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第5章 永遠の愛をあなたに
第17話 もてなしは心
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朝食の話題は、グレースが人生で初めて開くお茶会。
目を輝かせて話を聞くのは、食卓にいる二人の女性たちであった。
屋敷の女主人が、母親として息子に嬉しげに話しかける。
「カルロス、貴方にしては素晴らしい考えです。
あんなにも女性に無関心だった、その貴方が…。
人は変われば変わるものね。
まさに愛の力は、偉大そのもの」
母アデラは息子の話に驚き笑い、そして最後は考え深くなりため息を何度も繰り返す。
「お母様、目覚めが遅すぎます。
お兄様はいい歳ですが、やっと恋を知りましたのよ。
私の婚約者も、グレースのお茶会に招待して下さいな」
朝っぱらから愛だの恋だの言われて、反対に男性たちはどう反応したら良いか分からずにいた。
わがままな可愛い妹に、自分に対して散々な事を言われてつれなく返事を返す。
「グレース嬢が開くのだ。
彼女にお前から頼むのが、礼儀であり筋だろう。
私からはあえて、口添えはしないからな!」
兄妹仲が良いのか悪いのか…。
二人の子どもたちの話を聞いていた父は、食卓を囲む愛しい家族にある提案をする。
「そろそろいい加減、グレース嬢をこの食卓で食事をさせたらどうだ?
まだ使用人たちと、あそこで食事をしてるんだろう?!」
当主である侯爵は、頭のかたく遠慮深い彼女に対して悩んでいた。
自分は正式な婚約者でなく、ただの居候にすぎないと断ってきていたのだ。
息子カルロスに、改善をするように命じる。
なぜなら、いつもこの場に居ない彼女の話が毎日食卓にのぼるからだ。
話題の中心の人物、一方のグレースはメイド仲間にお茶会の話をして意見を求めていた。
「へぇ~、アンタが茶会を開くの?!
でもね、お菓子まで自分で作るのはどうかしら?
変な不格好なお菓子を出すより、料理長に任せた方がいいんでは?!」
「ちょっと、何言ってるのよ!まだ正式ではないけど、グレースはカルロス様の婚約者になる方なんだからー。
アンタって呼び方は、それはないでしょう!」
他の使用人たちは、聞き耳立てて、食べながら頷きそうになる。
「それなら、アンタもグレースって呼び捨てにしてるじゃない」
グレースは、アンタは口癖なのではと思って二人の様子を見ていた。
「あの~、言い争いはなしで!
別に呼び名は、自由でいいですよ。
婚約を正式にしてないし、してからも誰も見てなければ構わないですからね」
それは不味かろうと、ここにいる皆は彼女の考えに反対意見だった。
その他の使用人たちは聞いていて、メイドたちと風変わりな令嬢との会話に不思議と心が癒やされるのである。
自分たちの側にいて共にいてくれている彼女なら、使用人の気持ちに添える事が可能なお方ではないか。
現侯爵夫人とは違う、新しい女主になれると信じて期待していた。
そこまで周りからは思われているとは感じていない彼女は、貴族の令嬢として茶会を開く準備を始めていた。
自分でペンを取り、独りで招待状を書いていた。
差出人は、全員で12名。
エレンタール家は4人と、ベアトリスの強い要望で婚約者の公爵令息。
タイラー夫妻にアルバ公爵夫妻。
ドロシーさんとマノン様とウィルフレッド様。
席順はアルバ公爵夫妻とエレンタール侯爵夫妻、ベアトリス様と御婚約者。
「次の席はー。タイラー夫妻に、ドロシーさんとマノン様たちにカルロス様がいいわ。
私はお茶入れながら、立ってお話をすればいいよね」
グレースに会いに来た人物に、彼女の独り言を聞かれてしまっていた。
独り事に対して、即座に反論をするのだった。
「グレースったら、主催者が席無しはあり得ないわ。
立って、お客様とお話なんてもってのほかよ!」
「ベアトリス様、聞こえておりましたか?
ですが、お茶は私がお入れしたいのです」
あんな大きな独り言も、普通の淑女はしない。
少しづつ、この癖を正すように持っていかないわ。
義理の妹になる、この私がー!
使命感に燃えるベアトリス。
「最初の一杯だけにしたら?
皆様も、グレースの美味しいお茶は飲みたいみたいですしね」
そう言ってみるが、彼女本当に大丈夫なのかしら!?
