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第5章 永遠の愛をあなたに
第15話 喝采は祝福へ
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実の親から引き離されて、ダイアナはあれから5年の月日が流れていた。
別れを思い出すたびに彼女は、独り物陰で誰にも知られないように涙で頬を濡らす。
「ダイアナ様、今日は王宮にて陛下主催の夜会です。
旦那様より、陛下にお声をかけて頂けるようにと仰せでございます」
ピンクの薔薇のようなドレス。
真珠のネックレスを身に着けて立つ姿は、妖精姫と噂される評判の美貌。
(誰が、あんな色情の王なんかに声をかけるものか!絶対に今日ここから逃げ出す!)
マノンが鏡に向かい客席に後ろ姿を見せ台詞を言ってから、振り向くと光がそこに集まって見えた。
「マノン様~、素敵ー!!」
「なんてー、美しいの~~!」
客席からため息とかけ声がする。
「ドロシーさん、皆様独り言より大声で話してますわよ。
私などの独り言は、可愛いものではないですか。
あぁー、マノン様!
まるで女神様ですわ!」
持ってきた扇で、グレースの肩を無言で叩きまくるドロシー。
「お父さん、お母さん!
ダイアナは、必ずやお側に帰ります。
この時を5年間、ひたすら待ち続けました!」
お小遣いを貯めたお金が入った小袋を、しっかりと握りしめるダイアナ。
「ダイアナ、分かっておるな!
今日は、陛下にお前の存在を見せつけるのだ!
さぁ、行くぞ!」
伯爵夫妻の子として出席する夜会は、未成年のダイアナは特別参加である。
噂を聞きつけて、陛下が特別に許可したのであった。
話が動き出したわ。
マノン様、綺麗なだけでなく力強くて高貴な気品が漂ってますわ。
あぁ~涙の次は、今度は興奮して鼻血が出そうです!
敢えて、グレースを見ない方針に変えた。
大女優マノンの演技に集中するためだ。
君が本当は1番だが、今は私を許してくれー。
グレース!!
バカな二人を無視しほっといて、ドロシーたちはマノンの渾身の演技に酔っていた。
夜会では、ダイアナの容姿に賛美する囁く声と嘲笑する笑い声。
「まぁ、可愛らしいこと!
陛下の新しいお人形さんね」
「なぁ、何年持つか賭けようではないか?!
私は3年だな!」
「では、私は1年で!ハハハ」
「ここは汚い世界だわ!
王様は民の見本であるはずよ!
ザィールの国王様のように~~!!」
その台詞に客席は大歓声で、恐らく隣では国王が手を挙げて応えていると予想。
拍手しないと不敬なので、急ぎ盛大に目立つように満面の笑顔で手を叩く4人。
うまい演出をするじゃない!
隣で観劇を観ている国王陛下を、芝居の中で活用するとはー。
しかし、この国の王様は実にノリが抜群にいいわ!
仮面祭りでもバルコニーの上で、ノリノリで手を振っていた。
自国の王様を思い出すが、王妃様しか顔を覚えてない彼女は首を振る。
エテルネルってなんだか、平凡で印象が薄い国よね。
「おぉ、伯爵の娘御はなかなか綺麗だのう。
若くてイキイキしているのう。
余の好みじゃあ~!」
無理やり手を取ると、挨拶代わりにその手にキスをする。
下の客からは、激しい汚い罵声が飛び交う。
「ザィールの皆様は、情熱的で素直な国民性をしてますね。
陛下がいても、無視して普通にヤジ飛ばしてますよ。
凄いなぁ~」
ザィール国民3人は、エテルネルの出身グレースの言葉に無言で頷くしかなかった。
「今晩は、宮殿に部屋を取るがよい。余が許す!」
「何言ってんだ、このハ○!
