【完結】魔がさし令嬢の国外逃亡は恋の予感

愚者 (フール)

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第3章  カルロスの婚約者

第22話 令嬢の告白

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 少しだけまだ調子悪くしていたグレースに、この邸の女主人がお見舞いに部屋を独りで訪れてきた。
私にアデラと呼んでと、いきなり彼女にお願いをしてきた。
どんな心情で言ってきたかは理解できないが、グレースにとってはとんでもない願いにアデラ様呼びに落ち着く。

どうやら、カトリーナ嬢ときちんとお話が出来たようだ。
お茶を飲んで私に、報告する内容は悲しい事ばかりであった。

「嘘でございましょう……。
アデラ様?!
本当に彼女は、そんなあやまちを犯したのですか?!
いくらなんでも、貴族で伯爵のご令嬢がー」

彼女はカルロス様に、好かれてないのを存じていた。
カルロス様に彼女自身、好意があったのかは分からないそうだと言っていたという。

ただ、無視をされたのには傷ついていたそうだ。

それを忘れたかったのか、夜会に誘われて男性たちに囲まれるのが楽しかった。

それだけで終われば良かったのに、カード賭博とばくを始めてしまう。
勝つと周りがほめたたえ、どんどんと深みにはまってしまったそうだ。

「聞きたくない話でした。
ですが、彼女は私たちに懺悔ざんげをしたかったのでしょう。
いいえ、あれはうらみだったかも。
それを聞くのも、きっと私たちの罰なのね」

侯爵夫人アデラは、ハンカチで目頭めがしらを押さえて気丈きじょに話を続ける。

カトリーナ嬢は敗けが重なり、多額の借金を持ってしまった。
最初は自分の持つ宝石を密かに売り、借金を返していた。

「ここでやめれば良かったのよ!!
あらためれば、道から外れなかった。
貴方と結婚して、普通の幸せを歩めたのにー!!
ア~ハッハハァー!!」

カトリーナ嬢は、話した後に狂ったように笑いだした。

侯爵夫人とカルロスは、カトリーナの姿に目が離せなかった。
たった数日でやつれ果てた彼女は、醜い顔をしてにらみながら二人に話を続けていったそうだ。

「彼女は、また賭博をしたそうよ。
もう支払う宝石がなくなり、そしてー」

彼女は貴族の結婚前の令嬢が、絶対にしてはいけない行いをしてしまう。

「借金を体で支払ったのよ。
だからあのお茶会のドレスは、夜会に着ていたドレス姿のままで現れたの。
グレース~!彼女は貴女にした事に、罪の意識はないわ!
こわれてしまったの。
心がー。心…、がね…。ウ~ぅ……」

泣きながらアデラ様は、振り絞る声で私に真実を伝えた。

「どうしてなの!
そんな行為こういが出来たのです!
家族は気づかなかったの?!
誰か1人でも、彼女の異変に気づいていれば…」

泣き震える声で、私は侯爵夫人に質問をする。

グレースは信じられなかった。
そこまで人はちるのものか?!

「彼女、カトリーナ嬢は言ったの。
自分の母は娼婦しょうふだったとー。
母親は伯爵と婚姻こんいん前は、高級娼婦として働いていたのよ。
兄である嫡男ちゃくなんは正妻の子で、彼女は側室の子だったの」

トレド伯爵の正妻は、由緒ゆいしょ正しき伯爵令嬢の出身。

伯爵は浮気をして、娼婦に子が出来た。
それがカトリーナ嬢である。

伯爵は側室とする為に金を払い、娼婦から男爵の養女にして男爵令嬢にした。

そして、側室として婚姻したのだ。

正妻は夫の不貞ふていに怒り、領地の別の屋敷に1人で暮らしている。

息子はそんな父を許せずに、現在は王宮勤めをしていた。
彼は、伯爵を継がないかもしれないとの噂がある。

「それでは、トレド伯爵の領民はどうなるの?!
働いても働いても、生活は苦しいって…。
食堂でなげいていたわ」

グレースはやるせない気持ちが、とめどなくき上がっていた。
そして、故郷の領地を思い出す。
水害に田畑を全滅になり、それでも一からやり直すたみたちを!

あの辛い領地生活を、頭に浮かべると思わずすすり泣く。

あーぁ、私だって!
編集長に、もし出会えなかったら?
彼女と同じ事をしていたのかもしれない!

私は母の病気を治すためだけど、「真実の愛を求めて」を書かなかったら母は助からなかったかも。

私は、今をなげいてはいけない。
彼女と私は、似てるようで似てない。
同じく婚約破棄をした女。

彼女は、恵まれていたはずよ。

素敵な婚約者、贅沢ぜいたくな生活。
領民に気遣い親切にして、その贅沢をやめて婚約者を大事にしていたらー。
きっと、運命は変わったに違いない!

どうしたら、満たされてた心が…。
それは本人にしかわからない。

真実は、他人にはけしてー。
本人にすら分からないから、あんな事をしてしまったの?

侯爵夫人アデラの話に、目からぽろぽろ涙を流して質問をする。

「アデラ様、彼女はカトリーナ嬢は今後はどうなるのですか。
一部の方しか、この話は知れてないのですよね?!」

彼女に立ち直り、幸せをいつかつかんで欲しいと願う。

自分はあきめたのに、他人に希望をたくすなんてズルいとは思う。

「我が家の婚約者だったから、遠慮して黙っていた可能性がある。
今回は憲兵けんぺいに突きだしたのが、たぶん貴族たちに知られたわ。
破棄した事を知ったら噂が流れる」

「貴族だけでなく、世間では噂話が好きですものね。
抑えがなくなれば、歯止めが効きません」

私の婚約破棄や本の件で、嫌ってほど経験したわ。 

「トレド伯爵は親として、修道院しゅうどういんに入れる。
私はそう考えているわ」

修道院は、グレースの最後に行く場所だ。
カトリーナは、それがすでに決定してしまった。
自分も修道院は、ハッキリとはどんな場所か知らない。

「彼女はまだお若いのですよね?!
もう、どなたとも婚姻出来ないのですか?!
そんなのは、お可哀想だわ」

アデラはそのまま、そっくり彼女に返したい気持ちになっていた。

彼女は肩に火傷やけどをつけたカトリーナをうらんでないの?
私がお茶を頼んだせいで、こんなになってしまったのに!

友人の手紙を思い出す。
優しく聡明そうめいな、グレースを頼むと手紙にはそう書かれていた。

私は友人であるエテルネル王妃に、いまの現状を知らせなくてはいけない。

彼女を傷つけた私を…。
たくした親友は、果たして許してくれるのかしら?!
そして原因をつくったのは、私を含めたエーレンタール侯爵家だわ。

あの娘に少しでも優しくして、彼女の心の闇に気づき話を聞いていたら…。

こんな事件は起こらなかった!

侯爵夫人はグレースに返す言葉が無いまま、首を振り涙をこぼし続ける。

部屋には、二人のすすり泣く嗚咽おえつしかしてなかった。
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