。
ベアトリス様は、最後とずっと口癖のようにつぶやきてましたわよ」

中庭を見ながら、2階から窓を拭き観察するメイドの仲間たちとグレース。

「今日はお茶会に適した服装ですね。
あの日は、どうしてあんな格好かっこうだったのでしょうか?」

「さぁねー、気まぐれじゃない。
私を忘れないでーって、アピールしかったんじゃない?!」

「それ、正解だと思うわ!
構って欲しそうな性格をしてそうだもの。あはははー」

好き勝手に馬鹿にして、話す仲間たちを横目に掃き掃除をする。
グレースの何となしに話した疑問は、後日に明かさせるのだった。

 メイド長メリッサと給仕きゅうじする者たちは、人形のように無表情でお茶をお出ししていた。

「トレド伯爵令嬢、以前のお約束を覚えていて?
貴女は、試験の結果は如何いかがでしたか?」

侯爵夫人アデラは、氷のように冷たい声と表情で質問をしてきた。

「まだ、約束して二度目ですわ。
それに、その日は体調が悪かったんです。
次回に期待して下さい」

伯爵令嬢は言い訳をして、侯爵夫人に話しかける。

「クスクス、言い訳ばかりね。
私はグレースのお陰で、上位10番から6番目になりました。
人って努力すると、それなりに成果を出せるのね」

ベアトリスは嫌味のように、自分の試験結果を報告する。

「また、グレースって方の話ですか。
前回も、その方の話をしてましたよね。
この場にいない方の話題をしないで下さいませんか。
それに図々ずうずうしく、夜会に人の婚約者と出たくせに」
 
機嫌悪くなっていく令嬢は、グレースの名に敏感になる。

「図々しくだと、私のパートナーは母が勧めたんだよ。
グレース嬢のお陰で妹ベアトリスの成績が上がったのだから、君も少しは頑張ってくれ給え。
結果は、下から3番目なんだから」

「カ、カルロス様! 
お茶会の席で、私の成績をバラすなんてひどいですわ」

伯爵令嬢は成績を暴露ばくろされ、顔を真っ赤にしてカルロスに文句を言ってくる。

「事実なんでしょう。
トレド伯爵令嬢、そんな成績ならエーレンタール侯爵の嫁にはなれませんわよ。
下から三番なら、本当にビリに近いではありませんか!」

侯爵夫人が怒っているような感情をぶつけられて、伯爵令嬢は呆然としてしまっていた。

「お母様、紅茶が冷たくなってしまいましたわ。
グレースの美味しいお茶を飲みたくなりました」

何気なくベアトリスが話すと、アデラは明るい顔になり後ろで無表情で控えていたメリッサに声をかけてきた。

「いい考えだわ!
ベアトリス、気持ちは同じよ。
私もグレース嬢のお茶を飲んで、心を安らかにしたくなりました」

『グレース、グレースってうるいわね!
あんな何処にでもいて、芋みたいな女をー』

カトリーナはイライラがつのり、グレースって名を耳にしたくないまでになる。

「メリッサ、グレース嬢にお茶を入れてくれるように頼んではくれないかしら?」

娘の話に乗って、アデラの考えなしに頼んだお願い事が。

グレースや侯爵家にとって、一生涯悔やまれるものだった。
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