だから、スケベオヤジは最低なんだ。
この話がマノンの最後の舞台なんて、あたしゃ許せん!」
黙って観ていたドロシーが、とうとう台本にいちゃもんをつけてくる。
「お気持ち、分かりますわ。
私なら、もっと違う演出をします。
これではマノン様の美しさが埋もれてしまいますわ。
ハ○の王様のせいで!」
二人の男性はそっと髪を引っ張ったり、撫でて髪の強度を調べていた。
「父上様、母上様。
私は…、気分が優れませぬ。
屋敷に帰りとうございます。
お先に失礼致します!」
「何を言うのか!
陛下は、そなたを今宵御所望である。
いいか、機嫌を損なってはならぬ!」
ダイアナは焦り、独り庭に降り立つ。
「お願い助けてー、ウィル!」
「ダイアナ!
俺だ、ウィルだよ!」
木の陰から大人に成長したあのウィルが、ダイアナの前に姿を現した。
なんだ~こりゃあ?!
この陳腐な登場の仕方は!
これは盛り上がるのか微妙な演出で、定番すぎて面白みがない。
冷静に分析するグレースは、全然涙が出てこなくなっていた。
「本当に、貴方なの?!
立派になり、分かりませんでしたわ!」
「そんなことより、このメイド服に着替えるんだ!
城の外に馬車を待たしてある。
隣国へ逃げよう!」
「私を助けに来てくれたのね!
ウィルフレッドー!!」
何故かマノン様は舞台にいるウィルでなく、私たちに手を向けていた。
皆が一斉に、グレースのいるボックス席の彼に視線を送る。
注目されている?!
隣に座るウィルフレッド様が、マノン様と観客たちに手を振り笑っているよ。
陽気な国民性なんだね。
芝居と自分突っ込みで忙しく、まったくもって感動できなくなる。
「もちろんだ!
さぁ早くー、ダイアナ!」
マノン様が、ドレスをその場で剥ぎ取るとメイド服に早変わりした。
どこかで見た演出、仮面祭りの大会で私たちがしたのとソックリではない!?
「これは、グレースたちの芝居の真似ではないか!
きっと、大会を観ていたんだね」
ドロシーがムッとして腕を組んで、怒りを感じる言葉を放った。
メイド服と給仕服の男女は、そのまま王宮の裏手から水を汲みに来たと桶を持って外へ出ていくのである。
「普通は警備兵に見つかるけど、芝居だから演出が甘いわね」
グレースの冷静な独り言に興ざめする3人は、マノンが逃げる迫真の演技に心を寄せようと努力する。
「追って来てない?
隣国まで、無事に逃げきれるかしら?」
ウィルフレッドの腕を不安そうに掴んで、美しい憂いある表情をする。
「ダイアナ、今度はこのマントでメイド服を隠すんだ。
仲間が次の馬車を用意してある。大丈夫、速さでは追いつけないよ!」
国境を超えたダイアナは、遠くに見える自国を振り返る。
「貴方のお陰よ!
あのお祭りから、私の時は止まっていたわ!」
「私も君が居なくなった、あの時から止まり。
今やっと、動き出したのだ!
私と君のご両親がいる。
あの新しい国、ザィールで新しく人生をやり直そう!」
抱き合う二人に、観客たちは盛大な拍手を送る。
マノンは、一人前を歩き止まる。
天に向けて、両手を広げて叫ぶ!
「自由に羽ばたく!
私はこの国から羽ばたき、新たな世界に飛び立つの!
あぁー!この場に立てた喜びは、昔の辛い日々があるから…。
有難う、強くしてくれて!
ウィルフレッド、愛してますわ。この手を離さないで、もう二度とー!!」
二人は両手を握りしめて向かい合いながら、幕は静かに下りてゆく。
こんな駄目な演出でもどうにかするのが、大女優なのね。
あぁ、感涙て涙が止まらない!
ふと横を見て見ると、ウィルフレッド様が消えていた。
幕が再び上がると真っ赤な薔薇の花束を抱えた彼が、膝をついて求婚のポーズをしている。
大輪の薔薇を受け取り、女神は微笑んで抱き合っていた。
万雷の拍手の中で最後の喝采と祝福を受け止める彼女は、グレースの心に深く刻み込まれる。
そして、ザィール国民の情熱気質は恐るべし!
