【完結】魔がさし令嬢の国外逃亡は恋の予感

愚者 (フール)

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第4章  真実の愛を求めて

第28話 賞金の行方

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 ドキドキして結果発表を待つはずが、カルロス様が気になり冷静になってしまった。
最後のセリフは、いつも練習したのとは違っていたわ?!
まさか、彼は私のことをー。

「では、結果発表です!
今年度の優勝者はー!
満場一致で、海賊かいぞくの衣装から華麗かれいに変身を見せてくれた。
グリシーヌ姫をひきいる組みの優勝ですー!!」

わぁーと観客から大拍手と祝いの言葉が、グレースたちに向けて送られた。

「おい!やったぜ、グレース!
金貨30枚取ったぜ!」

タイラー父様が、私の肩を叩きまくる。
ウッ、マジに痛いんですけど!

カルロス様は優しい笑顔で私に何かを言ってくれているが、タイラー父様の声がデカくて耳まで聞こえない。

「では、優勝に対しての感想を聞かせていただきますか?」

(えっ、誰が答えるのよ?)

私とタイラー父様は、何故か一緒にもう一人をジッと見る。
私たちの態度を見て、彼はしょうがないと思ってくれたようだ。

「優勝できて光栄です。
今日の日の為に、毎日練習を重ねてきました。
声援や拍手を観客の皆様、有難うございました!」

堂々として、立派な受け答えだった。
流石さすがに、次期侯爵家を継ぐものだけある。

2人は尊敬の視線を向ける隣の彼に、手が痛くなるまで拍手を送り続けた。

ベアトリス様が満面の笑みで、私たちの近くに駆け寄った。

「もう、グレース!
ビックリしたわよ、まさか芝居をするなんて!
優勝おめでとう!!」

ベアトリス様に拍手されながら言われて、3人は顔を見合わせて照れながらお礼を言う。

それから、侯爵夫妻や信じられなかったがアルバ公爵夫妻までいらっしゃった。

これには、タイラー父様も私もオロオロしたわ。
カルロス様は、一人だけ落ち着いていたけどね。

ドロシーさんは、それを見てひとつうなづくと仮面のやかたに戻るのか後ろを向き歩き出す。

その後ろ姿をふと考えた。
彼女は夫を亡くし、今は一人暮らしなのだろうか!?
後で、タイラー父様にうかがおうと思うのだった。

それから、特別にタイラー父様も乗せてもらい馬車でエーレンタール侯爵家へ戻った。

「いったい誰が、この大会に出ようと言いだしたの?」

侯爵夫人アデラは、好奇心旺盛こうきしんおうせいなのかグレースたちに質問する。

タイラー父様は、前の席に座る侯爵夫妻とご令嬢にすっかり萎縮いしゅくしてしまっていた。

「最初はカルロス様とご相談して、二人で海賊になろうと衣装を買いに行きましたの」

グレースが話すと、カルロス様が話に割り込んむ。

「私は、姫と海賊にしようと言ったが却下きやっかされた。衣装を買いに出れば1日だから、安く買える場所にしようと言われる始末でしたよ」

カルロス様はそう話すと、横に座るタイラー父様に顔を向ける。

「それで、私の知り合いの平民の店に行きました訳で…」

カルロス様の話せという感じに、負けてタイラー父様は緊張した面持おももちで話をした。

「それでグレース嬢が、あの芝居の脚本を書いたのかい?!
やはり才能があるのだね。
絶対に本を書きなさい!
ザィールなら、エテルネルとは違い騒ぎにはならんよ。ハハハ!」

エテルネル侯爵マキシミアンは、どうも作家グレースを誕生させたいらしい。

「賞金の金貨30枚は、どうしますの?お兄様も頂くの?」

ベアトリスは侯爵令嬢らしくなく、賞金の使い道が気になるらしい。

「私は辞退したよ!
二人は賞金に、物凄い執着がありましたのでね」

なんか、とても意地悪な言いぐさだった。

二人はカルロスを軽くにらむと、金に苦労してねぇくせにみたいな表情を向けてみる。

「コホン、私は全財産を我が祖国の領地の緊急用の予備費として使って貰いますの!
カルロス様は、雑草を食べたことありまして~?!」

グレースのカルロスを鋭く睨む目は、それはそれは怖かった。

「すみませんでした。
経験はございません……」

カルロスは、グレースにびるのである。

タイラーはグレースの使い道の崇高すうこうな行いに、自分の酒代とは返事をしにくくした。

「わ、わ、私も!
我が家の緊急用に、妻にほとんど渡します!
ちょっとは、小遣いを頂くつもりです!アハハ…」

渇いた笑いだと、グレースとカルロスは胸のうちで思う。
そうして、こう思う。
別に此処だけの話にして、黙って貰えばいいのにね!

そんな話しをしていたら、エーレンタール侯爵の屋敷に帰っていた。

グレースは色々な経験を1日でしたせいか、横になったら疲れて夕食もとらずにそのまま寝てしまう。

その夜ぐすり寝たら、グレースは例の意味深なカルロスのセリフの件は忘れてしまっていたのだった。

観衆の中での青年カルロスの思いは、見事に彼女に届かずに不発に終るのである。
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