お茶会の参加経験も無しで、いきなり主催するなんて普通はないわ。
貴族の令嬢として、自信をつけて欲しいと願う。
そんなベアトリスを無視して、次は茶葉やお菓子の思案を始めていた。
準備することがたくさんあるからだ。
頑張っている姿を感じ、出かけるために声をかけてから部屋を出ていく。
季節は今、秋の終わりに近づいている。
栗を使ったグラッセ、かぼちゃのプディングもいいわね。
地味な色ばかりで、華やかさにかける。
それなら、チェリーパイや木苺と生クリームケーキも素敵。
チョコケーキで口直しにコーヒーをお出ししても、男性方には喜ばれるかも。
軽食にスコーンやサンドイッチも、考えていたら食べたくなるわ。
でも、たくさん出しすぎない?!
「それぐらいは当たり前ですよ。
グレース、それは最低限の量です」
今度はこの屋敷の女主が、また独り言を言っていた彼女に返事していた。
「これはアデラ様、 左様でございますか?!
王宮では、これに焼菓子もお出ししておりました。
ご相談ですが、焼菓子は私が作って皆様に手土産として渡したいのですが宜しいでしょうか?」
腰の低い自信ない物言いに、未来の侯爵夫人としてはまだまだ遠いと感じるアデラ。
しかし、それは彼女の欠点でもあり美点でもある。
「これは、貴女が開く茶会です。
お好きなようになさい。
突き放してはいませんよ。
真心を込めて持て成しすれば、気持ちはお客様に通ずるはずです」
「真心込めて!!
アデラ様、励ましのお言葉はこの胸に突き刺さり力になりました。
あの頃は毎日思いを込めて、王妃様にお茶をお出ししていました。
此方に来てからは、皆様にです。
お茶会でも、満足して喜んで下さるよう心がけますわ」
招待状を発送して返事を待ち、茶葉も手配済み。
食器やセッティングはメイド仲間が張り切ってくれて、料理長も腕まくりポーズをしてくれたわ。
お天気がいいと良いんだけど、こればかりはね?
やっぱり、お部屋の中でしたほうがいいかしら?
寒くはないけど、風とかが出ると困るよね。
下準備を一通り終えて考えていた彼女は、おもむろに窓を開けて外を見てる。
琥珀色の瞳には、今が見どころの秋バラが咲き乱れていた。
バラを眺めて、この花を愛していた自国の王妃様を思い返す。
昔よく、そのお方にお茶をお出ししていたのをー。
その美しく競うように咲く花たちの前で、グレースはお茶会をすることに決めた。
目を輝かせて話を聞くのは、食卓にいる二人の女性たちであった。
屋敷の女主人が、母親として息子に嬉しげに話しかける。
「カルロス、貴方にしては素晴らしい考えです。
あんなにも女性に無関心だった、その貴方が…。
人は変われば変わるものね。
まさに愛の力は、偉大そのもの」
母アデラは息子の話に驚き笑い、そして最後は考え深くなりため息を何度も繰り返す。
「お母様、目覚めが遅すぎます。
お兄様はいい歳ですが、やっと恋を知りましたのよ。
私の婚約者も、グレースのお茶会に招待して下さいな」
朝っぱらから愛だの恋だの言われて、反対に男性たちはどう反応したら良いか分からずにいた。
わがままな可愛い妹に、自分に対して散々な事を言われてつれなく返事を返す。
「グレース嬢が開くのだ。
彼女にお前から頼むのが、礼儀であり筋だろう。
私からはあえて、口添えはしないからな!」
兄妹仲が良いのか悪いのか…。
二人の子どもたちの話を聞いていた父は、食卓を囲む愛しい家族にある提案をする。
「そろそろいい加減、グレース嬢をこの食卓で食事をさせたらどうだ?
まだ使用人たちと、あそこで食事をしてるんだろう?!」
当主である侯爵は、頭のかたく遠慮深い彼女に対して悩んでいた。
自分は正式な婚約者でなく、ただの居候にすぎないと断ってきていたのだ。
息子カルロスに、改善をするように命じる。
なぜなら、いつもこの場に居ない彼女の話が毎日食卓にのぼるからだ。
話題の中心の人物、一方のグレースはメイド仲間にお茶会の話をして意見を求めていた。
「へぇ~、アンタが茶会を開くの?!
でもね、お菓子まで自分で作るのはどうかしら?
変な不格好なお菓子を出すより、料理長に任せた方がいいんでは?!」
「ちょっと、何言ってるのよ!まだ正式ではないけど、グレースはカルロス様の婚約者になる方なんだからー。
アンタって呼び方は、それはないでしょう!」
他の使用人たちは、聞き耳立てて、食べながら頷きそうになる。
「それなら、アンタもグレースって呼び捨てにしてるじゃない」
グレースは、アンタは口癖なのではと思って二人の様子を見ていた。
「あの~、言い争いはなしで!