グレースの優秀な頭脳には、この印象が残った舞台でもあった。
別れを思い出すたびに彼女は、独り物陰で誰にも知られないように涙で頬を濡らす。
「ダイアナ様、今日は王宮にて陛下主催の夜会です。
旦那様より、陛下にお声をかけて頂けるようにと仰せでございます」
ピンクの薔薇のようなドレス。
真珠のネックレスを身に着けて立つ姿は、妖精姫と噂される評判の美貌。
(誰が、あんな色情の王なんかに声をかけるものか!絶対に今日ここから逃げ出す!)
マノンが鏡に向かい客席に後ろ姿を見せ台詞を言ってから、振り向くと光がそこに集まって見えた。
「マノン様~、素敵ー!!」
「なんてー、美しいの~~!」
客席からため息とかけ声がする。
「ドロシーさん、皆様独り言より大声で話してますわよ。
私などの独り言は、可愛いものではないですか。
あぁー、マノン様!
まるで女神様ですわ!」
持ってきた扇で、グレースの肩を無言で叩きまくるドロシー。
「お父さん、お母さん!
ダイアナは、必ずやお側に帰ります。
この時を5年間、ひたすら待ち続けました!」
お小遣いを貯めたお金が入った小袋を、しっかりと握りしめるダイアナ。
「ダイアナ、分かっておるな!
今日は、陛下にお前の存在を見せつけるのだ!
さぁ、行くぞ!」
伯爵夫妻の子として出席する夜会は、未成年のダイアナは特別参加である。
噂を聞きつけて、陛下が特別に許可したのであった。
話が動き出したわ。
マノン様、綺麗なだけでなく力強くて高貴な気品が漂ってますわ。
あぁ~涙の次は、今度は興奮して鼻血が出そうです!
敢えて、グレースを見ない方針に変えた。
大女優マノンの演技に集中するためだ。
君が本当は1番だが、今は私を許してくれー。
グレース!!
バカな二人を無視しほっといて、ドロシーたちはマノンの渾身の演技に酔っていた。
夜会では、ダイアナの容姿に賛美する囁く声と嘲笑する笑い声。
「まぁ、可愛らしいこと!
陛下の新しいお人形さんね」
「なぁ、何年持つか賭けようではないか?!
私は3年だな!」
「では、私は1年で!ハハハ」
「ここは汚い世界だわ!
王様は民の見本であるはずよ!
ザィールの国王様のように~~!!」
その台詞に客席は大歓声で、恐らく隣では国王が手を挙げて応えていると予想。
拍手しないと不敬なので、急ぎ盛大に目立つように満面の笑顔で手を叩く4人。
うまい演出をするじゃない!
隣で観劇を観ている国王陛下を、芝居の中で活用するとはー。
しかし、この国の王様は実にノリが抜群にいいわ!
仮面祭りでもバルコニーの上で、ノリノリで手を振っていた。
自国の王様を思い出すが、王妃様しか顔を覚えてない彼女は首を振る。
エテルネルってなんだか、平凡で印象が薄い国よね。
「おぉ、伯爵の娘御はなかなか綺麗だのう。
若くてイキイキしているのう。
余の好みじゃあ~!」
無理やり手を取ると、挨拶代わりにその手にキスをする。
下の客からは、激しい汚い罵声が飛び交う。
「ザィールの皆様は、情熱的で素直な国民性をしてますね。
陛下がいても、無視して普通にヤジ飛ばしてますよ。
凄いなぁ~」
ザィール国民3人は、エテルネルの出身グレースの言葉に無言で頷くしかなかった。
「今晩は、宮殿に部屋を取るがよい。余が許す!」
「何言ってんだ、このハ○!
だから、スケベオヤジは最低なんだ。
この話がマノンの最後の舞台なんて、あたしゃ許せん!」
黙って観ていたドロシーが、とうとう台本にいちゃもんをつけてくる。
「お気持ち、分かりますわ。
私なら、もっと違う演出をします。
これではマノン様の美しさが埋もれてしまいますわ。
ハ○の王様のせいで!」
二人の男性はそっと髪を引っ張ったり、撫でて髪の強度を調べていた。
「父上様、母上様。
私は…、気分が優れませぬ。
屋敷に帰りとうございます。
お先に失礼致します!」
「何を言うのか!
陛下は、そなたを今宵御所望である。
いいか、機嫌を損なってはならぬ!」
ダイアナは焦り、独り庭に降り立つ。
「お願い助けてー、ウィル!」
「ダイアナ!
俺だ、ウィルだよ!」
木の陰から大人に成長したあのウィルが、ダイアナの前に姿を現した。
なんだ~こりゃあ?!
この陳腐な登場の仕方は!
これは盛り上がるのか微妙な演出で、定番すぎて面白みがない。
冷静に分析するグレースは、全然涙が出てこなくなっていた。
「本当に、貴方なの?!
立派になり、分かりませんでしたわ!」
「そんなことより、このメイド服に着替えるんだ!
城の外に馬車を待たしてある。
隣国へ逃げよう!」
「私を助けに来てくれたのね!
ウィルフレッドー!!」
何故かマノン様は舞台にいるウィルでなく、私たちに手を向けていた。
皆が一斉に、グレースのいるボックス席の彼に視線を送る。
注目されている?!
隣に座るウィルフレッド様が、マノン様と観客たちに手を振り笑っているよ。
陽気な国民性なんだね。
芝居と自分突っ込みで忙しく、まったくもって感動できなくなる。
「もちろんだ!
さぁ早くー、ダイアナ!」
マノン様が、ドレスをその場で剥ぎ取るとメイド服に早変わりした。
どこかで見た演出、仮面祭りの大会で私たちがしたのとソックリではない!?
「これは、グレースたちの芝居の真似ではないか!
きっと、大会を観ていたんだね」
ドロシーがムッとして腕を組んで、怒りを感じる言葉を放った。
メイド服と給仕服の男女は、そのまま王宮の裏手から水を汲みに来たと桶を持って外へ出ていくのである。
「普通は警備兵に見つかるけど、芝居だから演出が甘いわね」
グレースの冷静な独り言に興ざめする3人は、マノンが逃げる迫真の演技に心を寄せようと努力する。
「追って来てない?
隣国まで、無事に逃げきれるかしら?」
ウィルフレッドの腕を不安そうに掴んで、美しい憂いある表情をする。
「ダイアナ、今度はこのマントでメイド服を隠すんだ。
仲間が次の馬車を用意してある。大丈夫、速さでは追いつけないよ!」
国境を超えたダイアナは、遠くに見える自国を振り返る。
「貴方のお陰よ!
あのお祭りから、私の時は止まっていたわ!」
「私も君が居なくなった、あの時から止まり。
今やっと、動き出したのだ!
私と君のご両親がいる。
あの新しい国、ザィールで新しく人生をやり直そう!」
抱き合う二人に、観客たちは盛大な拍手を送る。
マノンは、一人前を歩き止まる。
天に向けて、両手を広げて叫ぶ!
「自由に羽ばたく!
私はこの国から羽ばたき、新たな世界に飛び立つの!
あぁー!この場に立てた喜びは、昔の辛い日々があるから…。
有難う、強くしてくれて!
ウィルフレッド、愛してますわ。この手を離さないで、もう二度とー!!」
二人は両手を握りしめて向かい合いながら、幕は静かに下りてゆく。
こんな駄目な演出でもどうにかするのが、大女優なのね。
あぁ、感涙て涙が止まらない!
ふと横を見て見ると、ウィルフレッド様が消えていた。
幕が再び上がると真っ赤な薔薇の花束を抱えた彼が、膝をついて求婚のポーズをしている。
大輪の薔薇を受け取り、女神は微笑んで抱き合っていた。
万雷の拍手の中で最後の喝采と祝福を受け止める彼女は、グレースの心に深く刻み込まれる。
そして、ザィール国民の情熱気質は恐るべし!
グレースの優秀な頭脳には、この印象が残った舞台でもあった。
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