別に呼び名は、自由でいいですよ。
婚約を正式にしてないし、してからも誰も見てなければ構わないですからね」
それは不味かろうと、ここにいる皆は彼女の考えに反対意見だった。
その他の使用人たちは聞いていて、メイドたちと風変わりな令嬢との会話に不思議と心が癒やされるのである。
自分たちの側にいて共にいてくれている彼女なら、使用人の気持ちに添える事が可能なお方ではないか。
現侯爵夫人とは違う、新しい女主になれると信じて期待していた。
そこまで周りからは思われているとは感じていない彼女は、貴族の令嬢として茶会を開く準備を始めていた。
自分でペンを取り、独りで招待状を書いていた。
差出人は、全員で12名。
エレンタール家は4人と、ベアトリスの強い要望で婚約者の公爵令息。
タイラー夫妻にアルバ公爵夫妻。
ドロシーさんとマノン様とウィルフレッド様。
席順はアルバ公爵夫妻とエレンタール侯爵夫妻、ベアトリス様と御婚約者。
「次の席はー。タイラー夫妻に、ドロシーさんとマノン様たちにカルロス様がいいわ。
私はお茶入れながら、立ってお話をすればいいよね」
グレースに会いに来た人物に、彼女の独り言を聞かれてしまっていた。
独り事に対して、即座に反論をするのだった。
「グレースったら、主催者が席無しはあり得ないわ。
立って、お客様とお話なんてもってのほかよ!」
「ベアトリス様、聞こえておりましたか?
ですが、お茶は私がお入れしたいのです」
あんな大きな独り言も、普通の淑女はしない。
少しづつ、この癖を正すように持っていかないわ。
義理の妹になる、この私がー!
使命感に燃えるベアトリス。
「最初の一杯だけにしたら?
皆様も、グレースの美味しいお茶は飲みたいみたいですしね」
そう言ってみるが、彼女本当に大丈夫なのかしら!?
お茶会の参加経験も無しで、いきなり主催するなんて普通はないわ。
貴族の令嬢として、自信をつけて欲しいと願う。
そんなベアトリスを無視して、次は茶葉やお菓子の思案を始めていた。
準備することがたくさんあるからだ。
頑張っている姿を感じ、出かけるために声をかけてから部屋を出ていく。
季節は今、秋の終わりに近づいている。
栗を使ったグラッセ、かぼちゃのプディングもいいわね。
地味な色ばかりで、華やかさにかける。
それなら、チェリーパイや木苺と生クリームケーキも素敵。
チョコケーキで口直しにコーヒーをお出ししても、男性方には喜ばれるかも。
軽食にスコーンやサンドイッチも、考えていたら食べたくなるわ。
でも、たくさん出しすぎない?!
「それぐらいは当たり前ですよ。
グレース、それは最低限の量です」
今度はこの屋敷の女主が、また独り言を言っていた彼女に返事していた。
「これはアデラ様、 左様でございますか?!
王宮では、これに焼菓子もお出ししておりました。
ご相談ですが、焼菓子は私が作って皆様に手土産として渡したいのですが宜しいでしょうか?」
腰の低い自信ない物言いに、未来の侯爵夫人としてはまだまだ遠いと感じるアデラ。
しかし、それは彼女の欠点でもあり美点でもある。
「これは、貴女が開く茶会です。
お好きなようになさい。
突き放してはいませんよ。
真心を込めて持て成しすれば、気持ちはお客様に通ずるはずです」
「真心込めて!!
アデラ様、励ましのお言葉はこの胸に突き刺さり力になりました。
あの頃は毎日思いを込めて、王妃様にお茶をお出ししていました。
此方に来てからは、皆様にです。
お茶会でも、満足して喜んで下さるよう心がけますわ」
招待状を発送して返事を待ち、茶葉も手配済み。
食器やセッティングはメイド仲間が張り切ってくれて、料理長も腕まくりポーズをしてくれたわ。
お天気がいいと良いんだけど、こればかりはね?
やっぱり、お部屋の中でしたほうがいいかしら?
寒くはないけど、風とかが出ると困るよね。
下準備を一通り終えて考えていた彼女は、おもむろに窓を開けて外を見てる。
琥珀色の瞳には、今が見どころの秋バラが咲き乱れていた。
バラを眺めて、この花を愛していた自国の王妃様を思い返す。
昔よく、そのお方にお茶をお出ししていたのをー。
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